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2024年10月18日更新

浴室からポコポコ音|インスペクションで解明 住まいのミステリー 第19話「築50年のRC造2階建て2世帯住宅」

文・小島仁美(インスペクション沖縄メンバー、既存住宅状況調査技術者)


住宅の劣化状態などを調査して報告する「インスペクション(建物診断)」。今回は、ユニットバスの排水口から「ポコポコ」という音がする、という相談。インスペクション沖縄の小島仁美さんが原因を調査し、対策をアドバイスする。。

 第19話「築50年のRC造2階建て2世帯住宅」 

浴室からポコポコ音

 依頼内容 
築50年の鉄筋コンクリート(RC)造2階建て2世帯住宅に住んでいる。5年前に主に2階をリフォームしたが最近になって、ユニットバスの排水口付近からポコポコと音がする。原因を調査してほしい。

排水口付近からポコポコ音がするという相談。原因として考えられるのは、配管の接続不良、配管の詰まり、排水トラップ(排管の曲がった部分。ここに水をためることで悪臭や害虫が外部にもれないようにする)の不具合などが挙げられる


 5 年前に水回り新設

事前相談の段階で、リフォーム前後の平面図を送ってもらった。5年ほど前に、両親の家を2世帯住宅(1階に両親、2階に依頼者家族)にするリフォーム工事をしたそうだ。その際、2階に「キッチン・トイレ・洗面・洗濯・ユニットバス」の水回り一式を新たに設置した。

5年ほど経過したころから、時々ユニットバスの排水口付近から、音がすると気づいたそうだ。音の原因を知りたいことと、築50年ということもあり建物全体の状態も知りたい、という相談だった。

音の原因として考えられるのは配管の接続不良、配管の詰まり、排水トラップの不具合などだ。それを踏まえて調査に入った。






 配 管勾配がギリギリか?

5年前にリフォームしていることから、家全体はとてもきれい。
 音がする2階のユニットバス付近に床下点検口などがないか確認したが、見当たらなかった。バルコニーと居室の段差から推測すると、床下空間は約20センチほどだった。配管勾配がギリギリだった、という可能性が大きい。

リフォーム前の2階は水回りがなかったため、床下空間はあまり確保しなくても大丈夫だったが、今回のリフォームでは水回り製品が配置された。当然、リフォーム時に配管勾配は考慮されていると思うが、ギリギリの勾配であるため、経年による詰まり・圧力差が生じていると思われる。

依頼主に話を聞いていると、ユニットバスから離れたところの排水口でもあふれそうな場所があることが分かった。異音の原因を探すため、水回りの水を順々に流してみたところ、特に洗濯機の排水時にユニットバスの排水口付近で、ポコポコ音が確認できた。


 油 汚れの詰まりが原因

おそらく詰まりの原因(犯人)は、整髪剤や石けんのカス、皮脂も含めた油などが配管内部に付着したものであろう。詰まりというと、固形をイメージするが、配管内部の詰まりのほとんどは油である。特に体から出る皮脂も洗剤と一緒に流れて、配管内部にも付着していく。
 建物全体の状態については良好であり、それを伝えると安心されされていた。
 ポコポコ音の対策として有効なのは、配管内の洗浄だ。3、4年ごとに洗浄をすることを勧めた。


 解決策・アドバイス 
◆水回りのリフォームでは、水勾配に気をつけることが重要である。ついつい見える場所ばかりに目がいきがちだが、表から見えない、隠れてしまう場所も気にかけてリフォームプランを進めてほしい。



こじま・ひとみ/既存住宅状況調査技術者、二級建築士
電話=098・877・9610


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2024号・2024年10月18日紙面から掲載

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