緑囲まれ豊かに生活|沖縄ハウス産業(株)【現・(株)新洋)】|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい再拝見

2015年5月1日更新

緑囲まれ豊かに生活|沖縄ハウス産業(株)【現・(株)新洋)】

先祖代々の土地を譲り受け、Aさんが規格住宅を建てたのは29年前。室内は当時と同じまま。周囲は緑が茂り、隣の敷地には、息子が家を建てた。時をへて、ダイニングからの眺めは緑いっぱいに。リビングや和室には孫たちの声が響く。「この家で良かった」。夫妻の満足な気持ちは変わらない。

築29年 憩う食卓

Aさん宅(第45号・1986年5月16日掲載) 築29年


外観。29年前の取材当時とほぼ同じアングルで撮影した。背の高い木々が心地いい緑陰を生む

居間では孫が遊ぶ
台形のような「はかま腰屋根」に横張りの板壁が、洋風の雰囲気を漂わせる2階建て住宅。1階はLDKや和室、水回り、2階は寝室、クロークがある。29年前はAさん夫妻と子ども3人の5人で暮らしていたが、現在は夫妻のみ。
29年前と変わらない室内で印象的なのは、吹き抜けの1階ダイニング。屋敷囲いのフクギの緑に木漏れ日が窓辺を彩る。夫人は「本を読んで過ごすのが好き。私の憩いの場です」と目を細める。
1階の和室とリビングでは、隣の家に住む孫たちが鬼ごっこをしたり、お絵かきをして遊ぶ。Aさんは「孫たちは屋敷林の小道を通ってやってきます。昔にはなかった光景ですね」と顔をほころばせる。
屋敷林は以前、リュウキュウマツばかりだったが、マツクイムシにやられてしまった。Aさんはフクギやクワ、ホルトノキなどを植えて、木々を増やしてきた。「緑に囲まれて暮らしたかったんです。フクギのおかげで、夏は扇風機で十分。冬は寒いくらいですよ」と話す。

「満足」変わらず
Aさん宅は、県内の建築会社が1980年代後半に販売していた規格住宅。決めた理由を「総工費が1060万円と安かった。洋風の外観、使いやすそうな間取りも気に入った」と振り返る。当時、3人の子どもは中学生と小学生。寝室1室とクローク2室を部屋として与えた。
4年ほど前、返済期間25年間で借り入れた公庫融資を完済。ことし1月には、サッシ周りからの雨漏りを防ぐため、屋根と外壁を防水塗装した。
こうすれば良かった点はないか聞くと「あえて言うなら、2階にトイレがあっても良かったかな。寝室から離れているので」とAさん。
「わが家に満足しているのは、今も変わりません。できる限り長く住み続けたい」。夫妻は口をそろえた。


1階ダイニング。腰高窓からは屋敷囲いのフクギが見え、午前中は東側(写真中央)に木漏れ日が差し込む


敷地東側の前面道路から見た敷地。背丈を伸ばしたフクギの屋敷囲いで、外観は赤い屋根以外、ほとんど見えない


Aさん宅と孫たちが住む長男宅をつなぐ小道。孫たちが安全に行き来できるようにと、Aさんが造った

今も住みやすく
Aさん宅は規格住宅で、柱や梁を鉄筋コンクリート(RC)、屋根や壁、一部の柱を木で造った、当時としては珍しい混構造だ。室内も、和室と一続きで使いやすいリビングや、吹き抜けの空間など、近年の住まいで多く見られる設計も取り入れられていて、興味深い。


記者がチェック! Aさん宅のポイント
近年主流の造り 随所に​

和室とつながるリビングに、室内にある吹き抜けの空間。Aさん宅を見ると、近年主流の造りが先取りされていたり、生活スタイルが変わっても使いやすい間取りになっていることが分かる。

リビングは和室と一続き
まず、リビングと和室。障子を取り払えば16畳近い広さになる。「孫たちの遊び場ができ、行事で大勢の客が訪れるときにも重宝している」とAさんは話す。近年は、リビングと和室との段差を抑えたり、建具を戸袋にしまえるなど、使いやすく進化。実際の床面積以上の広さを感じさせる手法としても定着している。

室内に吹き抜けの空間

次に室内の吹き抜け。Aさん宅の場合、上部は2階寝室(以前は子ども室)に面していて、小窓を開け放てば、互いの気配が感じられるようになっている=写真。明かり取りの高窓も吹き抜けの高さを強調している。近年は、開放感を重視する施主の傾向から、リビングで取り入れられることが多い。

キッチン軸に水回り配置
1階キッチンは、ダイニング、脱衣室や浴室と横並びにレイアウトされている点がポイント。料理や食事、洗濯や入浴の動線が一直線で、夫人いわく「使いやすい」とのこと。料理をしつつ、ダイニングで食事をする家族と会話できる良さもある。


 規格住宅を知る建築士は 
Aさん宅の規格住宅は、「常春(とこはる)住宅」の名称で、沖縄ハウス産業(株)【現・(株)新洋】が1980年代後半に販売していた。同住宅を知る、(株)新洋住宅事業部設計課の一級建築士・國頭正輝さん(60)によると、「春のような心地よい住まい」をコンセプトに造られたという。
構造は、四つの柱と梁をRCで造り、それを覆うように屋根や壁、一部の柱を木で仕立てた混構造。外壁には防火サイディングが使われている。「『木造の雰囲気はそのままに、高台でも強風に耐える家を』とのニーズに応えるため、研究開発されたと聞いています」と話す。総工費が1060万円と安い点については「弊社はもともと建材販売の会社。材料費を安く仕入れられたためではないか」と見る。
最盛期には、年間70棟近くを販売した。「30年近くたった今も、お客さまに満足していただいているようで、とてもうれしい」と、感慨深げだった。


[DATA]
家族構成:夫婦
敷地面積:217.8㎡(約66坪)
床面積:1階67.7㎡(約20.5坪) 2階52.1㎡(約15.8坪)
躯体構造:混構造(鉄筋コンクリート造+木造)
設計・施工:沖縄ハウス産業(株)【現・(株)新洋】
完成時期:1986年1月
総工費:1060万円(86年当時)
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1530号・2015年5月1日紙面から掲載

お住まい再拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:827

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る