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2025年10月10日更新

マイホームを長持ちさせる防水材 リフォーム会社社長が教える種類や工法|知っておきたい!補修・改修のキホン⑲

今ある家に住み続けるには定期的なメンテナンスが欠かせないが、何から手をつけていいか分からない人も多いのでは? 外装を中心に建物全般の補修改修を手がけるタイズリフォームの赤嶺雄一郎さんにポイントを解説してもらう。今回は建物を守る「シーリング材」について。補修しても豊富な製品や工法の特徴を知らないと住宅の性能や美観を損なってしまう場合がある。


文・赤嶺雄一郎 (株)タイズリフォーム代表取締役


シーリング 長寿命化の一助

シーリング(英語表記:Sealing)は、建物外壁の目地やアルミサッシ周りなどの隙間を充填する防水材で、雨水の浸入を防ぎ建物の耐久性を高めます。ほかにも、地震や熱収縮などにより、外壁材がぶつかったり、ひび割れしたりすることを防ぐクッションの役割や、隙間を埋めることで気密性・防音性を高める効果もあります。

種類ごとに一長一短

代表的なシーリング材として「シリコン系」、「変成シリコン系」、「ポリサルファイド系」、「ポリウレタン系」、「アクリル系」があります。

ホームセンターなどでも手に入るシリコン系は、比較的安価で防水・耐候性に優れる半面、上から塗装をすることが出来ないため、使用部位に注意する必要があります。

ポリウレタン系は長期的な弾力性に優れますが、痩せや紫外線に弱いため塗装をして保護する必要があります=写真1

ポリサルファイド系はタイルや石材の目地に塗装無しで施工され、変成シリコン系は総じてバランスの良い万能型シーリング材として多く用いられています=表1


写真1。21年が経過したアルミ窓枠周りのシーリング(赤矢印)。紫外線に弱い「ポリウレタン系」でも塗膜で保護されているため十分な弾力が残っている


表1。総合性能に優れる「変成シリコン系」が使用されることが多い半面、「アクリル系」はあまり使用されなくなっている

正しい工法で建物守る

劣化したシーリング材のメンテナンス方法は2種類あります。「打ち替え工法」と「打ち増し工法」です=図1。打ち替えは文字通り劣化した既存のシーリング材を全て撤去して新設する工法。打ち増しは既存のシーリング材を撤去せず、新しいシーリング材をかぶせる工法です。

いずれの工法でも共通することは、❶原則新旧のシーリング材は同じものを、❷専用のシーリングプライマー(接着材)を、必ず使用することです。これらを怠ると、新設のシーリング材に剥がれや切れが早期に発生する恐れがあります。


図1。シーリング材のメンテナンスは原則「打ち替え」が望ましいが、状況によっては安価な「打ち増し」で対応可能な場合もある

ブリード汚染で黒ずみ

外壁塗装や防水工事では多くの部位にシーリング材が使用されますが、工事後わずか数年でひどい汚れが発生する場合があります。

写真2はコンクリートのひび割れを補修した部分が黒ずむ、「可塑剤汚染」と呼ばれるもので、英語では「ブリード汚染」と言います。このブリード現象を防ぐためには、可塑剤の含まれていない「ノンブリードタイプ」のシーリング材を使用するか、ブリードを防ぐプライマーを塗布することなどが効果的です。

また「撥水(はっすい)汚染」もあり、シリコン系シーリング材に含まれるシリコンオイルが経年劣化で染み出し、外壁を汚します。このシーリング材は照明器具や排気パイプ周りに多用され、その部位を補修する際にはシリコンを完全に撤去しない限り、何度でも撥水汚染は発生します。


写真2。可塑剤入りシーリング材のブリード汚染が原因で、建物の意匠性を大きく損ねる

0.3㍉超のひび 浸水の恐れ

幅0.3㍉超のひび割れは雨水などが浸入する可能性が高いため、早めの補修が望ましいです。本来ひび割れなどの下地補修は難易度が高いため、プロに依頼するのが望ましいですが、DIYで補修をされる場合には図2、写真3のような点に注意して実施してみてください。


図2。コンクリートを電動工具でカットして内部にシーリングを充填するため、剥がれず防水性を高める。溝の清掃と専用プライマーの塗布は必ず行うこと


写真3。シリコン系シーリング材でひび割れ補修をした事例。ひび割れ補修には、外壁などを汚染せず上から塗装が可能な「変成シリコン」シーリング材がおすすめ




【教えてくれた人】
あかみね・ゆういちろう/(株)タイズリフォーム代表。1級建築士、マンション維持修繕技術者、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士

(株)タイズリフォーム
電話=098・975・7815​

 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2075号・2025年10月10日紙面から掲載

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