対談
2018年12月28日更新
近年の「お住まい拝見」から探る!|県内 家づくりトレンド
週刊タイムス住宅新聞の看板コーナー「お住まい拝見」を取材する記者4人が、過去3年(2016年1月~2018年12月)の記事から県内の住宅トレンドを分析。二世帯住宅や小さな家、省エネを意識した家など、特に印象的だった物件とともに、これからの住まいづくりのヒントを探る。
▲徳正美 編集部歴24年
▲東江菜穂 編集部歴11年
▲出嶋佳祐 編集部歴5年
▲川本莉菜子 編集部歴1年
―「お住まい拝見」に見る最近の住宅の印象
(徳)二世帯住宅がかなり増えたよね。沖縄的な部分が反映されているのと、建築コストの面から若い世代だけで家を建てるのが厳しくなっているのだと思う。
(出嶋)階で分けるだけでなく、別棟にして庭を共有する、長屋式などいろいろなパターンがあった。
(東江)あと、バリアフリーが当たり前になった。老後を見据えて、ドアを間口の広い引き戸にしたり、寝室のそばにトイレを設けたり、自宅介護を具体的に考えている印象。
(川本)平屋も増えた。子が巣立った後のことや老後を考えて、平屋でいいという声を耳にする。
(東江)建築費や地価が上がり続けている中で、いかに無駄を省くかも家づくりのポイントになっているよね。
(徳)タイムス住宅新聞のサイトで一番、閲覧数が多かった物件は、「16坪ですっきり暮らす」家。徹底的に無駄を省いて小さく建てている。あの潔さは、目からうろこだった!
(出嶋)敷地の造成費もばかにならない。造成費を削減するため、建物自体をよう壁にするなど変形地をうまく使った家も多かった。いびつな敷地を有効活用した家も面白かった!
(川本)お住まい拝見の「DATA」欄を見ると、用途地域が「市街化調整区域」や「未指定」も見られ、郊外の家が増えた感じがする。都心に比べると地価が安いので、広い敷地が取りやすいかも。
(東江)一部を施主自ら施工して人件費を削減したり、リフォームなら既存を生かしたり。建築費を抑える工夫が光る物件も多々あった。
―最近増えてきた間取りや設備
(徳)土間床を取り入れる家が増えた! 外の延長みたいな感じで、ラフに使えるのが良いのだろうね。
(川本)書斎は少なくなった感じがする。代わりに、家族共有のデスクスペースを設ける家が結構あった。
(出嶋)LDKと和室やテラスを一体的に使える造りの家も増えた。仕切りが無い分、コミュニケーションがとりやすいし、柔軟に使える。逆に個室は必要最小限にしている。
(東江)そうそう。個室を造っても、将来は二つに仕切れるようにしたり、逆に壁を取り払えるようにしたり、ライフスタイルに合わせて変えられるようにしている。長く住めるよう工夫を凝らしているよね。
(出嶋)和室は根強い需要がある。特に幼い子どもがいる家だったり、来客を泊めるときなど「重宝している」という施主は多かった。
(東江)洗濯機のある洗面脱衣・洗濯物干し場・ウオークインクローゼットがつながった家も良く見るようになった。共働きの増加で「家事効率」が重視されてきたのだと思う。家事室を設ける家も増えた。
(出嶋)デッドスペースを活用した技あり収納もいろいろあった。
(川本)省エネの意識も高くなっていると思う。遮熱性の高いガラスを入れたり、家を包み込むように断熱材を入れてエアコンの効率を上げた家や、風を巡らせる仕掛けを作ってエアコン要らずの家も印象的だった。
(徳)自給自足を目指し、太陽光発電と蓄電池も備えた家を建てた施主は、災害時も役立つと話していた。省エネや災害への備えも家造りの新たな視点になっている。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1721号・2018年12月28日紙面から掲載