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お住まい拝見

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2019年8月2日更新

直線的でスッキリ|Studio Clamp

[お住まい拝見|クローゼットにうんてい]八重瀬町のTさん(34)宅は平屋のコートハウス。一直線上に並んだ壁や大きな収納で、スッキリしている。落書きスペースやうんていでは子どもたちが伸びやかに遊ぶ。

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LDK。高さ2.7メートルの壁に囲まれているものの、芝庭に面した高さ2.4メートル、幅5.5メートルの大開口から光が入ってきて明るい。天井は、エアコンが目立たないよう、一部が掘り込まれている


庭囲む壁は落書き自由

Tさん宅
RC造/自由設計/家族4人

「ごちゃごちゃしたのがイヤ」というTさんの家は、外観も内装も白で統一。直線的かつシンプルな間取りで、全体的にスッキリした印象だ。

和室と一体化し、広々としたLDKでは、夫人(34)がキッチンで食事の準備。正面の大きな開口部からは、4歳と2際の子どもたちが庭を囲む壁にチョークで絵を描く様子も見える。「安心だし、子どもたちも自由に落書きできて楽しそう」と目を細める。
 
スポーツが好きでバレーボールやサッカーのチームに所属しているTさんは、体力づくりにと、庭にある「懸垂棒」でトレーニング。ウオークインクローゼットの天井にはうんていもある。「子どもにはスポーツをさせたくて。五輪出場の水泳選手が『家にうんていがあった』と話していたのを参考にしました」とTさん。今は子どもを抱き上げて、うんていの棒を握る練習をさせているという。


庭から見たLDK。スッキリした印象にするため、天井はフラット、間仕切り壁は一直線上に並んでいることが分かる

長手方向16メートルの広い芝庭。居室はすべてこの庭に面している。銀色のアルミパネルは雨どいを目隠しするためのもの


上写真中央奥にある、トレーニング用の「懸垂棒」。布団も干せる
 

子どもたちが庭を囲む壁に描いた絵。壁全体を落書きスペースにするため、あえて塗装しなかった
 

書斎から見た7帖のウオークインクローゼット。天井のうんていは、子どもにスポーツをさせたいTさんが「五輪出場の水泳選手を参考に」設けた
 

書斎。建物は全体的に白で統一されているが、夫人が使う書斎の壁紙は夫人の好みで決めた


学生時代から依頼

アパートが手狭になってきたことで、家づくりのための土地を探し始めたTさん。候補が見つかるたび、高校時代に部活で一緒に汗を流した建築士に「この土地なら、どんな感じの家ができるかな」と相談。夫婦の職場や実家に近い現在の土地で、イメージ通りの家を提案され、そのまま依頼した。

Tさんは「設計を頼むのは最初から決まっていました。学生のころから会うたびに『うちの図面引いてるか?』と確認もしていましたし」と笑う。

夫婦の要望の一つがたっぷりの収納。ウオークインクローゼットは7帖と広く、家族全員分の衣類を収められ、衣替えも不要。キッチンの後ろには、キッチン家電や食材のストック、食器、子どもの絵本など、日用品をまとめてしまえる大容量の棚がある。夫人は「急な来客でも戸を閉めるだけで隠せるので便利です」。

暮らし始めて約半年。大事な住まいに穴を開けるのにちゅうちょし、壁には何も掛かっていない。「まずは時計から」とTさんは話すが、時刻を気にせず、ゆったりと家族の時間を過ごし続けるのもよさそうだ。

ウオークインクローゼットから見たキッチン。右手の棚にはLDKで使うもののほとんどが収納されている


洗面室と、シャワーだけの浴室
 

ここがポイント
居室はすべて南側 一直線の家事動線

Tさん宅の敷地は東西に細長い。そこで建築士の與儀拓也さんは、光や風を室内に取り込みやすくするため、南に庭を設けて大きく開くことを提案。さらに庭を壁で囲むことで、「南に建つアパートからの視線を気にせず、窓を開け放てる」という。

部屋の配置は、西に玄関やLDK、東に寝室と、東西で公私を分けたのに加え、明るい南に居室、北に水回りや収納といった具合に、南北でも役割を分けた。「夫人の書斎からウオークインクローゼット、キッチン、洗濯室、浴室までを一直線に並べることで家事動線も効率的になる」

Tさん好みのスッキリした印象にするため、壁の位置を縦横の直線上でそろえたのもポイント。凹凸を減らすことで、真っすぐなラインを際立たせた。

「見えているものは無意識のうちにストレスに感じてしまうこともある」ため、照明は間接照明に、扉は壁の中に隠れる引き戸にするなど、さまざまな物が極力見えないようにもなっている。

夫婦から「子どもが部屋にこもりきりにならないよう、集いの場は大きく、個室は小さく」との要望もあった。そこで寝室や子ども室は必要最低限の広さに。その分の面積を、LDKやウオークインクローゼットに充て、大きな収納スペースを確保した。
 

外観。アプローチは将来的に緑のトンネルになる予定



2室に分けられる子ども室。現在は仕切り戸を外し、1室として使っている。2室にした際の境目をサッシとサッシの間にすることで、今は一つの大きな開口になっている窓が、仕切り戸をはめるだけで各部屋の窓に分けられる


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:331.57平方メートル(約100坪)
1階床面積:112.14平方メートル(約33.92坪)
建ぺい率:36.85%(許容50%)
容 積 率:33.82%(許容150%)
用途地域:第一種中高層住居専用地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設  計:Studio Clamp 與儀拓也
構  造:(株)濱川構造設計
施  工:(有)大城建設
電  気:西崎電工
水  道:(株)剛設備社
植  栽:PLANTADOR



[問い合わせ先]
Studio Clamp
098-983-4222
https://s-clamp.com


撮影/比嘉秀明 編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1752号・2019年8月2日紙面から掲載

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出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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