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2023年1月27日更新
ドローンで土木建築現場を“診断”|知財 この人あの会社②
ドローンは写真や映像を撮る道具かおもちゃ、といった認識を持つ方もいるかもしれない。今回紹介する会社は、ドローンを高性能のカメラやソフトウェアとともに活用し、鮮明な画像を撮影。医療になぞらえ土木建築現場を“診断”する革新的なサービスを届ける。
Dr.Drone 空撮クリニック/かふう(株)我謝秀保さん
ドローンで土木建築現場を“診断”
ドローンは写真や映像を撮る道具かおもちゃ、といった認識を持つ方もいるかもしれない。今回紹介する会社は、ドローンを高性能のカメラやソフトウェアとともに活用し、鮮明な画像を撮影。医療になぞらえ土木建築現場を“診断”する革新的なサービスを届ける。飛行機好き高じ「ICT土工」に挑戦
かふう(株)代表取締役社長の我謝秀保さん(62)は、とにかく多趣味だ。車の競技、カメラ、ラジコン…。学生のころから飛行機のラジコンが好きで、今でも飛行機の免許を取りたいと思っている。7年ほど前に競技用の小型ドローンの自作を始め、レースにも挑戦。そのころ知人から「政府が今後情報通信技術を活用したICTの土木工事を進めるから挑戦しては」とアドバイスされ、融資を受けて大型のドローンを購入、建設分野などの撮影サービスを始めた。
撮影サービスを超える「Dr.Drone」
23年前に保険代理店を立ち上げた我謝さんは、ドローンによる空撮事業を保険事業に次ぐ2本目の事業の柱にしようと、沖縄商工会議所のセミナーに参加したところ、講師を務める神戸のデザイナー山内真一氏と出会った。ドローンの事業が単なる撮影サービスにとどまらない可能性があると指摘され、サービスのブランド名を「Dr.Drone(ドクタードローン)空撮クリニック」とすることに。知財総合支援窓口に相談をいただき、ロゴマークを商標登録できた。
Dr.Droneでは、建物の上空から屋根や壁を撮影し現場では目視できない問題点を確認したり、足場を設置せずに安全に低コストで、外観や設備の劣化を確認する「空撮外科」、撮影画像を測量ソフトで解析し測量や土量計算を行う「空撮内科」、また鮮明で奥行きのある画像・映像を撮影する「空撮美容」と三つのメニューを提供している。
これまでに依頼を受けた仕事では、建物・建造物の屋根、壁、配管の劣化状況を確認したり、遺跡や開発予定地を俯瞰(ふかん)したり、また海岸の軽石の漂着状況を確認したり、建設予定のマンションの眺望を事前に確認するなど、ドローンのメリットを生かした実績が多い。我謝さんは「撮影に際し各行政機関に許可を取ったり、天候を心配したり、電波塔などの電波の影響を考慮したりと、撮影以外の仕事も多いが、空への憧れを仕事にできて楽しい」という。
建物の空撮画像と測量用ソフトで画像を解析し、等高線を表した画像。高性能カメラでは画像を5cmのメッシュで解析できるという
デザイナーと協力し広告事業も
最近、Dr.Droneの立ち上げの際にアドバイスをもらった山内氏との共同事業として、広告事業を開始した。企業などが作る会社案内やチラシ、ホームページ制作に際し、ドローンで上空からの撮影を行いインパクトのある画像映像を提供できる。画像などを山内氏がデザインして、企業からの依頼物を作成する。山内さんは「沖縄を上空から知り尽くした我謝さんと、神戸出身で沖縄の魅力を外から発掘できる私とが協力し、企業の悩みを解決したい」と語った。
今後、世の中でも発展がますます見込まれるドローン事業。沖縄に我謝さんのような先駆者がいることを覚えていてほしい。
愛用のドローンと共に我謝秀保さん(右)、山内真一さん
本サービスへの問い合わせは、かふう(株)電話098・939・0627まで。
[執筆者]
宮川準(みやかわじゅん)
1967年、東京都出身。大学卒業後、都内で就職。2012年、沖縄に移住し沖縄県発明協会に入職、以来INPIT沖縄県知財総合支援窓口を担当。
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第1934号・2023年1月27日紙面から掲載