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2023年11月10日更新

排湿管の取り付けも必須|今ある家をバージョンアップ[37]

文・漢那綾乃/リノベーション協議会沖縄支部 会員、(株)リノベース

case37「ガス乾燥機の設置」

ガスの力で洗濯物を乾かすガス乾燥機。リノベーションの際、お客さまから「毎日の家事をラクにしたいからガス乾燥機を付けたい」という相談をよく受けます。しかし設置には、いくつかの条件と注意点があります。
 

◆相談&課題
一戸建てのリノベに合わせ、洗濯の家事をラクにするためガス乾燥機を室内に設置したいと考えています。注意点はありますか?


設置しやすい一戸建て

ガス乾燥機を室内に設置する場合、「ガス栓」、本体を接続するための「電気コンセント」、ガス乾燥機を置く「スペース」が必要なのはご存じかもしれませんが、実はもう一つ、「排湿管」というものも必要です。

これは、乾燥機から出る湿気を外に排出するためのもので、取り付けるには外壁面に直径10センチの穴が必要となります。

ただ、相談者のように一戸建て住宅であれば、それほど問題はありません。排湿管を取り付ける際に、直径10センチの穴が無くてもお施主さまの許可だけで新しく穴を開けることができるからです。天井に既存の給気口があればそれを使うこともできます。

強いて注意点を挙げるとしたら、鉄筋コンクリート造の住宅で穴を開ける際に、中の鉄筋を切らないようにすること。切ってしまうとコンクリートの強度が落ちてしまいます。

それでもやはり一戸建ては、排湿管の設置条件が少ないため、ガス乾燥機設置の計画が容易と言えます。

洗面室の隣に、ちょっとしたものを干せるランドリールームを設け、そこにガス乾燥機(写真右上)を設置した事例。乾燥機の下には洗濯機を置く予定なので、洗濯に関する家事はここで完結する
 

ハードル高いマンション

難しいのがマンションの場合。そもそもガス乾燥機の設置工事を行ってよいか、管理会社や管理組合に確認しなければいけません。

また、管理規約により、新しく穴を開けることができないマンションも多いです。一戸建ての鉄筋コンクリート造と同じく、コンクリートの中の鉄筋を切って強度が落ちてしまわないようにするためです。

そのような時は、既存の換気扇の一つを親子換気扇(2室換気)にして、空いた穴をガス乾燥機用として使えるか検討します。例えば、浴室と脱衣室の換気ルートが別でそれぞれ外につながる換気口があった場合(単独換気)、浴室用の換気口を脱衣室と兼用し、脱衣室の換気扇で使われていた換気口をガス乾燥機用とするのです。

上記での検討ができない場合、「窓パネル」を使って排湿管を設けることも可能です。これは、窓を少し開けてその隙間にパネルをはめ、パネルについた穴に排湿管を取り付けるというもの。窓がある場所にガス乾燥機を置く必要があるほか、窓パネルを使える窓のサイズなども制限があるので注意が必要です。

◆単独換気扇を親子換気扇にして、排湿管 を取り付けるイメージ図





ランドリールームでよりラクに

干す手間を省けるガス乾燥機は便利ですが、乾燥機が使えない衣類もあります。それらはもちろん干して乾かすのですが、突然の雨が多い沖縄では室内干しを選ぶお客さまが増えている傾向もあります。その際、室内に干し場がなければ、リビングや寝室などの生活空間に干すことになります。

そこで重宝するのがランドリールーム。ちょっとした衣類を干せるランドリールームが洗濯機の近くにあれば、乾燥機を使えない衣類も移動せずに干すことができます。「洗濯をラクにしたい」という願いをかなえるためにも、リノベを考える際に検討してみてもいいかもしれません。




執筆者
かんな・あやの
那覇市出身。リノベ設計歴5年目。予算に合わせて要望をかなえるべく日々自己研さんに励んでいます。(株)リノベース所属。電話=098・917・4205    


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1975号・2023年11月10日紙面から掲載

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