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2017年9月22日更新

築28年の中古マンションをリノベーション|中古という選択

[不動産の日企画]9月23日は不動産の日。建築費が高騰する中で、最も身近な不動産である住宅取得に変化が起きている。今、需要が伸びているのが中古住宅。そこで、中古マンションを購入してリノベーションで生まれ変わらせた事例や、県内の中古住宅流通事情などを紹介する。

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築28年のマンションをリノベ


築28年のマンションをリノベーションしたNさん宅のリビング・ダイニング。床や壁、天井なども一新し、カフェのような空間に生まれ変わった。写真右側の子ども室との間には引き戸を設けた。引き戸や壁のあえてムラを残した「エイジング塗装」が、柔らかい雰囲気を醸す


約630万円で空間一新
Nさんは、立地が気に入り築28年の中古マンションを購入。「古くさい造りとボロボロだった水回り」を一新した。掛けた費用は約630万円。設計した玉那覇仁建築設計事務所の玉那覇仁さんは、「必要な工事を厳選し、コストを抑えつつ建物価値を高める工夫をした」と話す。


アフター

ビフォア
リビング・ダイニングからキッチンを見る。天井は、懐を無くしたおかげで、高さが約12センチ上がった。横長の大きな壁(写真右側)は、印象的なダークブルーのエイジング塗装を施した。横にも広がりが感じられ、Nさんは「リノベ前よりだいぶ広く感じる」と話す。左側の子ども室は、2部屋に分けられるよう、2カ所に出入り口を設けている

 

工事を厳選してコスト減

以前の家は、板張りの天井と壁、大きなカサの照明、薄汚れた襖(ふすま)が組み合わさり、古くさい印象だった。建築士の玉那覇仁さんは「昔、和室を洋室にリフォームしたようで、チグハグ感が随所に見られた」と話す。そこを、青と白を基調にしたカフェ風の空間に生まれ変わらせた。
Nさんの要望は、「カジュアルな雰囲気で、子どもに目が届く造り」と「建築コストを抑えたい。費用は630万円ほどで」だった。
LDKや子ども室は「古くさい」印象の源である天井や壁の板を撤去。「出てきたコンクリートを左官で整え、そこに直接ペンキを塗って仕上げた。天井懐などを無くし下地の工事を削減したことで、コスト減になっただけでなく、空間を少し広くできた」。
床はもともとの材の上に新しくクッション付きのフローリングを設置した。「解体工事を減らしつつ、遮音性を上げることができる。コスト減と共に建物価値を高めるよう工夫した」と説明する。
 

水回り 配置も変えて

汚れや痛みが目立つ水回りも一新した。
今まで、トイレは洗面室を通らないと行けなかったが、少し南側へ寄せて廊下から直接出入りできるようにした。
壁付けだったキッチンはL字型に変更。リビング・ダイニングと対面式にし、家族の顔が見えるようにした。「既製のキッチンに少し手を加え、Nさん宅の間取りに合わせた。オーダーメイド品より安く済んだ」と玉那覇さん。
キッチンもトイレも使い勝手を考えて少しだけ配置を変えたが、「配管の位置はほぼ変えていない」こともコスト削減につながっている。
中古住宅でも、リノべーションすれば雰囲気も使い勝手もガラッと変わる。「コストを抑えたいなら、建築士と相談しながら取捨選択することが大切」と玉那覇さんは話した。 



間取りの主な変更点
①壁付けキッチンから対面式に
②トイレを南側に寄せ、廊下から直接出入り可能にした
③洋室2の押し入れを無くし、二つに仕切れる子ども室に


 

壁紙や塗装で雰囲気ガラリ

施主
Nさんのリノベ談

Q.中古マンションを選んだ理由は
A.新築の夢を膨らませていたので、中古を購入するつもりはなかったんです。きっかけは、子どもが行きたがっている学校区で土地を探したけれど、なかなか見つからかったこと。学校区内に、親が所有している中古マンションがあったので親から購入したんです。
室内は薄暗いし水回りはボロボロでしたが、賃貸アパートで家賃を払い続けるよりは、リノベして好みの家に住む方が得だと、中古リノベを選びました。

Q.実際にリノベーションをしてみての感想
A.予算と構造体が重要だと感じました。本当は、リビングのテレビ側の壁は取り払いたかったのですが、構造上取れなかったり、水回りは大胆に移動させたかったのですが費用が掛かり過ぎるということで断念したり。制約はいろいろありました。だけど、建築士の玉那覇さんと話しながら取捨選択していきました。
制約がある中でも、キッチンを対面式にしてもらったり、トイレを廊下側へ移動させたことで広くなった洗面室に、洗濯干し場を造ってもらったり。両方とも、重宝しています。


アフター

ビフォア
壁付けだったキッチンはL字型に変更。シンク部分はリビング・ダイニングと対面式になっている。キッチンは5.7平方メートルと広くはないが、収納がたっぷりあることや玄関との間に設けられた目隠し機能も持つ食器棚のおかげでスッキリしている


玄関には造り付けの靴箱を設置。今まで、玄関から丸見えだった台所を隠す機能もある。子ども室の引き戸と同じエイジング塗装で、空間にまとまりと温かみが生まれている

柄は一面だけ 統一感保ちつつ個性も


LDKや子ども室はもちろん、洗面室やトイレもかわいらしいNさん宅。壁紙やカーテンなどのコーディネートをした「Librement(リブルマン)」の長岡里枝さんは、「派手な柄や色のクロス面は一部にとどめることで、他の部屋との調和を保ちつつ、個性も出せる」と話す。壁紙は場合によっては既存の壁の上から貼れる上、ペンキよりコストも若干安く済むので、リノベーションには持ってこいだ。


DATA
家族構成:夫婦、子ども2人
床面積 :62.5平方メートル(約18.9坪)
躯体構造:鉄筋コンクリート造
設  計:玉那覇仁建築設計事務所 玉那覇仁 
施  工:(株)フレームワーク
電  気:(有)開成電設
水  道:善設備工業
家具・建具・壁塗装:ムラリビング 村山尚士
カーテン・壁紙コーディネート:Librement 長岡里枝

<問い合わせ先>
玉那覇仁建築設計事務所
098-894-3397
http://tha.ti-da.net/


写真/比嘉秀明 編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1655号・2017年9月22日紙面から掲載

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この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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