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2025年1月24日更新

素材感生かしカッコよく|築29年の実家2階を完全分離の子世帯に|こだわリノベ

築29年、2階建ての実家の2階をリノベーションし、完全分離型の2世帯住宅にしたCさん(35)家族。既設のロフトを活用しつつ、コンクリートブロック、木、鉄の素材感を生かした室内は、緑が映えて明るく居心地のいい、夫妻好みの「カッコイイ」住まいとなった。

リノベーション前

(リノベ前の写真は、建築士提供)
実家2階の個室を改修したCさん宅のLDK。既設のロフトと階段は生かして鉄部は黒く塗り替えた。コンクリート、木、鉄の素材感や雰囲気を生かした室内に、植物や夫人こだわりのキッチンタイルが彩りを添える
 

リノベーション前

東側にあったロフト付きの洋室。フローリングの色は濃く、階段の手すりは白かった
(リノベ前の写真は、建築士提供)
LDK。東側は掃き出し窓にしてベランダと一続きに。照明は出っ張りのないダウンライトで圧迫感をなくした

 改修前の希望 
2階18坪を完全分離型の子世帯に。木製キッチン&海外製食洗機は必須!

ロフトが遊び場 LDKすっきり

Cさんは鉄工関連の仕事に就いていて溶接はお手のもの。夫人(36)は木や自然が好き。そんな夫妻が、Cさんの実家2階をリノベーションするにあたりイメージしたのは「かわいいよりカッコイイ。木製のキッチンと、鍋類まで一気に洗える大型の海外製食洗機は必須!」だ。要望通り、木や鉄、ブロックなどの素材感を生かした室内は緑が映え、明るくて居心地がいい。キッチンはコンパクトながら「作業台が広いので、長女(8)とのお菓子作りもここで完結できます」と夫人。
 
夫人こだわりの木製キッチン。上質な無垢扉と緑のタイルで「気分が上がる」空間に。造作カウンターにはゴミ箱などが収まり、ダイニングからの視線も程よく目隠し

LDKの頭上にある既設のロフトは、子どもたち3人の遊び場だ。「なくしてもいいかなと思っていたけれど、上手く生かしてもらえて良かった。友だち家族が集まると、子どもたちはここで遊んだり、天気がいいとベランダで水遊びしたり」とCさん。夫人も「ロフトなら、おもちゃを出しっぱなしでも気にならないので思う存分遊んでもらえる。アパート時代と違ってリビングもすっきり保てて、片付けのストレスが減りました」と笑顔を見せる。
 
ロフト。天井懐がないため照明は壁付けになっている
 
リノベーション前

左手が勝手口。階段奥の部屋との間には窓があった
(リノベ前の写真は、建築士提供)
LDKから見た階段側。正面の壁はモルタル調の壁紙、床は木目調のPタイルで統一感を出しつつコストカット。玄関からはブロック壁で目隠ししつつ花ブロックで圧迫感を軽減
 

市販品でスマートホーム化

当初は新築を考えていたものの、子どもの学区内に土地が見つからなかった。「リノベはマイナスイメージが大きかったけれど、いい感じに一新できそうな事務所のHPを見つけた」ことで踏み切った。

「実家を完全分離型の2世帯にしたかった」ため、内階段をふさいで世帯を分け、ベランダに水回りを増築。外階段は建築士が引いた図面を基にCさんが造った。また、機械好きなCさんの要望で玄関や水回りはスマート電球にし、階段下には留守中も子どもの様子が分かる画面を取り付けるなど、市販品を使いスマートホーム化も試みた。

ベランダには、「今では夫の方がハマっている」と夫人が笑うほど、手塩にかけた植物が育つ。夫人は「共働きなので、下に両親が居てくれるのは子どもたちも行き来できるし私たちも助かる」と喜んだ。
 

 改修のポイント 
ロフト活用しベランダに水回り増築。「見せつつ隠す」工夫で扉なくして奥行き
 

縦横つなぎ伸びやかに

Cさんの実家2階はもともと18坪、東西にベランダがあった。家族5人が暮らす子世帯に改修するため課題となったのは①狭さをいかに払しょくするか、②効率の良い動線計画、の2点。

そこでRENOBEES(リノビーズ)の德里政俊さんは「まず必要な部屋数を確保するため、既設のロフトと階段はそのまま活用し、ロフト下を東のベランダとつながるLDKにした。内階段はふさいでワークスペースにし、南の個室は二つに分けて寝室とウオークスルークローゼットに。水回りは西のベランダに増築して新設した。限られた面積でも広がりがあり使い勝手も良くするため、扉は極力個室だけに。玄関、クローゼット、水回り、LDKは回遊できる造りにした」と説明する。
 


(リノベ前の写真は、建築士提供)

内階段をふさいでワークスペースに。机や天井懐に登るはしごはCさんのDIY


LDKは配管のため床高を上げたこともあり、ロフトまでの高さは2.1メートル。にもかかわらず圧迫感がないのは、「リビング上の吹き抜け=表紙写真=と扉を省いたことによる、縦横のつながりがあるから。そのために必要だったのが見せつつ隠す工夫」と德里さん。例えばウオークスルークローゼット。LDK側は扉が欲しくなるところだが、「入り口のデザインを三角アーチにして視線を誘導。中も丸見えにならないよう棚を配置した。通り抜けできるので忙しい朝も便利」とスタッフの嘉手苅麗子さん。
 


洗面台右手前はリビングから見えないようカット


多種の素材感と色を生かしつつまとめるコーディネートの技も光る。シンボルとなった階段を黒く塗り直したため、リビング北の壁と子ども室、天井は明るい白でバランス良く。木部は寝室天井は節が少なく明るめで品良く、水回りと収納は節の出が強く濃い目でワイルドに仕上げた。
 

南にあった子ども室を二つに分けて新設した寝室。明るめの木天井と和テイストの照明がマッチしモダンな雰囲気に

 

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
駆体構造:鉄筋コンクリート造
築年数:29年
2階床面積:71.43㎡(約22坪) 10㎡の増築含む
工期:4カ月
設計・施工:RENOBEES 德里政俊、嘉手苅麗子


[問い合わせ先]
RENOBEES・㈱アーキラボラフィット
電話:098・988・5128


撮影/比嘉秀明 取材/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2038号・2025年01月24日紙面から掲載

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