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2017年5月26日更新

【第3回沖縄建築賞】奨励賞 住宅建築部門/「南城の二世帯住宅」(南城市)/奥原和明氏(35)/現代設計

第3回沖縄建築賞の受賞作品を特集する。ここでは奨励賞を受賞した3作品を紹介。北大東島村の福祉施設のほか、ユニークな形のアトリエ兼住宅や分棟の二世帯住宅が選ばれた。

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分棟でほどよい距離 屋根裏つなげ風通す

奨励賞・住宅建築部門
「南城の二世帯住宅」(南城市)


家族構成の変化にも対応
補強コンクリートブロック造平屋建ての母屋と離れからなる「南城の二世帯住宅」。各棟を中庭と通り土間でつなぎ、ほどよい距離感を保つことができる。
屋根はあえて勾配をつけ、各居室の間仕切り壁から切り離すことで、屋根裏から風が通り抜けるように設計=断面図。「居室も屋根裏でつながり、家族の気配を互いに感じられる。大屋根ワンルーム形式です」と奥原和明氏は説明する。トップライトからの光も各部屋に届き、北側も明るい。
母屋の間取りは大きく、離れは小さくし、将来的な家族構成の変化に対応。各世帯の人数や必要な部屋数に応じて、住む棟を選べるようになっている。実際、最初は母世帯が母屋、息子世帯が離れに住んでいたが、3年がたって息子世帯の子どもたちが成長したため、母屋と離れを交換したという。
審査では、屋根裏をつなげて風を通す計画など果敢な挑戦が評価された。夏に地中を通して冷やした空気を取り込む地中熱交換ダクト、冬は屋根付近にたまった暖かい空気を居室に下ろす熱回収ダクトにも注目が集まった。


コンクリートブロックや板張り壁など、素朴な素材で構成された外観

断面図。各棟の屋根の下はつながっており、風が通り抜けるとともに、家族の気配も感じられる



奥原和明氏(35)
現代設計

 

審査講評 奨励賞 住宅建築部門

「南城の二世帯住宅」

二世帯住宅は、理想に反してなかなかうまく行かない現実があるようだが、果敢に挑戦しているのは、好感を覚える。母屋と離れの分棟形式にすると必然的にできる中庭は、風が入れず空気の淀みができ湿気を留める結果になり安いが、屋根を間仕切り壁から切り離して、屋根裏を空間的に繋げて風の通りをつくろうとするのである。乾いた中庭が確保できれば、成功だと言えるだろう。
コンクリートによる建築は、沖縄においては今や条件の様子を呈しているが、夏場の過熱環境を快適に過ごせる家造りが求められている。冷房器機で強引に冷やせば良いと言うのは乱暴な時代になった。
実験的な取り組みと言いつつも、熱交換ダクトを地中に埋設して、部屋との循環により、冷やしたり温めたりしようと試みるは、歓迎すべき事である。
その他、コンクリートブロック4個抱き合わせ柱の取り組みも、新鮮な驚きであった。挑戦を流儀として建築に情熱をもつ若き作者に、共感の手を送りたい。




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