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2023年2月10日更新
腸内環境からペットを健康に|知財 この人あの会社③
ペットの犬、猫がさまざまな理由で捨てられ、殺処分される問題はかなり社会的に認識されてきた。今回紹介するのは、家畜飼料製造の知見、ノウハウをペットに応用して、ペットが健康、元気で幸せに過ごせるようペット用サプリメントを開発した会社。
ちょう元気ミール/(有)協同商会、(有)イナミネ 稲嶺盛久さん
腸内環境からペットを健康に
ペットの犬、猫がさまざまな理由で捨てられ、殺処分される問題はかなり社会的に認識されてきた。今回紹介するのは、家畜飼料製造の知見、ノウハウをペットに応用して、ペットが健康、元気で幸せに過ごせるようペット用サプリメントを開発した会社。配達用トラックとともに、右から稲嶺盛久さん、又吉洋子さん、稲嶺盛一郎さん
ペットの健康が重要
稲嶺盛久さん(53)は、中城村で父の代から50年、飼料製造を手掛ける(有)協同商会の代表取締役。県内の豚、鶏など家畜用飼料を製造しており、畜産農家からの相談にも応じるなど、家畜の栄養、体調維持のための研究を惜しまない。
4年前、知人からペットが殺処分される原因のひとつは、「飼い主がふんの臭さや、病気などの理由でペットを捨ててしまうからだ」と聞いてショックを受けた。稲嶺さん自身、家畜に接する立場にあり、自宅に犬がいることからも心が痛んだという。一方でペットの臭いが減り病気にもならなければ問題は改善するのではないか、と思い始めた。
家畜用の飼料がヒントに
人間であれ動物であれ元々体が持つ免疫力を維持するには、健康的な腸内環境を維持することが大事だ。そこで稲嶺さんは、家畜用飼料においても、自社開発の木酢含有液(炭化樹木から得る水溶液)を飼料に数パーセント添加するだけで、動物特有の生臭さが減り、肌ツヤが良く脂肪が引き締まるなどの効果が期待できることから、ペット向けにもこの技術を取り入れられないかと考えた。
木酢含有液を中心に、アミノ酸、クエン酸を豊富に含む泡盛粕(かす)粉末、腸内環境に働きかける乳酸菌、ビール酵母、おいしさのための黒糖、魚粉などを配合したサプリメントを考案。その後2年間、何度も試作しては県内の犬のブリーダーに使ってもらう検証を繰り返し、ベストの配合を見いだした。また知財総合支援窓口を通じて弁理士のアドバイスを数回受け、動物用飼料添加剤の特許を出願、合わせて製品名称の「ちょう元気ミール」も商標登録した。
ちょう元気ミールを混ぜたフードを食べる、稲嶺さん宅のルーキーくん。ちょう元気ミールは褐色のペレット状またはパウダー状で、ペットフードに混ぜて使用する
こどもの国や自社HPで販売
ちょう元気ミールは、ペットフード1回あたりの適正量に、その5~8%を混ぜてペットに食べてもらうもの。ペットの体重で量は変わるが用量を守ってほしいという。
ちょう元気ミールは2021年7月から(有)協同商会が製造、(有)イナミネが販売元となり販売を開始した。県内では沖縄市の「沖縄こどもの国」で取り扱うほか、自社ホームページや大手通販サイトでも販売。購入者からは「ちゃんと食べてくれるか心配だったが、普通に食べてくれた。驚くほどの早さで効果を実感」「食いつきも良く、ふんやオシッコの臭いが気にならなくなった」との声が寄せられている。
また殺処分前のペットの里親探しをするNPO法人ワン’sパートナーの会(那覇市)へ、ペットの体調改善に活用してほしいと同商品を寄付。「ちょう元気ミールで体調や体臭の改善があれば、新しい里親もみつかりやすくなるのではないか」と稲嶺さんは語った。
本商品に関する問合せは、有限会社イナミネ 電話0120・577・088まで。
[執筆者]
宮川準(みやかわじゅん)
1967年、東京都出身。大学卒業後、都内で就職。2012年、沖縄に移住し沖縄県発明協会に入職、以来INPIT沖縄県知財総合支援窓口を担当。
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INPIT(インピット)沖縄県知財総合支援窓口、
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1936号・2023年2月10日紙面から掲載