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2022年12月2日更新

[沖縄・お住まい拝見]シンプルでかっこよく|(有)門一級建築士事務所

[街中でも視線気にせず開放感]那覇市内の住宅地に建つGさん宅は、吹き抜けの中庭が開放感をもたらすコートハウス。「シンプルでモダンな雰囲気が好み」という夫妻こだわりの2階建て住宅は、まさに「かっこいい家」だ。

1階のLDK。インテリアは白、黒、グレーで統一。中庭から届く柔らかな自然光と間接照明が、落ち着きをプラスする
1階のLDK。インテリアは白、黒、グレーで統一。中庭から届く柔らかな自然光と間接照明が、落ち着きをプラスする


プライベートを満喫

Gさん宅
RC造/自由設計/家族4人

玄関ドアを開けると正面に広がるのは、陽光に満ち、植栽が風に揺れる中庭。玄関ホールから直接、出入りでき、引っ越しと同時に迎え入れた愛犬の遊び場にもなっている。「犬が飼いたくて、家を建てたようなもの」と夫人は笑う。

室内は使う色数を抑え、白、黒、グレーにまとめた。「シンプルな造りで、モダンな雰囲気が好み。落ち着いた雰囲気に仕上げたかった」とGさん。帰ってきたら必ず、家族と顔を合わせてから部屋に行けるようにと、LDKの壁際に設けた階段も空間のアクセントに。中庭からLDKに届く光は柔らかく、間接照明が一層、落ち着きをもたらす。「建築中は光の入り方がイメージできず、建築模型に懐中電灯を当てて、実験していました」

キッチンの背後には水回りとウオークインクローゼット、物干し場が一直線に続き、ぐるりと回遊できるから家事も楽々。キッチンから物干し場に抜けるスペースは、壁際にデスクを造り付けて勉強室に。「キッチンからのぞけば様子が分かる。子どもたちはほとんど、ここで勉強しています」

玄関ホールからLDKを見る。壁際に設けた階段は、厚さ12センチあるコンクリートの踏み板が壁から突き出す、スタイリッシュなデザインにこだわった。キッチン脇のガラスで仕切られた部屋は、ゲストルーム
玄関ホールからLDKを見る。壁際に設けた階段は、厚さ12センチあるコンクリートの踏み板が壁から突き出す、スタイリッシュなデザインにこだわった。キッチン脇のガラスで仕切られた部屋は、ゲストルーム
 

壁際にデスクと棚を造りつけた勉強室。キッチンと室内物干し場=写真奥=の間にあり、家事をしながら様子を見ることができる

壁際にデスクと棚を造りつけた勉強室。キッチンと室内物干し場=写真奥=の間にあり、家事をしながら様子を見ることができる
 

玄関ホール。正面にある吹き抜けになった中庭まで視線が抜け、開放感たっぷり。ホールから直接、出入りできるようになっている
玄関ホール。正面にある吹き抜けになった中庭まで視線が抜け、開放感たっぷり。ホールから直接、出入りできるようになっている


 

掃除が楽しみに

子どもの通学区内で、土地探しから始めた家づくり。県内の建築士事務所をネットで検索する中で、「好みにぴったり」な建築士事務所を見つけ、設計を依頼した。「いろいろディスカッションしながら造ることができたのが、とても良かった」

夏場の涼しさとカッコよさにひかれ、床は大判のタイル貼りに。建築士の提案で書棚を設けた2階廊下には、黒のアイアンアートが飾られ、通るのも楽しい。「使うアイテムを一つ一つ選ぶのは大変でしたが、細かいところまで気を配った分、大満足の仕上がりになりました」と夫人。

Gさんの休日の楽しみは家の掃除。「自分の家だからこそ、きれいにしたくなる」と楽しそうに話した。
 

家族共用の書棚を設けた2階の廊下。「圧迫感が出ないよう棚の高さを抑え、上部にアートを飾れるようにしてもらいました」と夫人。廊下の奥には中庭に面したテラスがある

家族共用の書棚を設けた2階の廊下。「圧迫感が出ないよう棚の高さを抑え、上部にアートを飾れるようにしてもらいました」と夫人。廊下の奥には中庭に面したテラスがある
 

2階の子ども室。東側=写真右側=に設けたテラスから光と風を取り込み、開放感たっぷり

2階の子ども室。東側=写真右側=に設けたテラスから光と風を取り込み、開放感たっぷり


外観。深いひさしと、壁の一部にはめこまれたすりガラスがアクセントに
外観。深いひさしと、壁の一部にはめこまれたすりガラスがアクセントに
 

広さ約7畳の中庭。一角に植物を植え、壁の一部をすりガラスに。光と風を取り込みながら、外からの視線をシャットアウトする

広さ約7畳の中庭。一角に植物を植え、壁の一部をすりガラスに。光と風を取り込みながら、外からの視線をシャットアウトする

吹き抜けの中庭に面した2階のテラスには、コンクリートでベンチを造作
吹き抜けの中庭に面した2階のテラスには、コンクリートでベンチを造作
 

坪庭を設けた浴室。換気がしっかりできるから湿気がこもらず、植栽に癒やされる




ここがポイント
中庭で視線を遮り 光と風も取り込む

住宅街にあるGさん宅は、南側に前面道路があり、東西に隣家、北側にアパートが近接する。「プライバシーを守りながら光と風を十分に取り込むことを意識して、コートハウスを提案しました」と、建築士の金城司さん。

一番の要は、南側に設けた吹き抜けの中庭。外壁が周囲からの視線を完全に遮るため、中庭に面した1階のLDKと2階のテラスは、開放的でくつろげる空間に。キッチンからもよく見える南の角に植栽を配し、壁の一部はすりガラスにした。「植栽はライティングできるようにして、夜はガラス越しに外からも植栽の陰影が楽しめるよう工夫。街並みにも貢献できる仕掛けにしました」。浴室とトイレにも坪庭を設けることで、換気と採光を高めた。

生活をスムーズにするため、上下階で公私の空間を分け、回遊性のある動線計画を重視。1階は、キッチンの背後に水回りやウオークインクローゼットなどをまとめ、家事効率を高めている。2階も主寝室から子ども室、廊下、テラスと回遊できる造りにし、廊下には家族共用の本棚を設置。テラスにはコンクリートでベンチを造り付け、読書やバーベキューなども楽しめるスペースに。「空間を有効利用しながら、家族のコミュニケーションも深められます」と金城さんは話した。



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:201.68平方メートル(61坪)
1階床面積:110.48平方メートル(33.42坪)
2階床面積:61.55平方メートル(18.61坪)
建ぺい率:53.39%(許容60%)
容積率:72.08%(許容200%)
用途地域:第二種中高層住居専用地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:(有)門一級建築士事務所
構造:ASD planning
施工:(有)友建産業
電気:(株)大幸電設
水道:(有)丸栄電気水道工業
キッチン:(有)MOV

問い合わせ
(有)門一級建築士事務所
 電話098・888・2401
 https://www.jo1q.com/


撮影/矢嶋健吾 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1926号・2022年12月2日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

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