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2022年10月28日更新

観光の光と影 竹富島|種子取祭(竹富島)|絵になる風景⑦

「風土に根差した建築」を目指して設計活動を続ける山城東雄さんが、建築家の目で切り取った風景を絵と文章でつづります。(画・文・俳句/山城東雄)

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函館港(P12号)

八重山観光では欠かせないメジャーな観光の島、竹富島。その源泉は集落の赤瓦屋根、フクギの屋敷林、石垣、白砂の道にある。

それにいち早く気づき、島を挙げてその保存に動き、1987年に国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定を受け、守り続けている。赤瓦の連なりはご存じ、観光ポスターなどによくみられる沖縄を代表する風景である。

しかし観光客でにぎわう半面、島で生活する人々にとっては「昔のような静かな道端で語り合えるようなコミュニティーがなくなりつつある」と嘆く人もいる。大切な村人の信仰、心のよりどころとなる拝所、御嶽(うたき)が随所に存在する祈りの島でもある。訪れる観光客の皆さまは島のルールを守り、節度ある行動をしてほしいものである。

私は、縁あって竹富小中学校の屋内運動場の設計をはじめ、集落内に赤瓦のレストランをつくったり、古民家の再生設計などもさせていただいた。そのおかげで島民と親しくなり、上の絵の種子取祭(たなどぅい)(国の重要無形民俗文化財)も見学した。コロナのはやる数年前である。この種子取祭には多くの島出身者が帰郷し、また観光客が訪れ大にぎわいとなる。

この絵、「馬乗者(うまぬしゃ)」は祭りの初め、若者による勇壮な踊りである。この他にも神への奉納舞踊の数々が行われる。

赤瓦の保存といい、この種子取祭といい、その根底には島のことわざ「かしくさやうつぐみどまさる(一致協力することが何よりも大切である)」の精神が脈々と生き続けている。


島中が踊り華やぐ種取祭




[執筆者]
やましろ・あずまお/1944年、竹富町小浜島出身。沖縄工業高校建築科卒業後、建築設計会社での勤務を経て、34歳の時に東設計工房を設立して独立。一級建築士。JIA登録建築家。(株)東設計工房代表取締役。(一社)おきなわ離島応援団代表理事。著書に「沖縄の瓦はなぜ赤いのか」がある。

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1922号・2022年10月28日紙面から掲載

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