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2016年9月23日更新

不動産の日特集②|家と客室 良い距離感で

住宅建築費が高騰する中、住まい取得の選択肢の一つとして住居+収益物件がある。9月23日の不動産の日にちなみ、立地を生かすことで実益を兼ねつつ暮らしも充実させた事例を紹介。特集②では大自然に囲まれた大宜味村に土地を購入し、宿泊し移設を併用した自宅を建てた溝川祐次さん(45)宅です。

目の前は海、裏は森。大自然に囲まれた大宜味村に土地を購入し、宿泊施設を併設した自宅を建てた溝川祐次さん(45)。客室は二つのみの小さな宿。「この規模でちょうどいい。私たちの目が届くし、家族の時間も取れる」と話す。

1.自宅と客室の出入り口は離して

溝川さん宅と客室は同じ建物内にあるが、東西で出入り口が離れているから動線は重ならない。家族は写真左の玄関、客は写真右のアーチ形の入り口から中庭を通って出入り。ルーフテラスに上がる階段が溝川さん宅の玄関を目隠ししているのもミソ!

2.台所に勝手口 料理の提供スムーズ

自宅の台所で料理して提供しているため、すぐ外に出られる台所の勝手口(写真中央アーチ形の出入り口)は重宝しているそうだ。

3.天井高上げ開放的 リゾート気分演出

自宅LDK。カウンターの向こう側はキッチン。理佐さんの要望で自宅も客室も天井高は3.3mと高く取っているから開放的。リゾート感の演出に一役買っている。


店舗から計画変更
溝川祐次さん、理佐さん(39)夫妻が営む「海と星空の小さな宿 WASSA WASSA(ワッサワッサ)」は、手付かずの自然が楽しめるとあり、9月末まで予約がいっぱいだ。
同村に住む理佐さんの両親の紹介で土地を購入。引っ越す前は、沖縄市でレストランを営んでいた。「当初は、大宜味村に支店を出すつもりだった」と祐次さん。
だが、設計を依頼した建築士の伊藤紋子さんに「立地を存分に生かし、大自然を楽しめる宿泊施設にした方が良いのではないか」と提案され、プランを変更。「宿泊施設をやるなら近くに住んだ方が良いかなって。ゆくゆくは海のそばに住みたかったから、背中を押してもらえた」と話す。
建築費用や人手との兼ね合いもあり、客室は2室にとどめた。部屋にはベッドと畳コーナー、トイレのみ。テレビもないシンプルさが好評。「昼は海で遊び、夜はテラスから蛍の光を眺め、虫の声を聞きながらまったり過ごす人が多い」。
食事はルーフテラスで提供。朝食時は日の光に輝く海、夕食時は夕日や星空が味を引き立てる。理佐さんは「自然を存分に味わってもらえるし、私たちの目も届く」とほほ笑む。
無駄を省いた造りは建築費用を抑えつつ、人と自然との距離を近づけている。
 

海も緑も楽しめる造り

娘と海や川で遊ぶ
沖縄市でレストランを経営しているときは、朝早くから那覇市まで仕入れに出かけ、深夜まで店で翌日の仕込みをしていた。
大宜味村に拠点を移してからは「村内で地元の食材を仕入れているし、家で調理するから家族の時間が確保できている」と祐次さん。
休みの日は、娘と海や川で遊ぶのが何よりの楽しみだ。「この大自然は、子育てするにもいい環境」。
自宅と宿泊施設を同じ建物にまとめるにあたり、重要なのはプライバシーの確保だった。建築士の伊藤さんは「溝川さん宅と客室の玄関の位置を東西で離し、それぞれの動線をきっちり分けた」と説明する。
そのおかげで「ストレスはほとんどない」と理佐さん。祐次さんは、「お土産を持って来てくれるリピーターのお客さんもいますよ」と笑う。まるで「実家」のような、いい距離感で過ごせているようだ。

4.海一望できるルーフテラス 食事も入浴も

海が一望できる屋上で朝夕食を提供している。あえて屋外空間にして、風や波の音、星空も、周囲の自然を存分に楽しめるようにしている。食事以外にも露天風呂で入浴したり、ソファでゆったりくつろぐ客も多いのだそう。

5.客室と森が一体 扉開けるとそこは海!


客室からは建物裏にある森に出入りができる。客室のテラスには日よけのパラソルやテーブル、いすもあり、くつろげるようになっている。溝川さんは「森には蛍がいて、幻想的な風景が楽しめる。客室にはテレビを置いていないので、昼夜移り変わる森の景色や虫の声、風に揺れる草木のざわめきなどを聞いてまったり過ごすお客さんが多い。大宜味村ならではの大自然を堪能してほしい」と話す。
室内はオーシャンビューではないが、「玄関の扉を開けたときに海が見える。扉を開けるたび、『うゎー! 海だ!』という感動が味わるのも、また良いと思うんです」と話す。

田舎のメリット生かす計画
1、大自然を満喫できる宿泊施設に
2、客室は2室のみ。目と手が届く範囲で
3、職住近接で家族の時間も確保


DATA
家族構成:夫婦・子ども1人
敷地面積:596.48㎡(約180.43坪)
溝川さん宅:72.10㎡(約21.81坪)
客 室 部 分:51.56㎡(約12.58坪)
(シャワー室、屋上トイレ部分を含む)
躯体構造:鉄筋コンクリート造 ラーメン構造
設 計:一級建築士事務所 Crest 伊藤紋子
施 工:(株)万田建設(現在は吸収合併により(株)屋部土建)

◆問い合わせ Crest 090-8528-0966
「海と星空の小さな宿 WASSA WASSA」
http://wassa-okinawa.com
編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1603号・2016年9月23日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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