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2020年5月22日更新

老朽マンション円滑に再生するには|教えて!マンション管理士さんvol.9

全国のマンションには約1500万人が暮らしています。
昔は、「いずれ住み替える」という意識の居住者が過半でしたが、最近では約63%が永住希望という調査結果も出ています。
今回は、老朽マンションの建て替えや大規模修繕について説明します。

老朽マンション 円滑に再生するには|教えて! マンション管理士さん[10]

全国のマンションには約1500万人が暮らしています。
昔は、「いずれ住み替える」という意識の居住者が過半でしたが、最近では約63%が永住希望という調査結果も出ています。

マンションも「終の住まい」

築40年超のマンションは全国で約73万戸あり(沖縄県内は約40棟)10年後には2・5倍、20年後には5倍の約352万戸に増える見通しです。居住者の70歳以上の割合も増え続けており、建物の老朽化と合わせて「二つの老い」が進行しています。

築後30、40、50年超の分譲マンション戸数(国土交通省)
※2018年度末時点




建て替え検討の時期
 築年数が経過してマンションの老朽化が始まると、維持管理に多額の費用がかかり修繕・改修または建て替え・売却かの検討が必要になってきます。
 検討のきっかけとして次のようなことが挙げられます。
①旧耐震基準のマンションであり、大地震に対する備えが不安。
②給排水設備などの劣化が著しく、日常生活に支障をきたす場面が増えた。
③エレベーターの更新が必要になった。
④大規模修繕工事に備え、さらなる修繕積立金の値上げが提案された。
 マンションの維持管理のため、あるいは機能性・居住性を向上させる必要があるなど、大規模修繕工事が避けられなくなり、「修繕や改修ではなく建て替えをするべきではないか」との意見が区分所有者や管理組合の役員から出てくる時期があります。
 建て替えを考える時期としては、以前は築31年~40年が多かったのですが、最近は築41年~50年が多くなっています。

専門家に相談を
 マンションの建て替え承認決議は、区分所有法で「区分所有者および議決権の5分の4以上の決議」が要件と定められており、費用や改善効果などを十分に検討した上で決議することになります。ちなみに、建て替え発意から決議まで平均で約7・4年かかっているという報告もあります。その後、建替組合の設立、旧マンションの解体、新築工事をへて、ようやく竣工となります=右下表。
 「マンションの建替えの円滑化等に関する法律(マンション建替法)」では、建て替え事業を円滑に進めるための手続きや方法が定められています。近年の改正により「容積率の緩和特例」「マンション敷地売却制度」が創設されてマンション再生への選択肢が広がっています。
 再生を円滑に進めるためには、居住者間の適切な情報共有とコミュニケーションが大切です。
 マンションの老朽化は社会にも重大な問題を引き起こすことから、改修・建て替えなど何らかの形で再生していくことが必要とされています。
 マンション管理士は、適正なマンションの管理、運営を求める管理組合の要望・相談にお応えできる専門家です。単独で悩むことなく、気軽に専門家に相談することをお勧めします。


マンション建て替え事業の流れ



執筆/(一社)沖縄県マンション管理士会副会長・渡辺紘志

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1794号・2020年5月22日紙面から掲載

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