巻頭特集・企画
2016年9月23日更新
不動産の日特集③|不動産コンサルタントと家づくり
住宅建築費が高騰する中、住まい取得の選択肢の一つとして住居+収益物件がある。9月23日の不動産の日にちなみ、立地を生かすことで実益を兼ねつつ暮らしも充実させた事例を紹介。特集③では第3者目線で最大限の土地活用を提案する不動産コンサルタントとの家づくりです。
那覇市樋川、国道近くの利便性の良い土地に、鉄筋コンクリート造4階建ての賃貸併用住宅「LA STUDIO HIGAWA」を建てたTさん。敷地は借地で、面積27坪の狭小地。土地活用から建築まで、不動産コンサルタントに加わってもらったTさんは、「プロの手を借りたことで、資金計画や建築過程もスムーズに進んだ。知識と時間、安心を得られたのが一番良かった」と話す。
間口6・7メートル、奥行き13・5メートル、細長い敷地に建つ4階建ての建物がTさんが所有する「LA STUDIO HIGAWA」。Tさんの住まいは2階で、1階が貸店舗、3、4階は賃貸住宅だ。自宅のイメージは、パリのアパート。玄関を入ると、レンガ模様の壁がレトロな雰囲気を醸し出す。間取りは1LDK。「広い空間が好き。料理をしている時間が長いので、キッチンは広くしました」とTさん。
リビングの一角にある書斎スペースや寝室では、上品な柄入りの壁紙が目を引く。「予算の範囲内で空間づくりを楽しむには、壁紙を活用するのが一番でした」。不動産コンサルティングを受けたことで、予算の使い方も明確に。「インテリアも相談できる不動産仲介・管理業者を紹介してもらったのも、心強かったです」。
インテリアへのこだわりは、上階の賃貸住宅にも反映されている。
知識と時間、安心得る 家にしばられず柔軟に
敷地はもともと、Tさんの祖母が住んでいた借地で、父親が借地権を引き継いだ。借地権の更新には建物の建設が必須だったため、Tさんは収益も得られる賃貸併用住宅に目を向けた。
「初めての家づくりで知識もない。仕事をしながら手続きや調整・検討を進めるには時間と労力がかかるので、プロの手を借りようと思いました」
借地権の名義変更手続きの相談をきっかけに出会った不動産コンサルタントと契約。土地活用や資金計画、設計・施工会社選びをはじめ、税制や賃貸シーズンも見据えた建築スケジュールも助言を受けた。Tさんは、「設計、施工業者とのやり取りでも、第三者的な立場で私の希望や予算も踏まえて助言、フォローしてもらえたので、スムーズに進めることができた。費用を払ってでもプロに関わってもらう価値は大きい」と実感する。
工程会議では、Tさんが議事録をメールで関係者に一斉送信し、情報を共有。やり取りを重ね、仲介業者や設計、施工会社とのチームワークも深まったという。
将来にわたって活用できる資産を手に入れ、Tさんは「家は一生の買い物ではなく、今現在の買い物。年齢やライフスタイルに合わせて売ったり貸したりして、住み替えるのもいいと感じるようになった」と話す。家にしばられずに暮らす―。家づくりを通して、住まいと不動産に対する考え方、選択肢は広がったようだ。
Tさん宅のキッチンとリビングダイニング。レンガ調の目隠し壁がレトロな雰囲気を醸し出す。「古いものも大事に使っています」とTさん。中央の籐の丸イスは祖父が長年愛用していたもの。使い込まれた風合いが空間の味に
外観。茶色にペイントされた花ブロックが目をひく建物は、1階奥が貸店舗で、2階がTさんの自宅。3、4階は賃貸住宅だ
寝室やウオークインクロゼットも個性的な壁紙で変化を付けた。
寝室(写真右)脇の廊下には、和の趣漂う絵画やチェスト、レトロな裁縫箱を飾って楽しむ
リビング奥の書斎スペース。優しい色合いで上品な印象を与えるアクセントクロスで、空間も華やぐ
建物の3・4階は、各階2世帯ずつ計4世帯の賃貸住宅。いずれもワンルームで、広さの違う2タイプがある。
Tさんがこだわったのは、「働く女性が安心、快適に過ごせ、インテリアを楽しめる空間」。コンパクト、キュート、コンフォータブル(快適な)、コンビニエント(便利な)の「4つのC」をコンセプトに、インテリアと充実した設備で物件の差別化を図った。
壁紙や設備選びをサポートしたのは、物件の仲介・管理も手掛けるベルフラワーハウジングの田﨑ゆかりさん。不動産コンサルティングを手掛けた金城さんの声掛けで、建築段階から関わった。
「四つの部屋はそれぞれデザインの違うアクセントウオールを取り入れ、床やキッチンパネルの色を合わせて統一感を持たせました」と田﨑さん。設備面では、キッチンをコンロ2口のグリル付きに。時間や天気を気にせず洗濯ができるよう、ガス衣類乾燥機や浴室内物干しも用意した。
Tさんは、「仲介・管理の視点から、入居案内の時期や家賃設定なども提案してくれたので、とても助かった」と喜ぶ
ユーズド風のストライプ模様の壁紙をアクセントにしたAタイプ9畳の部屋。クロゼットも広くとられている
広さ10畳、Bタイプの部屋。淡いグレーがかった床色に合わせ、キッチンパネルはピンクに。エアコンも備え付けられている
洗面室に設置されたガス衣類乾燥機。浴室には取り外せる物干しポールも備える
不動産コンサルティングマスター
金城久雄さんに聞く
資金調達や収支、経営の助言まで
Tさん宅のコンサルティングを手掛けたのは、狭小地有効活用や住宅プランニングを数多く手掛ける、㈲iホーム不動産コンサルティング代表取締役の金城久雄さん。沖縄県不動産コンサルティング協議会の理事を務め、専門委員会委員も兼任している。
「不動産コンサルティングの業務は、土地や建物の特徴、施主の要望などから総合的に判断し、敷地を最大限に生かすことができる選択肢を助言、提案すること。必要に応じて、税理士や司法書士、建築士など各分野の専門家への橋渡し、コーディネートも行います」と金城さん。不動産コンサルティングマスターから見た土地活用では建築や売買ありきでなく、クライアントの短期、中期、長期的な視点から考え抜いた提案を行う。例えば、駐車場にする方法、相続なども踏まえ、土地を分割して段階的に活用する方法もある。「特に狭小地では、柔軟な発想で相談にのってくれる建築士選び、建築費用を前もって入念に調査していくことが大切になってきます」。
県内の不動産コンサルティング技能登録者は90人。沖縄県不動産コンサルティング協議会には59社が加盟していて、定期的にセミナーなども行っている。金城さんは、「信頼できる不動産の相談先として、不動産コンサルティングマスターを活用してほしい」と話した。県不動産コンサルティング協議会(電話 098-861-3402)
編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1603号・2016年9月23日紙面から掲載
27坪の借地に賃貸併用 活用法 トータルで相談
レトロモダンな空間 インテリアを楽しむ間口6・7メートル、奥行き13・5メートル、細長い敷地に建つ4階建ての建物がTさんが所有する「LA STUDIO HIGAWA」。Tさんの住まいは2階で、1階が貸店舗、3、4階は賃貸住宅だ。自宅のイメージは、パリのアパート。玄関を入ると、レンガ模様の壁がレトロな雰囲気を醸し出す。間取りは1LDK。「広い空間が好き。料理をしている時間が長いので、キッチンは広くしました」とTさん。
リビングの一角にある書斎スペースや寝室では、上品な柄入りの壁紙が目を引く。「予算の範囲内で空間づくりを楽しむには、壁紙を活用するのが一番でした」。不動産コンサルティングを受けたことで、予算の使い方も明確に。「インテリアも相談できる不動産仲介・管理業者を紹介してもらったのも、心強かったです」。
インテリアへのこだわりは、上階の賃貸住宅にも反映されている。
知識と時間、安心得る 家にしばられず柔軟に
敷地はもともと、Tさんの祖母が住んでいた借地で、父親が借地権を引き継いだ。借地権の更新には建物の建設が必須だったため、Tさんは収益も得られる賃貸併用住宅に目を向けた。
「初めての家づくりで知識もない。仕事をしながら手続きや調整・検討を進めるには時間と労力がかかるので、プロの手を借りようと思いました」
借地権の名義変更手続きの相談をきっかけに出会った不動産コンサルタントと契約。土地活用や資金計画、設計・施工会社選びをはじめ、税制や賃貸シーズンも見据えた建築スケジュールも助言を受けた。Tさんは、「設計、施工業者とのやり取りでも、第三者的な立場で私の希望や予算も踏まえて助言、フォローしてもらえたので、スムーズに進めることができた。費用を払ってでもプロに関わってもらう価値は大きい」と実感する。
工程会議では、Tさんが議事録をメールで関係者に一斉送信し、情報を共有。やり取りを重ね、仲介業者や設計、施工会社とのチームワークも深まったという。
将来にわたって活用できる資産を手に入れ、Tさんは「家は一生の買い物ではなく、今現在の買い物。年齢やライフスタイルに合わせて売ったり貸したりして、住み替えるのもいいと感じるようになった」と話す。家にしばられずに暮らす―。家づくりを通して、住まいと不動産に対する考え方、選択肢は広がったようだ。
Tさん宅のキッチンとリビングダイニング。レンガ調の目隠し壁がレトロな雰囲気を醸し出す。「古いものも大事に使っています」とTさん。中央の籐の丸イスは祖父が長年愛用していたもの。使い込まれた風合いが空間の味に
外観。茶色にペイントされた花ブロックが目をひく建物は、1階奥が貸店舗で、2階がTさんの自宅。3、4階は賃貸住宅だ
寝室やウオークインクロゼットも個性的な壁紙で変化を付けた。
寝室(写真右)脇の廊下には、和の趣漂う絵画やチェスト、レトロな裁縫箱を飾って楽しむ
リビング奥の書斎スペース。優しい色合いで上品な印象を与えるアクセントクロスで、空間も華やぐ
4Cでオシャレに快適に 3、4階の賃貸住宅
ワンルーム 設備とインテリア重視建物の3・4階は、各階2世帯ずつ計4世帯の賃貸住宅。いずれもワンルームで、広さの違う2タイプがある。
Tさんがこだわったのは、「働く女性が安心、快適に過ごせ、インテリアを楽しめる空間」。コンパクト、キュート、コンフォータブル(快適な)、コンビニエント(便利な)の「4つのC」をコンセプトに、インテリアと充実した設備で物件の差別化を図った。
壁紙や設備選びをサポートしたのは、物件の仲介・管理も手掛けるベルフラワーハウジングの田﨑ゆかりさん。不動産コンサルティングを手掛けた金城さんの声掛けで、建築段階から関わった。
「四つの部屋はそれぞれデザインの違うアクセントウオールを取り入れ、床やキッチンパネルの色を合わせて統一感を持たせました」と田﨑さん。設備面では、キッチンをコンロ2口のグリル付きに。時間や天気を気にせず洗濯ができるよう、ガス衣類乾燥機や浴室内物干しも用意した。
Tさんは、「仲介・管理の視点から、入居案内の時期や家賃設定なども提案してくれたので、とても助かった」と喜ぶ
ユーズド風のストライプ模様の壁紙をアクセントにしたAタイプ9畳の部屋。クロゼットも広くとられている
広さ10畳、Bタイプの部屋。淡いグレーがかった床色に合わせ、キッチンパネルはピンクに。エアコンも備え付けられている
洗面室に設置されたガス衣類乾燥機。浴室には取り外せる物干しポールも備える
不動産コンサルティングマスター
金城久雄さんに聞く
資金調達や収支、経営の助言まで
Tさん宅のコンサルティングを手掛けたのは、狭小地有効活用や住宅プランニングを数多く手掛ける、㈲iホーム不動産コンサルティング代表取締役の金城久雄さん。沖縄県不動産コンサルティング協議会の理事を務め、専門委員会委員も兼任している。
「不動産コンサルティングの業務は、土地や建物の特徴、施主の要望などから総合的に判断し、敷地を最大限に生かすことができる選択肢を助言、提案すること。必要に応じて、税理士や司法書士、建築士など各分野の専門家への橋渡し、コーディネートも行います」と金城さん。不動産コンサルティングマスターから見た土地活用では建築や売買ありきでなく、クライアントの短期、中期、長期的な視点から考え抜いた提案を行う。例えば、駐車場にする方法、相続なども踏まえ、土地を分割して段階的に活用する方法もある。「特に狭小地では、柔軟な発想で相談にのってくれる建築士選び、建築費用を前もって入念に調査していくことが大切になってきます」。
県内の不動産コンサルティング技能登録者は90人。沖縄県不動産コンサルティング協議会には59社が加盟していて、定期的にセミナーなども行っている。金城さんは、「信頼できる不動産の相談先として、不動産コンサルティングマスターを活用してほしい」と話した。県不動産コンサルティング協議会(電話 098-861-3402)
編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1603号・2016年9月23日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
- キュレーター
- 比嘉千賀子
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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。