沖縄への思い託して描く|アートを持ち帰ろう(20)|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

スペシャルコンテンツ

特集・企画

2022年11月25日更新

沖縄への思い託して描く|アートを持ち帰ろう(20)

文/本村ひろみ

沖縄への思い託して描く

迫力ある神獣の絵 建物正面に飾って

絵画展が開催されたギャラリーの中央で、画家・與那嶺しのぶはフリーハンドで制作シーンを実演していた。筆やペン、修正液がきちんと並べられたテーブルで、まだ何も描かれていない紙にむかって躊躇(ちゅうちょ)なく自由自在に筆を動かし、細い線を描いていく。固唾(かたず)をのんで見つめていると、流れる線が龍(りゅう)の髭(ひげ)になってまるでうごめくように見えた。迷いのない迫力の筆使い。この線を描くためにどれだけ描き続けたのだろうかと思わせる手技。しかし画家の心のうちは「大切な人やものを護(まも)りたい」という祈りの気持ち一心で筆を動かしているようだ。龍や鳳凰(ほうおう)、首里城、シーサーなどをモチーフに沖縄への想(おも)いを託して描いている。

聖域の気配醸す作品
赤瓦の上から睨(にら)みをきかすシーサーと龍。その向こうに金箔(きんぱく)で輝く満月が描かれた作品「ぐすく-聖なる場所-」は、展示会場ですぐに目に留まったインパクトのある作品だ。タイトル通りその絵画の置かれる場所は、まるで見えない結界で浄化された聖域のような気配を醸し出している。「祈り-うーじの唄-」と「南風-獅子阿吽(あうん)-」は別々の作品だが、2作品を上下に配置することで生まれる圧倒的なパワー。近づいてみると獅子は大理石の粉末で描かれており、表面のざらついた荒々しさがダイナミックな印象を与えている。

この獅子の前に立ち南風を感じると物語が始まりそう。そんな神話を画家は紡ぎ出している。新しい何かをスタートさせる建物の正面に迫力のある神獣たちを飾っておきたい。迎えるものすべてに力強いエネルギーを感じさせるような、そんな存在の絵を。




「ぐすく -聖なる場所-」
H 530mm × W 920mm
30万円(税別)




「縁 -宝島獅子-銀金-」
H 345mm × W 345mm
8万円(税別)




上作品「祈り -うーじの唄-」
H 355mm × W 915mm 20万円(税別)


下作品「南風 -獅子阿吽-」
H 900mm × W 600mm (2pieces) 50万円(税別)


 

作家近況

與那嶺しのぶ
来年8月デパートリウボウRyubo art gallery、
10月gallery201(東京)にて個展開催予定。
詳しい情報はインスタグラム https://www.instagram.com/shinobuyonamine/でチェック

 

本村ひろみ
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1925号・2022年11月25日紙面から掲載


 

この連載の記事

この記事のキュレーター

キュレーター
本村ひろみ

これまでに書いた記事:43

ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

TOPへ戻る