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2018年6月22日更新

第二の人生楽しむ家|ハルモデザイン

[お住まい拝見・木造平屋 ロフトは客間]定年後、第二の人生の拠点を新築したKさん(70)。木造平屋でバリアフリー、客間にも使える約6坪のロフトがある。夫婦の日常にも、遊びに来た子や孫にも優しい家だ。


リビングダイニング(LD)からキッチン方向を見る。LDは天井高が最大3.6メートルあり伸びやか。キッチンの上部は約6坪のロフト。遊びに来た子や孫の寝室になる

 

中央に台所 家事ラクに

Kさん宅
木造/自由設計/家族2人

5人の子どもたちは全員巣立ち、夫妻は「コンパクトで、老後も快適に暮らせる家」を要望した。
完成したのは、バリアフリーの木造平屋。人が集まるリビングダイニング(LD)の天井高は最大3.6メートルあり、和室まで一体となる。ダイニングと和室の東側には履き出し窓があり、庭や畑の緑に視線が抜け、開放感いっぱい。
一方、キッチンなど水回りの天井高は2.25メートルと低めにし、上部に約6坪のロフトを設けてもらった。そこは里帰りした子や孫たちが泊まる客間として使用する。平屋ながら2層の造りで、夫婦の日常にも、人が集う特別な日にも対応する。
家の中央にキッチンがあるのは、働き者の夫人(70)への配慮だ。Kさんが、建築士にこっそりと「楽に家事ができる家にしてほしい。今まで難儀させたから」と依頼した。
そのキッチンはLDと対面しながらも、カウンターで手元が隠れるから「雑多なものを見られなくて済むのが良い」と夫人。孫とゆんたくをしながら料理をしたり、テレビを見ながら洗い物をしたり。「特等席なんです」と笑顔で語る。
また、キッチンを中心に水回りと寝室が一直線に並んでいるのも特徴。家事のしやすさはもちろん、車いすでの移動などを見据えた。「今は元気だけど、今後、体にガタがくるかもしれない。それでも自立して暮らしたいですから。第二の人生の拠点に申し分ない家です」と夫人は語る。



ダイニングや和室の履き出し窓から入る光や風を、勾配天井が方々に巡らせる。リビング脇の飾り棚には家族写真や思い出の品が並ぶ


ロフトの天井高は最高1.4メートル。写真左側の窓は、上昇した室内の熱気を外に逃がす風抜き窓。1階から開け閉めできる



コスト考え木造に

新居の隣に立つ、以前の住まいは2階建ての鉄筋コンクリート(RC)造。築40年以上たち、劣化が進んでいることや使わない部屋が多いことから同敷地内に新築を決めた。
当初は新居もRC造を考えていたが、知り合いの建築士に相談するうち「木造の方がメンテナンスしやすいと聞いた。RC造に比べて建築費を抑えられることも決め手となった」と語る。
年齢もあり、住宅ローンを組むことは考えなかった。建築費を抑えるため広さは必要最小限にした。一方で、ロフトや家族写真を飾る棚を作りつけてもらうなど、しっかり取捨選択して「私たちなりの終(つい)の棲家(すみか)」を建てた。
住んで半年。夫妻の第二の人生は始まったばかり。飾り棚には、さらに笑顔が増えていくのだろう。



キッチンから洗面所、脱衣所、勝手口まで一直線につながっている。家事動線はもちろんのこと、風通しも良い。写真左側は1坪のパントリー


ここがポイント
顔が見え、動作が見える

Kさん夫妻が終の棲家に望んだのは、「年を取っても自立した生活を送りたい」そして「孫や子らをもてなせる家」。
依頼を受けたハルモデザインの建築士・岸田匡史さんは、「大事にしたのは目線。目に入れば次の動作がイメージしやすくなり、体が動く」と語る。
生活動線ともてなしの中心は「やはりキッチン。家中に目が届くよう、家の中央に配した」。夫人の「キッチン内部は見られなくない」との要望から、対面式ながらカウンターなどで目隠しして半個室型に。生活感は見せずとも、沖縄流のおもてなし「カメーカメー攻撃」を邪魔しないつくりにした。
水回りと収納と寝室を一直線に並べたのも、目線と動線を考えてのこと。例えばシャワー室の隣、洗面所内にウオークインクローゼットを設けたことで、着替えを準備して入浴するという動作が一目瞭然。移動も最短距離で済む。「物が多いと聞いていたので収納は大きめに、そして生活動線上に設けた」。
また、来客も気兼ねなく泊まれるようロフトを提案。建築基準法上、ロフトと認められるギリギリの天井高1.4メートル取りにし、その下の水回りは2.25メートルと低めにとどめて、「コンパクトさはそのままに、新たな空間を設けた」と説明する。
「ロフトは暑くて過ごしにくいと思われがちだが、木造だと熱がこもりにくいし、屋根断熱もしているので、夏でも涼しく過ごせる」。ロフト西側の風抜き窓は、1階からも開け閉めができるようにしており、普段の空気循環にもひと役買う。



シャワー室にはあえて浴槽を設置せず、車いすでも入れる広さを確保した。隣の洗面所にウオークインクローゼットがあり、その奥にキッチン、最奥に寝室がある。入浴~着替え~就寝という生活動線をシンプルにし、老後に備える


外観。将来に備えてスロープも設けた。外観にも木を使ったり、モスグリーンの洋瓦を乗せて、周囲の緑の風景になじむようにした



[DATA]

家族構成:夫婦
敷地面積:349平方メートル(約105坪)
1階床面積:83.34平方メートル(約25坪)
 ロフト床面積:22.5平方メートル(約6坪)
建ぺい率:29.49%(許容60%)
容積率:23.88%(許容200%)
用途地域:市街化調整区域
躯体構造:木造
設計:ハルモデザイン/岸田匡史
構造:ハルモデザイン/岸田匡史
施工:ハルモデザイン/岸田匡史
電気:光電舎
水道:喜納設備
キッチン:クリナップ


[問い合わせ先]

ハルモデザイン
098-996-4810
okinawamokuzou.com/


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撮影/矢嶋健吾 編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1694号・2018年6月22日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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