2世帯住宅と賃貸住宅を併設|(株)上咲組|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

オール電化キャンペーン2017年10月10日から12月31日A

お住まい拝見

お住まい拝見

2017年1月13日更新

2世帯住宅と賃貸住宅を併設|(株)上咲組

Tさん(43)宅は3階建てで、1階が親世帯、2階が賃貸、3階がTさん世帯。コストを抑えるため水回りなどの配置は3世帯とも統一。一方で、個室や収納で変化を付けそれぞれの生活動線に配慮した。

水回り同一  居室で個性

Tさん宅  RC造/自由設計/家族4人+両親+賃貸住宅

3階、Tさん世帯のLDK。白と木の家具で統一され、明るく優しい雰囲気。3世帯ともLDKや水回りの造りはほぼ同じだが、インテリアの違いで世帯のカラーが出ている


各世帯で取捨選択
平面図を見ると、1階から3階まで大きな違いはない。
だが室内に入ると、階ごとでまったく違う空間に驚く。
1階の親世帯は、仏間のある和室とLDKがひと続きになっている(下写真)。人の集う「むーとぅやー(本家)」らしい造りだ。南東にある広い庭の手入れは、Tさんの父親の仕事。「健康の源さー」と笑う。
2階は賃貸住宅。家族向けの3LDKで、和室ではなく、約6畳の洋室と1・6畳のウオークインクローゼットがある。
景色のいい3階はTさん世帯。他階と床材も壁材も同様だが、インテリアや家具の違いから、雰囲気はまったく異なる。白を基調にした、上品な味わいがある「シャビーシック」な室内だ。
他の階と比べて、LDKが若干コンパクトなのは、テレビ台の後ろに2畳の和室(下写真)があるから。夫人(45)がリクエストしたそこは、家事室であり、ゆったり読書を楽しむ趣味室でもある。LDKにも北東にある洋室(寝室)にも行き来でき、「小さな場所だけど、とても便利」と満足げ。
バルコニーも若干小さくして、ウオークインクローゼットを設けた。「掃除や片付けが得意ではないので、居室はコンパクトに。収納はたっぷりと」との依頼が形になった。「掃除も片付けもラクです」と夫人は笑顔で話す。

ローン考え賃貸併設
家が建つのは那覇市の住宅街で、Tさんの親の家があった場所。老朽化が気になっていた実家の建て替えに際し、「自分たちも一緒に住める2世帯住宅にしよう」と家づくりを決意。設計から施工まで一貫して行う建設会社の「サポート体制が気に入って」依頼した。
用途地域を確認したところ3階まで建てられると聞き、「賃貸住宅も併設して、家賃収入をローン返済に充てたい」と3世帯分の住居を造ることにした。依頼した建設会社が不動産の管理までしていることも背中を押した。
小学校から徒歩1分の好立地にあり、建設中から入居の申し込みがあった。「借り手がいる間は賃貸にし、将来は子どもたちの住居にしてもいい。老後は私たち夫婦が1階に住むのもありでしょうね」。
三つの世帯を長く、柔軟に住み継いでいく。 


3階、Tさん世帯のリビングダイニング。左奥は寝室で、テレビ台の後ろ側は夫人が家事室・趣味室として使用している2畳の和室がある。この分、他世帯よりLDKは狭くなったが「重宝しています」と夫人は語る


1階、親世帯。リビングから和室を見る。和室のふすまを開け放てばLDKとひと続きになり、ふすまを閉めれば客間になる。「おもてなしがしやすくなった。バリアフリーで動きやすくなったのもいい」とTさんの母親は笑顔で話す


3階、Tさん世帯の和室。2畳の小さな空間だが、しっかり収納も設けられていて、夫人の家事室や趣味室として大活躍しているそうだ


ここがポイント
居室はコンパクト 収納はたっぷりと

完全分離型の2世帯住宅と賃貸住宅1部屋、三つの住居を造るとなれば当然、コストはかさむ。
上咲組の施工担当者、屋良朝彦さんは「基本の間取りを3世帯とも同じにし、コスト減につなげた」と説明する。
例えば水回り。すべての世帯で、トイレや浴室、キッチンを南西側に集約した。配管をシンプルにすればコスト減になるほか、水漏れなどのトラブルも少なくなる。
また、水回りの位置を階ごとに合わせることで、トイレや浴室の水音など、互いの生活音も気になりにくくなる。
広い敷地ではあるが、各階の床面積を25坪以内に収めたこともコスト減に一役買っている。住居をコンパクトにした分、広くとった庭へ向けて大きな開口部を設けた。外へ目線が抜けることで床面積以上の広さを感じさせている。
床面積をコンパクトにしても、「収納スペースはきっちり取った」と屋良さんは話す。各個室に必ず一つは設ける徹底ぶりだ。「表に物が増えると、窮屈に感じる。きちんと収納できれば、スッキリ心地よく暮らせる」。特に寝室や子ども室など、服をしまう場所が必要な居室には大きめのクローゼットを設けている。
Tさん世帯では、収納に面積を割いた分、バルコニーは狭くなったが「施主と取捨選択をしながら調整した。個室や収納は要望を聞きながら各世帯の動線に配慮した」。
「同一」を基本に、細部の「変化」で、コストを抑えつつ世帯の個性も出した。


南東側から見た外観。窓の位置などはほぼ3世帯とも同じ


Tさん世帯の玄関。各世帯とも、玄関には大きなシューズクロークが設けられている。「室内、室外用品問わず収納できて重宝」とTさん。窓もあり、玄関の換気にもひと役買っている


Tさん世帯の子ども室。4.4畳と広くはないが、11歳の長女は「自分の部屋ができてうれしい」と満足げ


[DATA]
家族構成:夫婦+子ども2人(Tさん世帯)、両親(親世帯)
敷地面積:539.6㎡(約163.5坪)
床面積:
1階(親世帯)82.81㎡(約25坪)
2階(賃貸)75.46㎡(約22.8坪)
3階(Tさん世帯)78.36㎡(約23.7坪)
建ぺい率:18.68%(許容50%) 容積率:42.79%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート壁式造
設 計:(株)上咲組 
構 造:(株)上咲組 
施 工:(株)上咲組 
キッチン:タカラスタンダード
[設計・問い合わせ先]
(株)上咲組 098-870-2147 
http://www.kamisakigumi.com
写真/矢嶋健吾 撮影  編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1619号・2017年1月13日紙面から掲載
 

お住まい拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

これまでに書いた記事:40

編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

建築士の日2017|週刊タイムス住宅新聞

TOPへ戻る