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2017年9月1日更新

子世代の活用 発想柔軟に|不動産コンサルティングマスターの土地活用の手引き[6]

今回は、不動産コンサルティング相談を通して、子どもが将来、自立した生活を送ることを視野に入れて賃貸併用住宅を選択した、Tさんご家族の事例を紹介します。

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賃貸併用住宅②賃貸部分が担う役割

Tさんご一家は、40代の共働きご夫婦と小学生の男の子2人の4人家族。就学期の教育問題に熱心に取り組むことに加え、将来、子どもたちがどのように自立した生活を送ることができるのか、先々を見据えた考えを持っているご家族でした。
賃貸併用住宅建設に向けた不動産コンサルティングのご相談を受けてから、将来の活用法まで視野に入れ、45坪の敷地をさまざまにシミュレーションしていきました。
賃貸併用にすることで得られる収益に加え、建物を子どもの将来にどのように役立てることができるのか。構造計算に詳しい1級建築士と連携して間取りや建物配置など細部にわたって検証し、土地を余すことなく活用した建物プランができ上がりました。

子どもの自立につなげる

建物は4階建て。眺めのいい3階に住居を構え、2階と4階には、1LDKと2LDKの賃貸住宅が1室ずつあります。
Tさんご夫婦はお子さんの将来を見据えて、建物の活用法を五つ決めました。

①子どもたちが就職したら、賃貸部分の1室(1LDK)をそれぞれ家賃を払って借りてもらい、自立に向けた生活ができるようにする。
②子どもたちが結婚したら、賃貸の1室(2LDK)に住める選択肢を残しておく。
③子世帯の人数が増えたら3階の住宅を譲り、親夫婦は賃貸(2LDK)か別の住居に住み替え、建物を承継してもらう。
④可能なら、長男、次男家族と親夫婦の3世帯で2階から4階の各フロアを別々に利用できるようにする。
⑤子どもたちが建物の活用を選択しなければ、親夫婦の老後の収入源として活用する。

Tさんご夫婦は、柔軟な発想でさらに建物活用の選択肢を広げていきました。1級建築士の資格を持つ夫人の将来の展開も考慮し、ゆくゆくは賃貸の1室を事務所として活用するという方法です。Tさんご家族の事例から、賃貸併用住宅は収益を得るだけでなく、家族一人ひとりが持っている可能性を引き出す役割をも担うことが分かります。

今回の不動産コンサルでは、構造計算に詳しい1級建築士が関わったことで建築コストが削減でき、収支の改善に大きく役立ちました。また、不動産持ち分の配分に関しては、不動産に詳しい税理士にアドバイスをいただき、賃貸収入における所得税の節税対策ができました。昨今の建築費の高騰を考えると、事前に収支を入念に調査し、専門家に相談することはとても大切です。



Tさん一家の賃貸併用住宅。建物は4階建てで、1階は駐車場(9台)。住居は3階部分の27坪で、海も見える眺めの良さが魅力だ。2階と4階には1LDKと2LDKの賃貸住宅をそれぞれ1部屋ずつ設けた。賃貸部分は計4世帯ある

敷地は2面が道路に接する45坪の角地。建物建設前は更地だった。将来の活用法も視野に入れて検証し、土地を余すことなく活用したプランになった



[文]
金城久雄(きんじょう・ひさお)
1963年、嘉手納町出身。(有)iホーム不動産コンサルティング代表取締役。狭小地有効活用や住宅プランニングを数多く手掛ける。沖縄県不動産コンサルティング協議会理事。

沖縄県不動産コンサルティング協議会
098-861-3402
http://okinawa-consul.com/wp/



<不動産コンサルティングマスターの土地活用の手引き>


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1652号・2017年9月1日紙面から掲載
毎月第1週に掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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