ジャズと緑に癒やされ|建築士の日 7/1|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

建築士の日

2016年7月1日更新

ジャズと緑に癒やされ|建築士の日 7/1

沖縄県那覇市首里の高台に築20年の2階建てを購入したKさん。「地域になじむ家にしたい」と、改修は隣接するカー(湧水)に縁のある建築士に依頼した。それから10年。「ジャズが似合う空間」にと天井に凹凸のある木リブを施したリビングで音楽を楽しみ、借景のガジュマルや庭の緑に癒やされる日々だ。

築20年の中古住宅を改修 地域になじむ住まいに


1階玄関側から見たリビング。10年前の改修では、フローリングやサッシはそのまま活用し、天井や壁面収納の扉に木を多用した。歳月で深みを増した木に庭の緑が映える/写真


リフォーム前 もともと2間続きの和室を洋間1部屋に改修して使っていた。庭の緑に対し、白壁と天井が殺風景な印象(建築士提供)​

 

長く住み継げる家
歳月が味わいに


のんびり暮らしたい

庭を囲んでL字に建つKさん宅。その庭に向けて伸びる木のリブ天井が印象的なリビングは、10年の歳月で木は艶めき、掃き出し窓の先に広がる緑が一層映える空間となった。Kさんは趣味のウッドベースを練習したり、ジャズを聴いたり。「木が音を吸収してくれるので周りを気にせず楽しめる。一杯やるのはもっといい」と楽しげだ。

那覇の中心地で商売をしていたこともあり「のんびり暮らしたい」と、金城ダムを見下ろす高台に中古住宅を購入したのは十数年前のことだ。建築士、故・金城俊光氏が手掛けた住宅で、その後別の人の手に渡り、「私たちで3代目」。「仲之川」に隣接し、門前の坂道は石畳という環境から、「街並みになじむ家に」とカーの復元工事に携わった建築士に改修を依頼。大広間や玄関、水回りを一新した。


1階ダイニングから庭を眺める。ザクロやクロキは庭にあったものを移植。冬はツバキで庭が赤く染まり、夏は濃淡さまざまな緑が目を楽しませる。アンスリウムなどの鉢植え類は、Kさんが旅先で見た植物園を参考にレイアウト/写真


リフォーム前 正面奥に見えるのが仲之川のガジュマル(建築士提供)




室内から見た1階玄関とアプローチ。リビングから続く木のリブ天井が奥行きを演出/写真左。
1階北側のトイレ。壁の色や床のタイルは娘さんが選んだもの。丸鏡は以前のままだが木縁と照明で「女優鏡」に/写真右



1階浴室。脱衣室との間はガラスで仕切り開放的に。正面の壁はKさんが好きなポールスミスをイメージして色を選んだ


メンテは先手で

今では子どもたちも独立し、孫が訪れるようになった。

カーのガジュマルを借景に豊かに育った自慢の庭は、孫たちの格好の遊び場。「春になるとタンポポの綿毛を飛ばして遊んでいます。サシバやカエルもやってくるんですよ」と夫妻。その庭を眺めつつ、Kさんが豆から淹れたコーヒーをゆっくりと味わうのが至福の時だ。

庭仕事で汗を流した後は、音楽を聴きながらジェットバスにつかるのもKさんの日課。「窓を覆う花ブロックに当たる夕日が、刻々と移ろう様がいいカンジ。とても気に入ってます」と喜ぶ。

ことし築31年とは思えない状態を保っているのは、「先手先手のメンテナンスのおかげ」。3年前には黒ずみが出始めた外壁を清掃し防水。ヌレエン、2階のベランダ手すり、軒下や配管類も塗りなおした。

夫妻は建築士との家づくりを振り返り、「インテリアや照明で、こんなにも変わるのに驚いた。カーの木々もうまく生かしてもらった」と満足げに話した。


購入当時のままの2階廊下。窓の外に見えるのは玄関のある西側の壁一面を覆う花ブロック。光や風は通しつつ、西日や視線はやわらかく遮る効果がある。
浴室。花ブロックで囲まれた坪庭部分に浴槽を新設した。浴槽の上は天窓になっており、「月も見える」とKさん







景観になじませる

上は現在の外観。「屋上にあった手すりや外階段を取り払い、新築時の外観に近づけた」と建築士。建物のボリュームを減らすことで、石畳(左)やカーから見上げた際も(左から2枚目)、違和感なく景色になじむ(青丸部)











建築士・根路銘安史さん(右)水上浩一さんに聞く

時代に流されないデザイン

Kさん宅は「もともとがシンプルな形で構造的に無理がなく、外断熱で躯体が保護されていたこともあり問題は見当たらなかった」と建築士。そこで、水回りの設備や内装を一新する以外は、「極力もとの住宅の良さを生かしつつ、要望を実現した」。リビングは庭の濃い緑とのバランスを考え、吸音効果も狙ったダークな木のリブ天井に。建具から外壁まで随所に用いられていた格子モチーフは、門扉や駐車場出入り口にも活用。外観は不要な屋上手すりや外階段を撤去することで、隣接するカーや街並みに溶け込む住まいとなった。「時代に流されないデザインだったからこそ、味わいの増す空間となった。本来住宅はそうあるべき」。土地になじみ、住み継げる住まいづくりのヒントがそこにある。
 

DATA
家族構成:夫婦
施工面積:1階 64.53平方メートル(約19.5坪)
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造+壁式構造

築年数 :20年(改修当時)
工 期 :約2.5カ月
設 計 :アトリエ・ネロ/根路銘安史、水上浩一
施 工 :根路銘建設

 

設計・問い合わせ先/アトリエ・ネロ
098-889-0103
www.a-nero.com
 
『週刊タイムス住宅新聞』建築士の日 第1591号 2016年7月1日掲載

建築士の日

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
徳正美

これまでに書いた記事:77

編集者
美味しいもの大好き!楽しい時間も大好き!“大人の女性が「自分」を存分に謳歌できる”そのために役立つ紙面を皆さんと作っていきたいと思っています。

TOPへ戻る