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2021年4月16日更新

テラス囲み開放感|陽設計

[スキップフロアで店舗兼住宅|お住まい拝見]
玉城(たまき)さん(43)宅は、窓の少ない外観と打って変わって、デッキテラスを囲むように居室を配置したことで、室内は明るく開放的。スキップフロアの造りで、1階を独立した店舗、中2階と2階の住まいは平屋のような一体感のある空間を実現した。

室内に光を取り込むデッキテラスは、地面から1.5メートルほど底上げした中2階にある。子どもたちが顔をのぞかせているのが2階子ども室で、その下の階に夫人が営む美容室がある。テラス奥の階段を下りて美容室へ行ける


8段差で平屋感

玉城さん宅
 RC造/自由設計/家族5人 

玉城さん宅は、夫人が営む美容室も構えた店舗兼住宅。店舗スペースは1階の東側半分。住スペースは西側半分を地面から1・5メートル上げ、中2階のあるスキップフロアの造りで設けた。中2階と2階の高低差は階段たった8段分で、空間に一体感が生まれる。

小さな窓しか見えない白い箱のような外観からは想像しにくいが、室内はデッキテラスから光が入って明るい。「訪れた友人や親戚たちもギャップに驚いていた。週末はテラスで肉や焼き鳥を焼いて家族や友人と食事するのが楽しみ」と玉城さん。テラスの外階段を下りると美容室のランドリールームにつながり、「子どもたちがお母さんの様子を見に行く」裏通路だ。

ダイニングキッチンはテラスとフラットにつながる。約3・7メートルの天井高も相まって、実際の面積よりも広く伸び伸びとした空間に見せている。和室は将来仏壇を継ぐことも考えて玉城さんが希望した。建築士の提案で腰掛けやすい高さの小上がりにしたのもお気に入りの様子だ。和室の脇の階段を上って2階へ。子どもたちがくつろぐリビングは、個室をコンパクトにして広さを確保している。


キッチンから室内全体を見る。デッキテラスからの光で全体が明るく、ダイニングと和室は天井高も相まって開放的な空間に。スキップフロアにすることで、和室の奥にある2階リビングの様子もうかがえる


外観は白い箱のよう。プライバシーを守るため、窓は小さく設けた。下の窓が1階美容室、上が2階リビングにあたる。飛び出した外壁の間に階段があり、住まいの玄関につながる

2階にある長女と次女の子ども室は6帖の広さ。今は長女だけで使っており、「友だちを呼びやすくて一緒に勉強したり、遊んだりできてうれしい」と話す

 

子の独立後も想定

「両親からの要望もあって、40歳をめどに家づくりを考えていた」と玉城さん。夫人が営む美容室の移転が近場で済み、子どもたちも同じ学校に通える場所で土地を購入した。家づくりの必須条件は、美容室も一緒につくること。「店のことまで何でも気兼ねなく話せて、信頼もあるから任せられる」と、夫婦の同級生の建築士に依頼した。

最後まで悩んだのがトイレの位置。「寝室近くもいいけど、外でトイレを我慢しがちな子どものために」と玄関の近くに配した。「手洗い場は玄関ホールにあってコロナ禍でも重宝している」と夫人。

建築士が提案したスキップフロアの造りは、「空間に無駄がなく、階段も少ないから、子どもたちが独立しても2階がデッドスペースにならずに使いやすそう」と夫婦も納得。夫人は「1階キッチンから2階リビングまで見渡せる。理想だった平屋に近い感覚」と満足そうに笑みを浮かべた。
 

2階リビングから中2階を見下ろす。ダイニングから和室、リビングまで天井が一続きなので、より一体的な空間に見える。写真右奥に見える扉がトイレの入り口

2階リビングは子どもたちがくつろぐ場。天井高は2.4メートルに抑えられて落ち着いた雰囲気。「窓を開ければリビングからテラスへと室内全体に風が通って心地いい」と夫人


キッチンは背面収納を設けず、全てパントリーに収めてスッキリ見せる
 

洗濯・洗面室は、夫人の要望に応え洗濯物が干せるスペースを確保。「天窓から自然光が入って明るくて気持ちいい」と夫人もお気に入り


ここがポイント
内に開いて視線遮る 分離・共有で機能的

設計を担当した陽設計の玉城(たましろ)飛雄馬(ひゅうま)さんは、「スキップフロアは階層で職と住を分けつつ、平屋のような一体感がある空間もつくれる。夫婦が理想としていた独立した店舗と平屋の住まいがかなう造り」と話す。

敷地は糸満市西崎の整然と住宅が並ぶ区画整理地内。店を構えるのに好都合な角地だが、住まいとしては道路や隣家からプライバシーを守る必要があった。そこで、夫婦の要望にあったデッキテラスを仕掛けに使った。「テラスを中心にして部屋で囲うことで内に開いた造りに。外側に窓がなくても開放的で、カーテンがなくてもプライバシーが守れる」

ダイニングキッチンは約13帖。テラスとの一体感を出すため、折れ戸と片開き戸を使ったのがポイントだ。扉が開口の両端にスリムにまとまり、約2メートルの窓幅いっぱい開け放つことができる。「実際の広さよりも広々と見せる効果も生まれる」

夫人が要望した室内物干し場は、天窓をとって自然光が入るようにした。収納棚には普段着る衣類が収められ、身支度が1カ所で済む。加えて「手洗い場をトイレから分離して、玄関の収納脇に設けたことで身支度の場が増え、家族が多くても使いやすい」。

2階の子ども室は男女で部屋を分けているが、クロークは共有。「子どもは、例えばおもちゃなど一緒に使う物もある。共有することで収納や空間がコンパクトに。きょうだいを分断し過ぎない、緩やかなつながりが生まれると思う」と玉城さんは話した。


中2階ダイニングキッチン。オイル仕上げのチーク床は淡い茶系の色で白い壁とマッチする。写真右の収納棚の後ろに玄関があり、キッチン側に回ると手洗い場がある


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:257平方メートル(約77坪)
店舗床面積:56.42平方メートル(約17坪)
住居床面積:116.91平方メートル(約35.36坪)
建ぺい率:48.95%(許容70%)
容積率:67.44%(許容200%)
用途地域:第一種中高層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造
設計:陽設計 玉城飛雄馬
構造:(株)濱川構造設計
施工:十黄進ホーム株式会社
電気:神谷電設
水道:(株)剛設備社

問い合わせ
 陽設計
 電話098・914・1212
 http://www.hyuma.info/


撮影/比嘉秀明 取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1841号・2021年4月16日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
川本莉菜子

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編集者
好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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