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2017年5月26日更新

【第3回沖縄建築賞】タイムス住宅新聞社賞/「アーケードリゾートオキナワ」(沖縄市)/下地鉄郎氏(42)/クロトン

県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」(主催/同実行委員会)。第3回の入賞作品7点がこのほど決定した。住宅部門正賞に金城司氏の「中村家住宅」、一般建築部門正賞に島田潤氏の「クニンダテラス」が選ばれた。

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第3回沖縄建築賞 入賞作決定


正面のガラス張りは、既存を生かした。カフェの内装は黒を基調とした落ち着いた雰囲気。設計者の一人、ウイング建築設計事務所の具志堅達氏は「新しいものをつくるだけでなく、リノベを地域活性化につなげたい」と語る


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「アーケードリゾートオキナワ」(沖縄市)

 

商店街にリノベ宿泊施設

空き店舗に人呼ぶ
審査員が「本来ならば相反するはずの『まち』と『リゾート』をうまく融合させた」と評した「アーケードリゾートオキナワ」。
名の通り、沖縄市のアーケード街の中に建つ。1975年に店舗兼専用住宅として建てられ、何度も借り主が変わり、物産テナントを最後に空き店舗が続いていた。
そこを用途変更してリノベーション。1階をカフェ、2・3階を宿泊施設に生まれ変わらせた。
1階から2階へ続く吹き抜けや建物正面のガラス張り、古びた壁など、もともとあったものを生かし、レトロな雰囲気を演出した。
設計者の一人で、申請関係を担当したアーキテクトラボ・ハロームの新里尚次郎氏は「復帰直後の建物かつ、アーケードの中という特殊条件で用途変更は非常に大変だった。手続きに8カ月近くもかかってしまった」と話す。だが手応えも感じている。「同様の空き店舗はいくつもある。モデルケースになれば」。
5月22日に全面オープンした。建物を運営するNPO法人のコザまち社中の事業リーダー・崎原徹氏は「ここを地元の人と海外、県外の人々の交流の拠点にし、コザの活気につなげていきたい」と期待を込めた。


屋上は壁画やテントで賑やかに演出。審査員は「殺伐としたビルの屋上さえ、リゾート資源にした」と評価​

宿泊施設の室内はシンプルだが、市内で活動するアーティスト描いたイラストで彩る​

リノベ前は物産テナントだった



設計者代表
下地鉄郎氏(42)
クロトン

空き物件のリノベーションに日の目が当たったのは、これが解決すべき社会的問題ということだろう。今回は沖縄市が丁寧に対応してくれたからこそ、完成にこぎつけられた。「まちづくり」には行政のサポートも欠かせない。チームで取り組んだ結果が評価されて非常にうれしい。

 

審査講評 タイムス住宅新聞社賞

「アーケードリゾートオキナワ」

作品の舞台は建設から約40年を経て、時代の波にさらされて空店舗に苦しむ沖縄市一番街アーケード。出品者は「まちなかリゾート」をコンセプトに、3建て住宅兼店舗から宿泊施設へのリノベーションに挑戦し、地域へ再び人々の足を招き寄せるプラットホームを目指している。
1階のフロント兼カフェは、一部吹き抜けと建物正面のガラス張りを残して解放感を創出。一方、黒をベースとした色調で落ち着いた雰囲気を醸し出し、調度品や既存の壁でレトロ感を作り出した。逆に宿泊フロアとなる2階は壁面をスクリーンにしたシアター空間など「新しい物と古い物を演出」している。
括目したいのはジャグジーや収納式テントなどを設置した屋上空間だ。殺伐としたビルの屋上さえ、太陽の動きによって刻々と変化する光景をリゾート資源に仕立て挙げている。
本来なら相反するはずの「まち」と「リゾート」。両者をうまく融合させ、また既存の物を活用しながら地域の発展を目指すというリノベーションの精神を上手く表現しているように思える。



 

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