地域情報(街・人・文化)
2023年11月10日更新
美しい花 蜜源にも|リュウキュウハギ・ゴールデンシャワー|身近で見られる帰化植物⑧
文・写真/比嘉正一
海外から入ってきて、今では沖縄県内で普通に見られる帰化植物を解説。今回は美しい花を咲かせる樹木2種を紹介します。夏の花の代表格、ゴールデンシャワーは、企業の周年事業で配られたことから急激に増えました。
美しい花 蜜源にも
「リュウキュウハギ」「ゴールデンシャワー」
紅紫色の花を訪れたルリウラナミシジミ
紅紫色の小花
リュウキュウハギ(タイワンハギ)は、台湾・中国原産のマメ科の植物です。
高さ2メートル前後に成長する落葉低木で、多年草。花は小さく紅紫色で、群れ咲きします。開花期間は長く、特に初夏と秋に花数が増えます。葉は卵型で、軸の先端から3枚の小葉が出る三出複葉です。
沖縄でハギと言えば本種で、公園、学校、庭園、ホテルなど広く普及しています。挿し木で増やすことができます。
開花期間が長いので蜜を求めて多くのチョウたちが訪れます。ミツバチも多く訪れるので、養蜂にも活用します。
ゴールデンシャワー(ミャンマー~インド原産)
ゴールデンシャワーの花は、まさに“シャワー”のように鈴なりに咲く
ゴールデンシャワーに訪花したウスキシロチョウ
青空に映える黄色
ゴールデンシャワーは、ミャンマーからインドにかけての原産で高さ10メートルあまりに成長する常緑の高木です。
花の満開時には、全体がまさに“黄色のシャワー”のように黄色の花が鈴なりに咲きます。開花時期は夏で、青空に映える黄色は圧巻で、遠くからでも目立ちます。
実はゴールデンシャワーが増えたのは、今から36年ほど前、オリオンビール設立30周年の記念として、沖縄中に苗が配られたためです。その成果は絶大で、今やいろいろな場所で開花し見頃になると新聞への掲載が増えてきています。
本種が増えたことで、食草とするシロチョウ科のウスキシロチョウ、ウラナミシロチョウ、ミナミキチョウも増えました。
**********************************
11月~12月の公園情報
【平和創造の森公園(糸満市)】
◆文化講座・やんばるの生物調査から「カエルの王国」
11月18日(土)午後1時30分~同3時
料金/1000円
講師/千木良芳範氏(元沖縄県立博物館・美術館館長)
本島北部に生息する貴重なカエルたちのユニークな生態を長年調査し、撮影している研究者がその生態について詳しく解説する。
電話=098・852・4033
【沖縄県 県民の森(恩納村)】
◆食べられる野草の自然観察会
11月25日(土)午前9時30分~同11時
料金/1000円
比嘉正一氏(学芸員)
園内を散策しながら、食べられる野草について解説。体によいと言われている草花も多く、最近見直されている。自然を学びながら、食べることができる植物を知る両得の観察会。
電話=098・967・8092
【平和創造の森公園(糸満市)】
◆文化講座「海を渡るチョウ・アサギマダラの話」
12月2日(土)午後1時30分~同3時
料金/1000円 定員/10人(対象大人)
講師/比嘉正一氏(学芸員)
長距離を移動する渡り鳥のように、旅をするチョウ・アサギマダラについて説明。沖縄はアサギマダラの飛来する中継地点で、晩秋はまさに飛来の時期です。最新の結果も併せて報告する。
電話=098・852・4033
【名護城公園(名護市)】
◆文化講座「海を渡るチョウ・アサギマダラの話」
12月9日(土)午後1時30分~同3時
料金/1000円 定員/10人(対象大人)
講師/比嘉正一氏(学芸員)
内容は左記平和創造の森公園「海を渡るチョウ・アサギマダラの話」と同じ
電話=0980・52・7434
※諸事情で日時が変更になる場合があります。問い合わせ先にご確認ください。
********************************************
執筆者
ひが・まさかず/1956年浦添市生まれ。月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て沖縄県県民の森(恩納村)の所長、沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
第1975号・2023年11月10日紙面から掲載