相続
2025年8月15日更新
安易な「共有名義」は 相続トラブルの元![相続計画始めよう!地主・家主の生前対策⑰]
家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をしている(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク。60を超える士業や企業が名を連ねる。当連載では、同ネットワークの代表理事・亀島淳一氏がもめないための生前対策を紹介。今回は、共有名義について。分けにくい不動産は「とりあえず」共有名義にするケースも多いが「のちのちトラブルになりやすい」と警鐘を鳴らす。

安易な「共有名義」は 相続トラブルの元!
家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をしている(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク。60を超える士業や企業が名を連ねる。当連載では、同ネットワークの代表理事・亀島淳一氏がもめないための生前対策を紹介。今回は、共有名義について。分けにくい不動産は「とりあえず」共有名義にするケースも多いが「のちのちトラブルになりやすい」と警鐘を鳴らす。とりあえず共有に「待った!」
相続登記が義務化された昨年以来、全国幸せ相続計画ネットワークに加盟する士業、主に司法書士事務所には手続きの依頼者が増えているようです。

実家をきょうだい3人で共有名義にしたケース。長男が亡くなったら長男の持ち分は、妻とその子どもが相続することになる。こうしたことを繰り返されることで相続人が増え複雑化していく
そもそも、共有名義にしたのは相続が発端というケースは多く見受けられます。「きょうだい3人、不動産が一つで分けられなかったから」。親の不動産を手放すことができず、とりあえずの策が共有名義だったのでしょう。これまで何度もお伝えしてきましたが、不動産相続が難しいのは、単純に分けにくいという点があるため、「分けにくいからとりあえず共有名義に」となってしまうのも分からないではありません。
しかし、相続の専門家としては「とりあえずの共有名義」には「待った!」と言いたいです。
共有名義でも、自分の持ち分だけを売ることは可能です。しかし、その売値は安くなってしまうのが現状。不動産の一部だけでは活用方法が限られるため、安くなってしまいがちです。つまり、高く売るためには、共有者全員の同意が必要になる訳です。その時もめていたなら同意を得ることは容易ではありません。
ある事例では、アパートを共有名義にしていたきょうだいがもめてしまい、そのうち一人が他のきょうだいには何も言わずに自分の持ち分を売却。ある日、知らない人から「アパートの収益を分けて」と請求され、はじめて一部が売られていたことが発覚したそうです。そうなると買い戻すことができるのか、その際の値段はどれぐらいなのかなど、心配ごとが増えてしまいます。
そして、よく聞かれるのが何代にもわたって相続が起こり、手続きをしないまま放置していた不動産。相続人がどんどん増えてしまう上に、その中に認知症の人がいたり、県外だけでなく海外に住む人がいたり、行方不明の人がいたりして、「なかなか相続登記が進まない!」というケースも珍しくはありません。
こうしたトラブルにもなりやすい共有名義。繰り返しになりますが、安易な共有名義はお勧めできません。共有名義にする前に、家族信託や、その財産を整理して他の財産に組み替えるなどの手立てはあります。
また、すでに共有名義にしている場合でも、ご家族がもめているか、もめていないか、その他の財産の有無など、さまざまな状況を総合的に判断した上で、解消することもできます。
「とりあえず」共有名義にする前に、相続の専門家に相談することをおすすめします。
(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク

【執筆】
(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク
共同代表・亀島淳一
士業(税理士、司法書士、弁護士)を中心に全国の相続の専門家が集う組織。 「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」ことを目指し、「相続計画」という新しい考え方の普及・啓蒙活動を行う。
https://souzoku-planning.org/
◆8月16日(土)9時30分~「旧盆前に聞いておきたい!怪しい相続対策の落とし穴と回避術」無料セミナー&個別相談。
会場はシナジールーム(中城村南上原1007‐4階)。予約制。定員20組(無料相談は4組限定)。
電話=050・1809・0106(平日9時30分~17時)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2067号・2025年08月15日掲載
第2067号・2025年08月15日掲載