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2018年6月8日更新

ラフな室内は居心地よく、ぬくもりに包まれた空間に|ロカルウ

[お住まい拝見・仕切りなく収納たっぷり]「片付けなきゃとイライラするのは嫌。物があってもサマになる家に」と中部の住宅地に平屋を建てたKさん(33)。仕切りがなく収納たっぷり。ラフな仕上げが居心地の良さを生む。


縁側からリビングを見る。コンクリートむき出しの天井やペンキを塗ったブロック壁など、仕上げはあえてラフに。畳間ではスポーツ好きのKさんがトレーニングすることも

 

宿題も配膳もみんなで

Kさん宅
補強CB造/自由設計/家族5人

コンクリートむき出しの天井にブロックを白く塗っただけの壁。鉄とベニヤ板で作った造作家具に木格子。素材を生かしたラフな室内は、夫人好みのカフェのような、昔懐かしい町家のような、居心地の良さとぬくもりに包まれる。「生活感がないキレイ過ぎる家に自分たちが合わせるのは窮屈。ある程度物があっても、傷がついても、サマになる家が欲しかった」と夫妻。
東の個室と西の水回りの間にまとめた、リビング、キッチン、小上がりの畳間、ワークスペースが家族の居場所だ。帰宅後は、夫人が夕飯をつくっている間に、Kさんが隣で子どもたちの宿題をみるのが日課。夫人は「キッチン周りが広いからでしょうね。『聞いて聞いて!』と子どもたちが学校のことを話しに集まってくる。気付けば夫まで」とおかしそう。支度ができたらみんなで配膳。丸いちゃぶ台を囲んで家族の笑い声が響く。



子ども室から見たリビング。建築士の提案で窓外の縁側とはあえて段差をつけ、室内側にベンチを設置。「模合メンバーと集まる時はここが腰掛けに。子どもたちが机代わりにして勉強することも」笑うKさん



乾いた後は移すだけ

子育て一家にうれしい工夫も随所に。その一つが約3畳ある物干し場だ。「育ち盛りの子どもが3人いるから、梅雨時は着るものが回らない。今は天気を気にせず干せるし、一晩除湿器をかければ乾く。あとはハンガーごと隣のクローゼットに移すだけだからラク」と夫人は実感を込める。
収納もたっぷり。中でも物置を兼ねた広い土間玄関はスポーツ好きのKさんの希望だ。「自転車やボールなど何でも置けて、カーテンを引けば目隠しも」と使い勝手が良さそう。子ども室はカーテンを掛けるだけでオープンに。「中が見えるし、夜はリビングの明かりで安心するのか、3人で寝てくれる」と夫妻は喜ぶ。
家造りは結婚当初からの夢で「30歳になる前に建てたかった」というKさん。夫人の実家に近い中部の新興住宅地に土地を求め、依頼先を決定。「家族がいつも一緒に、ゆったり過ごせる家に」「子どもの勉強をキッチン近くでみたい」「ランニングから帰った後、浴室へ行きやすく」「家事をしやすく」などを希望した。
「当初、妻は『まだ早い』と反対でしたが、今では『造って良かった』ってしみじみ言ってます」と満足げにKさん。夫人も「吟味した物に囲まれているからか、物が多くても落ち着くんです」と笑顔。休日も家で過ごすことが増えた今、仲良し家族の距離は一層近づいたようだ。



キッチン。「夫が一緒に作業しても十分余裕がある。造り付けの食器棚も下まで使えるので、子どもたちにもお手伝いしてもらいやすい」と夫人



ワークスペースはベニヤ板と鉄で造り付けたもの。子どもたちが宿題をしたりKさんの仕事場にもなる。写真左手はキッチン、裏手は廊下兼収納


ここがポイント
仕上げ省き素材感生かす

Kさん宅の敷地は南に隣地がありそれ以外の三方を道路が囲む角地。いずれ周りに家が建つこと、また西側には保育園もあり、プライバシーの確保は必須だった。
「でも、すべて閉じると閉鎖的になり過ぎる。そこで南を開き壁面は角度をつけることで、視線が直接からむのを避けつつ縁側も確保=下写真。閉じた三方には坪庭を設けて光と風を入れ、広がりを出した」と島袋巧さんは説明する。開口を覆う格子戸も縦板に角度をつけ、室内に差し込む西日や視線、防犯にも考慮した。
室内のポイントは「家族を身近に感じ、くつろげる空気」をいかに造るか。島袋さんは限られた敷地とコストを逆手に取り、まず「アパート時代の程よい距離感を崩さないよう建物のボリュームを決定」。廊下や畳間はワークスペースや収納と兼用。個室以外はオープンにつなぐことで、どこにいても家族の気配が感じられ、使い勝手のいい家になった。
くつろげる空気感を生み出すカギは、「仕上げを省き素材感を生かした」点にある。材料はブロックやベニヤ板、ペンキなど安く手に入る物を使用。通常なら天井を張る、左官でならすなど、あとひと手間かけるところを省いた。これにより、「コストが削減できて施主自身でもメンテがしやすい。何より肩ひじ張らず気楽に過ごせる。経年も味わいになる」と島袋さん。一方で、格子戸やサッシには木を採用。「アルミに比べて値がはり、手も掛かるが、木の素材感を生かすことで家全体にぬくもりを出した」。



西(奥)から東(手前)にかけて広がる三角形の縁側。木の格子戸は夏場に西日が差し込む角度と、隣地(左手)からの視線を考慮し、角度を付けた


北側外観。窓は必要最低限にし、プライバシーを確保した


広い土間玄関。奥はシューズクロークで泥汚れを気にせず物が置ける上、カーテンを引けば目隠しも


東側に設けた子ども室は2室に仕切れるよう引き戸を準備。「子どもが巣立った後も使えるよう、あえて閉じた個室にはしなかった」とKさん



[DATA]

家族構成 :夫婦、子ども3人
敷地面積 :181.11平方メートル(約54.8坪)
1階床面積:93.7平方メートル約28.3坪)
建ぺい率 :54.33%(許容60%)
容 積 率:51.74%(許容100%)
用途地域 :第一種低層住居専用地域
躯体構造 :補強コンクリートブロック造
設  計 :ロカルウ 島袋巧
構  造 :徳和設計室
施  工 :山光建設
電  気 :丸嘉電気工事社
水  道 :(有)名設
流し台・アイアン造作棚:LITTAI METAL WORKS


[設計・問い合わせ先]

ロカルウ
098-911-0521
http://localoutkm.com


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撮影/矢嶋健吾 編集/徳正美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1692号・2018年6月8日紙面から掲載

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