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2024年3月8日更新

法改正で理想のリノベ難しく!?|今ある家をバージョンアップ[41]

文・森岡瑞穂/リノベーション協議会沖縄支部会員、(株)アートアンドクラフト

case41「省エネ基準適合義務化による影響」

法改正により、2025年4月以降に新築する全ての建物(住宅を含む)に省エネ基準への適合が求められ、それに合わせて建築基準法の一部が改正される予定です。戸建てリノベーションを検討する人への影響とは?

◆相談&課題
「将来的に」戸建てリノベーションを検討しています。何か気を付けるべきことはありますか?



木造2階建ては「4号建築物」

建物を建てる際、原則「こんな建物を建てます」と申請して許可をもらう「建築確認」を受けることが必要です。現行の建築基準法では、規模や用途によって建物が大きく四つに分類され、建築確認が必要となるケースが定められています。そのうち、2階建て以下かつ延べ床面積500平方メートル以下の小規模な木造建築物(木造以外の場合は階数が1階以下かつ延べ床面積が200平方メートル)、つまり一般的な規模の木造住宅のほとんどは「4号建築物」に分類されます=下表参照。

また、建築確認に必要となる、建築する建物の概要の申請には大きな手間と時間がかかることから、1980年代頃の住宅需要の増加に伴い、この4号建築物については建築士が設計を行う場合に一部の規定の審査・検査が省略できる特例、いわゆる「4号特例」が定められました。

ところが、今回の改正で建物の区分が四つから三つへ、2階建ての木造住宅は新2号建築物に分類され4号建築物の区分はなくなり、新築時の建築確認の一部省略が認められなくなります。
 

上のようなリノベーションをする場合は要注意。建築確認の手続きが必要になる可能性があります


リノベに影響はある?

では、今回の改正が既存建物のリノベーションを検討する人にどう関わるのでしょうか。それは4号建築物のもうひとつの大きな特徴、「大規模な修繕や模様替え」をする際に他の建物では必要な建築確認の手続きが不要とされていることにあります。これまで、2階建ての木造住宅のリノベーションには、工事の規模に関わらず建築確認は不要でしたが、改正後はリノベーションの内容が大規模な修繕や模様替えにあたる場合、建築確認が必要になります。大規模な修繕や模様替えとは、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)の1種以上を、過半にわたり修繕または模様替えをすることです。

建築確認をした上で必要な規模のリノベーションを行うのが正攻法ですが、確認申請を出すには膨大な手間と費用や時間もかかり、限られた予算内での手続きと修繕は難しい場合も。また検査済証がなければそもそも大規模な修繕や模様替えの建築確認申請ができません。救済措置として2014年にガイドラインが策定されましたが、一般的規模の戸建て住宅での利用はなかなか難しいのが現状です。


制限増える場合も

2025年4月以降の法改正後は2階建ての木造住宅などのリノベーションは建築確認が必要でない範囲で行うことを余儀なくされ、今に比べて制限が増える可能性が大です。大規模な修繕や模様替えにあたらない範囲でリノベーションをすることは可能ですが、比較的大規模な工事を検討されている方は早めに計画を進めるのがよいでしょう。

今回でこの連載は最後。これまで41回にわたりリノベーションに関する情報を発信してきました。これを機にリノベーションに興味を持つ方が少しでも増えていればうれしいです。ありがとうございました。=おわり




執筆者
もりおか・みずほ
自身の希望で(株)アートアンドクラフト大阪本社より沖縄事務所に赴任。沖縄で嫁入りし、リノベーションした住宅で暮らす。電話=098・975・8090


■リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的とした団体。全国800社弱の企業などが参画している。
https://www.renovation.or.jp

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1992号・2024年3月8日紙面から掲載

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