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2021年8月13日更新

[沖縄・お住まい拝見]階段やロフト 段差で遊ぶ|(株)謝名堂建築設計事務所

[「秘密基地」あちこちに]
段差やロフトがいくつも設けられた建築士の謝名堂愁(しゅう)さんのお宅。その高低差を生かした「秘密基地」があちこちにある。ワンルーム的ながら遊びがいっぱいの住まいだ。

謝名堂邸のLDK。キッチン上部はロフト。写真左側の階段兼収納から出入りする。リビングは階段2段分の小上がりになっていて、段差をカウンターのベンチとしても活用している
謝名堂邸のLDK。キッチン上部はロフト。写真左側の階段兼収納から出入りする。リビングは階段2段分の小上がりになっていて、段差をカウンターのベンチとしても活用している


隠れる場所いっぱい

謝名堂愁さん宅
 RC造/自由設計/家族3人 


親から譲り受けた土地に、4階建て全15室+店舗1室のアパートを建てた。2階の1室を自邸にし、他室とは造りを変えた。

謝名堂邸はワンフロア的ながらロフトが二つ。天井高を2・1メートルに抑えたダイニングキッチンと、和室の上に配されている。キッチン上のロフトには書籍がずらり。ロフトの天井高は1・4メートルだが、座ればゆったりくつろげる。「ゆくゆくは書斎にしたい」。和室の上には使用頻度の低い季節の物を収納している。

リビングは、隣接するキッチンより階段2段分の小上がりになっている。この段差をカウンターの椅子代わりにしている。「息子は、カウンター下の空間がお気に入り。おもちゃを持ち込んだり、布団を持ってきてゴロンとしたり。秘密基地みたいな感覚なんでしょうね」と笑う。

謝名堂さんが自邸に求めたのは「ワクワク感」。隠れ家のようなロフト、アスレチックのような階段で「家中が遊び場。息子は外に行かなくても家遊びで満足している。隠れんぼをすると、探すのが大変」と笑う。

リビング。大きな掃き出し窓から光が入り明るい。ロフトに上がる階段は本棚や収納になっている。掃き出し窓の前にあるステップ部分は、ベンチや収納、子どもの作業机など多彩に使用
リビング。大きな掃き出し窓から光が入り明るい。ロフトに上がる階段は本棚や収納になっている。掃き出し窓の前にあるステップ部分は、ベンチや収納、子どもの作業机など多彩に使用
 

子ども室は、将来家族が増えることも考えて二つに仕切れるようにした。LDKは隣接していて、家事をしていても目が届く

造り付けのダイニングカウンター。足元は邪魔にならないよう1本足にしている
造り付けのダイニングカウンター。足元は邪魔にならないよう1本足にしている
 

キッチンの背面は、食器や炊飯器、電子レンジなどを収納するスペース。引き戸になっていて「閉じれば雑多な物を見せずにすむので便利」と夫人


階段・ベンチ兼収納

高低差を収納としてもフル活用する。ロフトに上る階段や、リビングとテラスの間にあるベンチも「妻のアイデアで物がしまえるようにした」。

随所に収納がたっぷりある上に、「キッチン背面の食器棚は、引き戸でサッと開閉できるんです。どの収納も物の出し入れが楽。キッチンをはじめ、LDKが散らかりにくくなって家事ストレスが減った」と夫人。

家族も物も“居場所”がいっぱい。さらに「お客さんも、どこにでも座れる。落ち着いたらホームパーティーを開きたい」と楽しそうに話した。

大小さまざまな四角形が散りばめられ、楽しい雰囲気
大小さまざまな四角形が散りばめられ、楽しい雰囲気
 

キッチン。前面の壁はベニア板にモルタルの左官仕上げをしたコンクリート風で解体が容易。コンロの前には壁の厚みを利用した「火の神」スペースを設置キッチン。前面の壁はベニア板にモルタルの左官仕上げをしたコンクリート風で解体が容易。コンロの前には壁の厚みを利用した「火の神」スペースを設置
 

テラスは室内のベンチの高さに合わせて段差を付けて芝生を張った。室内外が一体的に使える

テラスは室内のベンチの高さに合わせて段差を付けて芝生を張った。室内外が一体的に使える
 

掘り込み式の和室は4.5畳。茶室のような狭さが落ち着く。天井高は2.1メートルで、上部はロフトになっている。あえて階段は付けず、はしごで出入り。「年に1~2度しか使わないような使用頻度の低い季節の物をしまっている」

掘り込み式の和室は4.5畳。茶室のような狭さが落ち着く。天井高は2.1メートルで、上部はロフトになっている。あえて階段は付けず、はしごで出入り。「年に1~2度しか使わないような使用頻度の低い季節の物をしまっている」

リビングとテラスの間には、ベンチが設けられている。作業机としても使う。上部のフタを開ければ収納にもなる
リビングとテラスの間には、ベンチが設けられている。作業机としても使う。上部のフタを開ければ収納にもなる


ここがポイント
自由度高い「コンクリート風」壁

謝名堂建築設計事務所の謝名堂愁さんは「自邸ということで、いろいろ挑戦した。高低差のある造りもその一つ。お施主さんに提案しても図面だけではイメージしにくい。わが家をモデルルーム的に使いたい」と話す。

リビングを小上がりにすると段差をベンチとして使える。ロフトへ上がる階段は収納としても活用。「収納がたっぷりあるため、表に出るものが少なく、スッキリ広く見える。子どもの遊び場が増えるのもメリット。ただし、赤ちゃんなど小さな子がいる家庭は段差で転ばないよう対策が必要」

もう一つ、挑戦だったのがキッチン前面を覆う「コンクリート風」の壁。どっしりとしてモダンな雰囲気を醸しているが「実はコンクリートでなく、ベニヤ板にモルタルを塗って設置している。コンクリート流し込みにすると、将来リノベーションするときに取り除くのが大変。自由度の高い作りにした」と話す。

手掛けた左官職人からは剥離やひび割れを心配する声もあったが、「僕の家だからいいよって説得した。ザラつきのあるラスベニヤ板を用いたので剥離は起こらなかったし、住んで半年がたつがひび割れもない。うちの妻のように、室内でコンクリートの雰囲気を楽しみたいという方に提案したい」と話した。



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人
敷地面積:471.39平方メートル(約142.6坪)
※賃貸部分の面積も含む
謝名堂邸床面積:96.83平方メートル(約29.34坪)
建ぺい率:53.91平方メートル(許容60%)
容積率:148.42平方メートル(許容190.80%)
用途地域:第一種中高層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造
設計:(株)謝名堂建築設計事務所 謝名堂愁
構造:(株)濱川構造設計
施工:(有)キャッスル21
電気:(有)安波茶電機
水道:(有)住設
キッチン:(株)クチーナ沖縄 

問い合わせ
 (株)謝名堂建築設計事務所
  電話098・892・3584
  https://www.janadou.com/


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1858号・2021年8月13日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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