土地活用
2017年12月1日更新
バックグラウンドを知る|不動産コンサルティングマスターの土地活用の手引き[9]
不動産に関する困りごとの解決にあたる「不動産コンサルティング」。解決に至るまでには、相談者の「バックグラウンド」を知る必要があります。
土地活用
不動産コンサルティングで大事なこと
不動産コンサルティング依頼者のKさんと打ち合わせをしていると、一つ困ったことがあると相談がありました。
新築予定の住宅リビングのどの壁面にテレビを取り付けたらいいか、すごく迷っているということでした。簡単に解決するかのように思えましたが、話し合っているうちにKさんが言葉にしていないことが浮かび上がってきました。
Kさんにとって重要なのは、「大きなソファでくつろぎ、テレビを見たい」ということだったのです。単にテレビの置き場所ではなくリビングでどのように過ごしたいかをヒアリングする必要があったのです。そこで設計図面を一緒に見て考えることにしました。
リビングには、洋室のドアやベランダに出る大きな開口部、キッチンなどがあり、テレビを取り付けられる壁面が2か所に限定されていました。どちらの壁面に付けるかを決めるために最初に取り組んだのは、Kさんにとって重要事項だったソファの配置を大まかに設定することです。その配置からソファのサイズを決めました。すると、テレビを取り付ける壁面がすんなりと決まりました。Kさんの「本当にすっきりした!」と喜んだ顔が今でも思い浮かんできます。
親族相関図イメージ
※親族相関図にはそれぞれの年齢や性別、職業なども盛り込むことで、依頼主の考え方などを知ることにつながります
親族相関図から分かる事
このような一連の問題解決方法の流れは、不動産コンサルティングの打ち合わせの流れとよく似ています。相談者のバックグラウンドを知れば問題点や解決策を知ることができ、相談者にとって最善の答えを見いだしていく助けになります。
具体例としては、親族相関図(図)を調査し、ヒアリングすることで問題解決の糸口が見えてくる場合があります。承諾を得たあとに、親族全員の年齢や性別、職業などを聞き取りすることで、依頼者がその環境で育まれた考え方や傾向、影響を知る事ができます。
聞き取りをすることで、その場に立ち会っていない親族の相談も一緒に行う気持ちで臨んでいます。それが依頼者の相談内容を客観的に判断することにつながり、バランスの取れた提案ができるようになります。
冒頭のKさんが言葉にしていない事柄があったように、不動産コンサルティングの相談においても真の解決策を探るには、相談者のバックグラウンドを知ることが問題解決に役立つ事が多くあります。
[文]
金城久雄(きんじょう・ひさお)
1963年、嘉手納町出身。(有)iホーム不動産コンサルティング代表取締役。狭小地有効活用や住宅プランニングを数多く手掛ける。沖縄県不動産コンサルティング協議会理事。
沖縄県不動産コンサルティング協議会
098-861-3402
http://okinawa-consul.com/wp/
<不動産コンサルティングマスターの土地活用の手引き>
- vol.09 バックグラウンドを知る
- vol.08 保有資産の体質改善図る
- vol.07 不動産のプロ活用で安心
- vol.06 子世代の活用 発想柔軟に
- vol.05 広がる住まいの選択肢
- vol.04 暮らしの変化見据えて
- vol.03 土地の有効活用①
- vol.02 土地代を抑えて一戸建て
- vol.01 不動産の困りごと解決
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1665号・2017年12月13日紙面から掲載
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- 比嘉千賀子
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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。