家づくり
2024年11月15日更新
寝る姿勢のポイント|隙間、ねじれ、傾きに注意[介護を支える 住まいの工夫(39)]
介護が必要な人がベッドや車いすを利用するとき、姿勢が悪いと褥瘡(じょくそう)や拘縮の原因になることも。「クッションなどを活用して隙間・ねじれ・傾きをなくすのがポイント」と話す作業療法士の金城知子さん。「寝る姿勢」「座る姿勢」についてのアドバイスを2回に分けて紹介する。
寝る姿勢のポイント
隙間、ねじれ、傾きに注意
不適切な姿勢が 褥瘡や拘縮に
何らかの理由で熟睡できないと、起きた時の爽快感が得られない。質の良い睡眠のために姿勢を変えるのは普通のことだが、体を自分で思うように動かせない障がい者にとって、寝る姿勢は快適さや安全性に大きく影響してくる。
介護が必要な人がベッドや車いすを利用するとき、目的に適した安全で快適な姿勢が保持できるよう管理することを「ポジショニング」という。金城さんは、「ポジショニングは単なる姿勢管理ではなく、その人らしい生活を支える重要なケアの一つ」と話す。
逆に不適切な姿勢を長時間続けると、さまざまなリスクをもたらすと説明。体の特定部位に過重な体圧がかかり続けることによる「褥瘡(床ずれ)」、関節が動かせないことによる「拘縮」、呼吸がしづらくなることによる「呼吸困難」、循環が悪くことによる「むくみ」、消化機能の低下による「食欲不振」などを挙げ、クッションなどを活用したポジショニングや姿勢の大切さを訴える=下図。
クッションを活用 体圧を分散させる
「寝る姿勢」について金城さんは、介護が必要な人それぞれの状態に合わせることを前提に、「隙間、ねじれ、傾きが大切なチェックポイント」と話す。
寝るときは、体とベッドの間、特に肩の後ろや腰の下、膝の裏に隙間ができやすいと指摘。「クッションやタオルを入れて隙間をなくすようにしましょう。クッションは当てていても肩の後ろに隙間が残っていることがよくあります。肩や腰の部分も、それぞれ左右を結ぶ線が並行になっているか、ねじれていないかをチェックし、改善してください。最後に、肩や腰のあたりを一回軽くなでるだけでも圧が分散され楽になりますよ」とアドバイスし、「姿勢を変えるときは必ず声を掛け、表情などをよく観察しながら調整することが大切」と話す。
また、介護する人に対しても、「介護をするときは、ベッドの横に立って、握り拳を下ろしたあたりまでベッドの高さを調節し、腰を無理に曲げたり、ひねったりしないこと。スライディンググローブやスライディングシートなど、滑る福祉用具を活用して腰を痛めない作業姿勢を意識してほしい。作業・理学療法士などに相談を」と呼び掛けた。
きんじょう・ともこ/社会福祉法人おもと会本部・結ま~るケアプロジェクトリーダー、作業療法士
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2028号・2024年11月15日紙面から掲載