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2022年9月23日更新

歴史の息づく港町|函館港(北海道)|絵になる風景⑥

「風土に根差した建築」を目指して設計活動を続ける山城東雄さんが、建築家の目で切り取った風景を絵と文章でつづります。(画・文・俳句/山城東雄)


函館港(P12号)

新型コロナがはやる1年前、模合のメンバー10人で函館、小樽、札幌と北海道の旅を楽しんだ。

その中で訪れた函館港は、1859年(安政6年)に横浜港、長崎港とともに日本で最初の貿易港として開港、長く歴史の息づく港町である。レンガ倉庫の並ぶこの港町を見ると、かつて相当の交易がこの地を賑(にぎ)わせたであろうことを想像する。

この美しい風景に魅せられ、上の絵を描いてみた。正面に見えるのが函館山、そこから見下ろす夜景もまたみごとであった。

私はこの港に立ちながら那覇軍港に思いをはせ、俯瞰(ふかん)してみた。かつての大航海時代、アジアと結ぶ交易で栄え、黄金期を築いたといわれる那覇のまち、その表玄関が那覇港だと認識している。

そこで私はこの軍港を計画のある浦添地先に早期に移転し、ロマンあふれる古琉球時代の港町を再現できないものかと思う。全てとは言わないが、広大な敷地の一部にレトロ調の古き良き琉球を再現し、その他は現代のハイテクを駆使したデザインで、シドニーのオペラハウスに見られるようなウオーターフロントとしての開発をすれば、産業振興を図りながら、那覇の新たな観光地として、脚光を浴びることであろう。

川べりのない街と言っても過言ではない那覇に、この広大な敷地の中、ラグーンや運河を走らせるなど工夫を凝らしたテーマパーク的な、夢のあるウオーターフロント開発を期待したいものである。早期返還を願ってやまない。


レトロまち港賑わう秋日より




[執筆者]
やましろ・あずまお/1944年、竹富町小浜島出身。沖縄工業高校建築科卒業後、建築設計会社での勤務を経て、34歳の時に東設計工房を設立して独立。一級建築士。JIA登録建築家。(株)東設計工房代表取締役。(一社)おきなわ離島応援団代表理事。著書に「沖縄の瓦はなぜ赤いのか」がある。

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1916号・2022年9月23日紙面から掲載

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