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2025年8月15日更新

継承されない位牌 永代供養の検討を|どうするその空き家⑰

文/東恩納 寛寿(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部幹事)

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  文/東恩納 寛寿
(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部幹事)

全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部の支部会員らが、空き家問題の背景や沖縄の現状、具体的な活用方法を紹介。今回は支部幹事の東恩納寛寿さんが継承先のないトートーメーの供養に関する問題点や解決への対策などを紹介する。

継承されない位牌
永代供養の検討を
 
沖縄県メモリアル整備協会が運営する霊園で、3月、9月の年2回行われる合同供養法要(写真は東恩納さん提供)
 
空き家問題で課題となっているのが取り残された「位牌(いはい)」。沖縄でいう「トートーメー」の取り扱いです。今回はその解決策についてお伝えいたします。

「空き家を活用したいのだがトートーメーがある。どこに移動すればいいのか」とか、そもそも「トートーメーは移動させていいものなのか?」という声をよく耳にします。

中には、両親が亡くなり実家に誰も住んでいないにもかかわらず、トートーメーが残されているがゆえに、「一日十五日」(ついたちじゅうごにち)にウチャトーをするため約20年間通い続けたという方もいました。

先祖を大切に敬う沖縄の素晴らしい文化を示した事例ではありますが、残された方の負担は大変ですし、そのままにしておくと空き家の活用どころではありません。

そういう難儀をしてきた経験からなのか、ご相談者の大半が口にされるのが、「トートーメーやお墓の事で子どもや孫に負担をかけたくない」という言葉です。


負担の軽減図る
「供養のカタチ」


時代は大きく変わったなぁ~と感じます。私が子どもだった約40年ほど前は「ご先祖様ファースト」でした。シーミーや旧盆などのお仏壇やお墓行事の際はどういう理由があるにせよ家族そろって先祖供養をしなければなりませんでした。

しかし、今は「できる範囲でいいから」「無理して来なくてもいいから」と「子どもたちのライフスタイル」を尊重する親御さんが増えてきています。

これは決して先祖崇拝が薄れてきているのではなく、「供養のカタチ」が時代を経て変化してきていると私は捉えております。

それではどうすれば子どもや孫に負担をかけずに済むのでしょうか。それはズバリ「トートーメーの永代供養」です。


永代供養で安心
継承の悩み解消


私が所属している沖縄県メモリアル整備協会が運営する霊園には「位牌供養塔」というものがございます。そこでお預かりしたトートーメーの閉眼供養(魂抜き)を3月と9月のお彼岸の月にとり行い、そのあと、お焚(た)き上げをいたします。その灰は位牌供養塔に手厚く納め、永代に渡り供養してまいります。


ことし1月、空き家を取り壊す前にとり行われた閉眼供養、このあと位牌供養塔に納められた=名護市(画像の一部を処理しています)(写真は東恩納さん提供)

形あるトートーメーを持ち続ける事に区切りをつけ、トートーメー継承についての悩みや不安を解消します。

「お焚き上げする事に抵抗がある」という方もいらっしゃいますが、問題をそのまま放置していると確実に無縁になりますので、その方がむしろよくない事です。

トートーメーをご自宅から位牌供養塔に移動したことにより供養が途絶えることなく継続し続けられる、これが私どもの唱える新しい「供養のカタチ」であります。

最後に、継承問題は少子高齢化や単身世帯の増加によるものだと言われておりますが、問題の解決がはかどらない一番の原因は「家族間での話し合いがなされていない」ことです。

まもなく旧盆を迎えます。トートーメー継承に不安があるなら、この機会に是非、家族や親族で将来の供養の在り方について話し合ってください。家族や親族それぞれに思いがあります。まずはその思いや継承に向けての問題点を共有し、だれもが心安らかになる道筋を見いだしていくことが肝心です。

次回は、その「家族間の話し合い」をするきっかけとなる「エンディングノート」についてお伝えしたいと思います。




ひがしおんな・ひろひさ
1976年生まれ、沖縄市在住。(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部幹事。(公財)沖縄県メモリアル整備協会終活支援部部長。終活カウンセラー1級。終活セミナー講師。

全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部
電話=0980・43・1613

 
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2067号・2025年08月15日紙面から掲載

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