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お住まい拝見

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2017年6月23日更新

シンプルモダンな木造|(株)GOSiZE

[お住まい拝見]旗ざお地に、2世帯が同居する2階建ての木造住宅を建てた40代のKさん。「家族の暮らしに合った、個性的な家ができた。エアコンなしでとても快適」と夫婦で喜ぶ。


中央奥上部の三角形の高窓と大梁(はり)が印象的、シンプルでモダンな1階のリビングダイニング。落水和紙張りの壁に影を落とす宙づりの植物が、アートな装いをプラス


2階の寝室の窓から、1階のリビング・ダイニング(LD)を見下ろす。ゆったり配置されたベンチソファは、部屋の広さに合わせてオーダーメードした。床は60センチ角の大判タイル張り。ムラ感のある色合いが温かみを感じさせる


旗ざお地生かし2世帯同居

おおらかに流れる時間

Kさん宅
木造/自由設計/家族7人

本島中部の住宅地。急勾配の片流れ屋根が目を引くKさんの住まい。大判のタイル使いで重厚感のある玄関を挟んで東側にKさん世帯、西側にKさんの母親と弟の個室がある。

「家族で集まることが多いので、リビングは広く、ゆったり過ごせるようにしたかった」とKさん。天井高最大4.7メートル、吹き抜けになったリビング・ダイニングには大型のベンチソファが置かれ、長男(21)の爪弾く三線の音がおおらかに響き渡る。

床はメンテナンスが楽なタイル張りで、「夏はじかに座るとひんやりして気持ちがいいんです」と夫人は話す。

夫人のお気に入りは、オークの古材を使ったビンテージ感が魅力のキッチン。夫人と母親、双方の使いやすさを考慮してオーダーメードした。「雑誌で見て気に入ったキッチンを、大阪まで見に行って作ってもらいました。結果的に既製品より安く仕上がって大満足」。キッチンの並びに収納、洗面・浴室があるため「家事もスムーズ」と喜ぶ。

2階の書庫には夫妻と小学生の三男の机が並ぶ。Kさんの希望で設けた天窓を開けると風が抜け、熱もこもらず涼やか。


重厚感のある80センチ角の壁タイルが印象的な玄関。奥はLD。木床は表面に独特の削り跡を残すなぐり加工を施したタモ材で、足あたりも気持ちいい(左)。南側のアプローチと、奥に続くテラス。1.4メートルの深い軒が室内へ差し込む日差しを遮る(右)

 

家づくりが楽しい

結婚後、20年間マンション暮らし。長男、次男が手を離れるタイミングで実家に戻る話が進んだ。

家を建てるなら「夏場も涼しい木造」と、夫婦の希望は一致。モデルハウスもいろいろ見学した。そんな中、たまたま訪れた居酒屋で楽しげに打ち合わせをする施主と建築士を見かけ、思わず声を掛けたKさん。そんな縁から、大阪が拠点の建築士に設計を依頼することに。「今までに見たことがないプランに、ワクワクした。後で分かったのですが、住宅雑誌で見て、妻が気に入っていた家を建てた建築士さんだったんです」。

遠距離でのやり取りに不安もあったが、「細かく打ち合わせしてくれて、家づくりがめちゃくちゃ楽しかった」。

現場へも頻繁に足を運んだKさん。足場組みには、とび職として働く次男も参加した。「家を建てて、家族の思い出が増えました」と目を細めた。




ここがポイント

吹き抜けで絆と開放感


見た目、使い勝手にこだわったキッチン。扉にはオークの古材を使用。ワークトップは水晶99%のシーザーストーンで、強度があり傷にも強い


敷地は南と北に道路があり、西側に隣家が建つ旗ざお地。Kさんは当初、平屋を希望していたが、7人が住むことを考えると部屋数を確保するのが難しかったことから、建築士の藤田豪さんは、「大きな片流れ屋根の2階建てを提案。室内は2階分の高さを確保しつつ、外観を美しく見せるため屋根は急勾配にしました」。

室内は家族がくつろぐリビングを中心に空間を構成。リビングとテラスの床に同じタイルを張ることで、視覚的なつながりと広がりが生まれた。

「テラスにはリビングからもキッチンからも出入りできるようにし、リビングの延長として使いやすいようにしました」

また、リビングは天井を高くし、高窓にも視線が抜けるようにすることで開放的に。吹き抜けを通して2階の寝室にも家族の気配が伝わる。

2世帯同居のため、1階は玄関を挟んで両サイドに各世帯を分けてプライバシーを確保。「高齢でも暮らしやすいよう、トイレや水回りは母親や弟の個室の近くに配置しました」。

エアコンが苦手という家族のために、日差しを遮り、風の流れをどう作り出すかを重視。軒を1.4メートルと深く取り、南と東から差し込む夏の陽光をカットした。一方で、軒が深いと、台風時には吹き上げる風の影響を受けやすい。「対策として、道路からの視線を遮る南側の塀を高く設け、部分的にスリットを入れることで風の抜け道を作りながら、軒に当たる風を抑えるようにしました」。

空間の雰囲気とサイズに合わせ、ベンチソファやテーブルをオーダーメード。LDの壁の一部には、水を噴霧状に落として模様をつけた手すきの落水和紙を使うなど、インテリアが空間の魅力を引き立てる住まいとなった。


2階の書庫と寝室。書庫はKさんの提案で設けた天窓から光が入り、かなり明るい


急勾配の片流れ屋根が印象的な外観。道路からの視線と吹き上げの風を遮るため、塀は高めに設けた



[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども3人、母、弟
敷地面積 :225.34平方メートル(約68坪)
1階床面積:81.15平方メートル(約24.5坪)
2階床面積:38.92平方メートル(約11.8坪)
建ぺい率 :38.27%(許容50%)
容 積 率:53.28%(許容100%)
用途地域 :第一種低層住居専用地域
躯体構造 :木造
設計・構造:(株)GOSiZE 藤田豪
施  工 :佐藤建築
電  気 :中本電気
水  道 :(有)當山設備興業


[設計・問い合わせ先]
(株)GOSiZE
090-9613-6466
http://www.gosize.com


写真/泉公(ララフィルム撮影) 編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1642号・2017年6月23日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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