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2022年2月18日更新

【沖縄】投資対象だった民泊物件×離婚(後編)|離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル[16]文/川端ゆかり

離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル
どうも!川端です(^^)/ さて、先月の前編では、偶然か必然か、時差ありで夫Aさん、妻Bさんの双方から離婚不動産のご相談をいただき、売却益も見込めるが「物件はエリアに恵まれており民泊から米軍賃貸(米賃)への用途変更のご提案」というところまでのお話でした。

文/川端ゆかり

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エリアによって米賃への変更も

投資対象だった民泊物件×離婚(後編)


どうも!川端です(^^)/ さて、先月の前編では、偶然か必然か、時差ありで夫Aさん、妻Bさんの双方から離婚不動産のご相談をいただき、売却益も見込めるが「物件はエリアに恵まれており民泊から米軍賃貸(米賃)への用途変更のご提案」というところまでのお話でした。


米軍賃貸とは基地周辺に住む米軍人・軍属のための賃貸住居(設備や間取りなど規定事項の検査合格が必要)。民間より20%前後高い賃料で賃貸が可能となり、Aさんたちの物件の予定賃料は25万円ほどでローンの返済も十分可能と判断してのご提案でした。

「すぐにでも売れると思いますがエリアが良く手放すのはもったいない。2年から3年は米賃にして様子を見てはいかがですか。ご夫婦間のことも離婚に急がず向き合ってその間にお互いの気持ちを確かめてみては」と夫Aさんへアドバイスを行いました。

夫婦のそれぞれの視点

きみまろの漫談ではございませんが、夫Aさんの最初のご相談から半年後、SNSからのご縁で妻Bさんが同じ件でご相談にいらっしゃいました。

妻Bさんご来店時の相談内容は下記。
〇家族構成は30代夫婦と小中学の子供3人。自宅はBさん実家所有の土地建物(相続登記未登記あり)に5人で暮らし。
〇夫は自営業。4年前にローンを組んで民泊物件を購入、運営は妻Bさんが行っていた。
〇結婚してから夫は家に10万円を入れるのみ、夫の収入がいくらかもわからない。民泊の運営益で暮らしていたが、ここ2年稼働しておらず苦しい。
(…ちなみに夫Aさんのコメントは「コロナ禍で自営業の仕事が激減、各助成金も対象外、たのみの民泊もここ2年稼働しておらず、自営業の負債、民泊のローン支払いで苦しい」)
〇コロナ禍で夫の機嫌が常に悪く、こどもとともにおびえる日々。民泊を売って離婚したい。(…夫Aさんいわく「民泊での売り上げは妻が握っており、夫Aさんは支払いだけ。妻は協力的ではなく責め立てられる日々でけんかが絶えずつらい、民泊を売って離婚したい」という内容でした)

なるほど。角度をかえると見えてくる風景に違いがでてきますよね、と心でつぶやきお二人の話を受け止めました。
 


三つの選択肢

そこで、私たちが提案した妻Bさんへのアドバイス・選択肢は三つ!
(1)売却して1500万円の利益を確定し、負債や金銭面での心配ごとを払(ふっ)拭(しょく)する。
(2)米軍賃貸にしてキャッシュフローを改善し生活費にあてる。
(3)ご実家の支援を仰ぎ、夫Aさん所有となっている物件を妻Bさんが購入。しばし(2)のちに民泊再開か売却か判断。

Bさんが選択したのは「(1)売却」でした。心理的負担をなるべく軽くしたいとのご希望からです。双方から相談を受けお互いの事情や思いを知る私たちを仲介業者として信頼していただき、所有者である夫Aさんの理解と協力とともに、売却はスムーズに進みました。

しかし、コロナ禍前からの相手への不満が消えることはなくお二人は離婚というかたちになりました。所有者であった夫Aさんは民泊物件の負債がなくなることで自営業のめどを整えることができ、売却益のほとんどを養育費として妻へ渡すことで合意。お二人とも肩の荷を軽くしてそれぞれの道へ進まれました。

しこりが残らないように

夫婦のうちどちらか一方が「名義は自分だ。売買の内容を相手に伝えないように。売却益は自分のものだ」と主張するケース。また、売却し残債(借金)が残ってしまい、所有者であった元夫(妻)は数カ月後に破産、連帯債務に入っていた相手方へ残債の請求が届いたといったケース…。

どちらも法律的には問題のないことですが、私の中では葛藤が生まれます。

AさんBさんのように離婚へ向かいながらも、最善の方法を探していけるように。離婚後にしこりが残るような取引とならないために、私たちが間に入っているのだということを念頭に、いつもリコンサルへ取り組んでいます。

次回は離婚×軍用地です。

執筆者 川端ゆかり(かわばた・ゆかり) 1971年、浦添市出身。短期大学卒業後、那覇空港地上職・地元情報誌編集・建設会社不動産部勤務を経て1999年(有)とまとハウジング設立。趣味は猫とお酒と読書、仕事が絡まないゴルフ
執筆者 川端ゆかり(かわばた・ゆかり)
1971年、浦添市出身。短期大学卒業後、那覇空港地上職・地元情報誌編集・建設会社不動産部勤務を経て1999年(有)とまとハウジング設立。趣味は猫とお酒と読書、仕事が絡まないゴルフ。https://www.tomato-okinawa.com/rikon/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1885号・2022年2月18
日紙面から掲載

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