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2017年6月2日更新

分割し段階的に活用する|不動産コンサルティングマスターの土地活用の手引き[3]

土地の有効活用の一つに、土地を分割して段階的に活用する方法がある。そのメリットと注意点を事例を通して紹介する。

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土地の有効活用①

選択肢広げリスクを分散

皆さんが土地を有効活用したいと考えているとします。隅々まで無駄なく使うことが最大の活用法と考えるのが、一般的な傾向でしょう。このようにスケールメリット(規模を大きくすることによって得られる効果や利益)からの見方がある一方で、土地を分割して段階的に活用することも選択肢の一つです。

段階的に活用するメリットは次の三つです。①社会情勢の変化を見据えながら将来における活用方法が選べ、選択肢が広がる②分割した土地の一部売却により、さまざまな必要資金(相続税対策、借入金返済など)として備えることができる③一部売却で得られた資金でほかの投資方法を選択できるなど、資産の組み替えにも対応できる。

今回は事例として、那覇市内にある約83坪の土地の段階的活用をご紹介します(写真、公図参照)。



モノレール駅からそう遠く離れていない立地にある、83坪の土地(第1種低層住居地域・高さ制限有り・風致地区条例有り)。立地の希少性を考慮して二つに分割。北東側の敷地(約42坪)に1LDK3世帯の共同住宅を建てた(写真左手)。残り41坪は整地して月極駐車場として利用し、社会情勢の変化などを見据えながらどのような活用法がよいかの選択肢を検討する方法をとった



土地の分割活用では、面積の大小や道路に面した間口(接している長さ)の広さが関係してきます。ご相談のあった土地は間口が広く、分割してもそれぞれ十分な間口が確保できました。また、モノレール駅にほど近い立地の希少性から、将来、活用の選択肢が広がる可能性を考慮。分割した一部の土地を生かした建築と合わせて、段階的な活用法を提案しました。


分割後の土地面積は重要

段階的な活用の提案では、事前にいくつかの注意点を調査・確認しておかなければなりません。その一つが、将来分割する予定の土地の大きさを想定しておくことです。

建物を建てる際には、建築基準法上の建ぺい率・容積率を満たす必要があります。土地の分割によって建築申請許可時に確保した面積を削ってしまうと、既存利用地に建てた建物が「既存不適格建築物」になり、さまざまな不具合が生じます=用語解説参照。

先の事例ではそれを防ぐため、事前に建築士や土地家屋調査士、税理士といった専門家に聞き取り調査をし、不動産コンサルティング業務を行いました。土地を分割して段階的に活用する際は事前に入念な土地調査をし、関係する専門家への聞き取りを怠らないことが大切です。


【用語解説】
既存不適格建築物:建物の建設後に、法改正等で現行法に不適格な部分が生じた建物のこと。敷地の一部が売却されることで建築確認申請時より土地面積が小さくなり、指定建ぺい率、容積率を満たさなくなることで、増改築や売却時に申請のし直しが必要になるなどの不具合が生じる。



[文]
金城久雄(きんじょう・ひさお)
1963年、嘉手納町出身。(有)iホーム不動産コンサルティング代表取締役。狭小地有効活用や住宅プランニングを数多く手掛ける。沖縄県不動産コンサルティング協議会理事。

沖縄県不動産コンサルティング協議会
098-861-3402
http://okinawa-consul.com/wp/



<不動産コンサルティングマスターの土地活用の手引き>


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1635号・2017年5月5日紙面から掲載
毎月第1週に掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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