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2024年12月13日更新

3世代で食卓囲む|築36年の実家を同居型の二世帯住宅に|こだわリノベ

坂本さん宅は南夫人(38)の親世帯と、キッチンや浴室などを共有する同居型の2世帯住宅。1階はダイニングを広げて3世代で食卓を囲めるようにし、中2階に親世帯、2階には子世帯のプライベート空間を設けた。家族6人で仲良く、気兼ねなく暮らす。

1階は、3世代が一緒に食事できるよう、和室をなくしてダイニングを広くした。中央の壁の裏側は親世帯のウオークスルークローゼットになっている 

リノベーション前
1階のダイニング。以前は仏壇のある和室だったところをリノベーションした。仏壇は、中央の白壁の奥に組み込まれている

 希望するリノベーション 
1階ダイニングは3世代で食事ができるよう広くしたい。中2階に親世帯の寝室、2階に子世帯のリビングや寝室を作りたい。

団らんもプライバシーも

2階が倉庫化していた南夫人の実家。「同居型の二世帯住宅にできないか」と提案したのは、夫の丞(すすむ)さん(37)。「建築費が抑えられるし、家事や子育てが4馬力でできる。メリットの方が大きいと思った。何より、子どもたちは、じぃじとばぁばが大好きだから」と話す。南さんの母・本仲明子さん(72)は、青くん(3)、雫ちゃん(2)の頭をなでながら「毎日、孫と一緒にいられて私たちの方がうれしい」と目を細める。

以前の1階にはLDKと和室があった。リノベでは和室をなくしてダイニングを広げた。キッチンやダイニングは2世帯で共有しているため、ほぼ毎日、3世代6人で食卓を囲む。父・範男さん(71)は「私が朝食作りを担当している。なんせ早起きだからね」とにっこり。

トイレと洗面台は各階にあるが、浴室は2階のみ。もともと2階にあったことから、配置はあまり変えず設備を新調した。「バッティングしないか心配だったけど、共働きの私たちと両親は良い感じに生活リズムがずれている。不便はあまりない」と南さん。
 
2階リノベ前
2階は個室が三つあったが、壁や天井を取り払って開放的なリビングに変身。天井は高いところで約3メートルある。奥には小上がりの和室があり、下部は大容量の収納になっている
 
2階の洗面台。タイルと造作家具、ブリキの箱がマッチしている=左  2階リビングの入り口。壁付けの書斎は丞さんがDIYした=右


2階に子世帯の私室

それぞれのプライベートスペースは中2階と2階。範男さんの書斎だった中2階を親世帯の寝室に、2階には子世帯のリビングや寝室などを設けた。

「2階は既存の天井や壁を取っ払ってフルリノベした。リビングの天井が結構高くて、シーリングファンとの組み合わせがお気に入り」と丞さん。小上がりの和室まで一体となり、隣接する寝室にも室内窓を通して目が届く。オープンな造りのおかげで、家中が明るく風通しも良い。

SNSで県内のリノベ物件をチェックし「センスが良かった」会社に依頼した。打ち合わせはいつも6人で参加。親、子、孫、互いを思う気持ちを落とし込んだ住まいは「安心感がある」と声をそろえた。
 

子ども室は現在、寝室として利用。ウオークインクローゼット=右側=とつながっていて、洗面台へと続く
 

 改修のポイント 
中2階を親世帯、2階を子世帯のプライベート空間にし、それぞれの居場所と収納をしっかり確保した。
 

気兼ねしない間取り

「最初の打ち合わせから同居型を希望されていた。そこで、皆で過ごす空間とプライベート空間のメリハリを付けて、仲良く気兼ねなく過ごせるプランを提案した」と、リノベースの平良和之さん。

1階は和室をなくしてLDKを広げ、6人で伸び伸び過ごせるようにした。

そして中2階には親世帯の寝室、2階に子世帯のプライベート空間を設けた。同社の漢那綾乃さんは「中2階の部屋は、もともとお父さんの書斎だった。2人で使うには少し狭かったので、収納を1階に下ろした」と話す。広げた1階ダイニングの一角を壁で仕切り、親世帯のウオークスルークローゼットを作った。新設したこの壁には、仏壇を組み込んで仏間としての機能も持たせた。
 

1階のダイニングの脇にある仏壇。洋間にも合うすっきりした作りのものに買い替え、壁にすっぽり納めた


2階は、階段の近くに共有の浴室を配置して、子世帯のプライベート空間に干渉しないよう配慮。「子世帯は共有部に出なくても、ウオークスルークローゼットを通って浴室に行けるようにした」

また、2階は「家族の顔が見える造り」を希望していたことから、小上がりの和室や室内窓で緩く仕切った。「オープンな造りで収納が少ないのを、小上がりの床下収納で補っている」
 

2階の小上がり和室。下部は収納。一角に掘りごたつ式のデスクスペースを設けた。右側の室内窓からは、将来子ども室にする予定の隣室の様子がうかがえる


平良さんは「打ち合わせ時から、お孫さんたちはおじいちゃん・おばあちゃんにべったりだった。そこで1階にもデスクスペースを設けて、大きくなったらここでも宿題ができるようにした。二世帯住宅は、各世帯とどのように関わりたいかを造りに落とし込むことも大切だと思う」と話した。
 

1階ダイニングの裏側に親世帯のウオークスルークローゼットがある。手前のデスクスペースは「孫たちが大きくなったら、ここで宿題を見てあげたい」と範男さん
 


1階トイレのそばの空いていたスペースに洗面台を新設



[DATA]
家族構成:親夫婦、子夫婦、子ども2人
躯体構造:鉄筋コンクリート造
築年数:36年
1階床面積:約59.25平方メートル(約18坪)※車庫除く
中2階、2階床面積:約69.73平方メートル(約21坪)
工期:4カ月
設計:(株)リノベース 漢那綾乃
営業:(株)リノベース 平良和之
施工:(株)リノベース


[問い合わせ先]
(株)リノベース
電話:098-917-4205
https://campage.jp/fukuchigumi/renove_lp


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2032号・2024年12月13日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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