企業・ひとの取り組み
2024年4月26日更新
多文化共生社会を目指す|宮城俊彦さん((株)DREAM CONNECT代表取締役)|家々人々[144]
県内の大手旅行会社に15年間勤め、独立。主にアジアからの特定技能を持つ人材の就職支援を行う(株)DREAM CONNECT代表取締役の宮城俊彦さん(38)。居住支援にも取り組み、外国人労働者が安心して暮らせる社会を目指す。
多文化共生社会を目指す
みやぎ・としひこ/1985年、那覇市出身。県内旅行会社で15年勤務。東南アジアとの国際交流事業に携わる。外国人労働者受入市場に対する不安と危機感を抱き、19年、社内で「外国人材紹介事業」の部門設立。22年に独立し、「人と信頼で夢をつなぐ」を理念に「(株)DREAM CONNECT」の代表取締役に就任。24年、外国人労働者の居住支援に取り組む「一般社団法人住みまーる」を設立。■以前から海外への関心は高かったのですか?
実は、前職に就くまで海外経験も知識もほぼ皆無でした。
名古屋で就職した後、沖縄に戻って経理の資格を取り、建設会社で働き始めました。しかし、半年で倒産。
その後、県内の大手旅行会社に転職し、カンボジアでの学校建設プロジェクトやボランティアに携わるうち、現地の人に多くを学び、海外への関心が芽生えました。
■海外で感じたことは?
日本で働きたい、日本語を学びたいという人はたくさんいるのですが、正確な情報が伝わっていない。日本に来れば毎週、富士山に遊びに行けると信じている人がいたり、留学生が稼げると誤解したりする人もいる。多額の借金をしてまで来日する若者たちの現状に、正確な情報を橋渡しする必要性を強く感じました。
2019年に人手不足とされる介護や建設など12の分野で外国人が就労可能な在留資格を与える「特定技能制度」が創設され、会社では外国人受け入れに関わる部門を設立しましたがコロナ禍で活動が停滞。そんな中、沖縄で困窮するネパール人たちと出会い、取り組みをより強化したいと決心。22年に独立しました。
現在の住まい
現在は夫婦二人暮らし。海外の人とのやりとりが多いため、時差の関係から「オフィスだけでなく自宅でも仕事をすることが多い」と話す。■事業を通じ考えることは?
外国人労働者や留学生には生活環境が整わず、問題を抱えている人が多い。より良い受け入れ態勢を構築する必要があります。
全国的な人手不足で県外からの紹介依頼もありますが、双方にしっかり話を聞き、それぞれに正しい理解があり、信頼関係が作れるかを重視し、場合によっては断ることもあります。
日本で働き始めるのはゴールではなく、スタート。私たちも就職前後でしっかり支援し、定着率を上げることを大切にしています。
■今後の目標は?
外国人労働者と日本社会が共に成長し、互いに支え合える関係を築くことを目指しています。
多文化共生や外国人の居住支援に取り組もうと、ことし2月、沖縄NGOセンターの理事を含めた有志で「一般社団法人住みまーる」を立ち上げました。外国人用シェアハウスの運営を始め、外国人労働者が安心して働ける環境づくりをしていきたいです。
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ホッ と空間
成長を見守るリビング
外国人が日本企業の面接を受ける前に、オンラインでプレ面接を行い、最終意思確認をしているという宮城さん。「画面の向こうに、すごく努力をしたであろう成長した姿を見ると、ホッとします」と目を細める。
成長を見守るリビング
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行 週刊タイムス住宅新聞
第1999号・2024年4月26日紙面から掲載