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2024年2月2日更新

【プロがつくる庭】大パノラマを背に 伸びやか和洋の庭

有志建設(読谷村) 施工/(株)沖縄ガーデン

大パノラマを背に 伸びやか和洋の庭

有志建設(読谷村)


存在感放つ 秘蔵の木や石


遠景も近景も堪能

有志建設の和洋二つの庭は、それぞれ2度楽しめる。

まずは和風庭園。最初に目に飛び込んでくるのは雄大な眺望だ。大パノラマを背負う巨石や木は、力強く清々(すがすが)しい。「借景との間の仕切りは目の大きな四つ目垣にし、境界をあいまいにしています」と話すのは、作庭した沖縄ガーデンの比嘉太地さん。さらに「庭の外にあるホルトノキまで、見え方を考えて剪定(せんてい)しています」。細かな配慮が一体感を演出している。

遠景を堪能したら、次は近景。和風庭園の入り口に鎮座するのは、龍のように幹をくねらせるリュウキュウマツだ。ダイナミックな幹に誘われて奥に歩を進めると、趣のあるクロキが鎮座する。「たぶん樹齢は何百年単位。念願の庭をつくるにあたり、秘蔵の木や石をふんだんに使ってもらった」と有志建設の波平正勝社長は話す。重厚な主木が庭を引き締める。

水の流れを摸(も)する砂利の小道はさらに奥へと続く。川のようにくねくねと曲がる道を歩きながら、クロキ、リュウキュウマツ、ヒイラギ、クロガネモチ、ツツジなどの緑を楽しむ。先に目をやると、曲がる道や木・石がゆるく視線を遮る。これも奥行きを感じさせる庭師のワザだ。


立派なクロキ=写真右側=を主木にした和風庭園。雄大な借景と一体化したスケールの大きさが魅力。石や砂利で水を摸した枯山水
 

まるで龍のような姿のリュウキュウマツが出迎えてくれる
 


砂利の中に配された延段(石張の通路)や飛び石が景色にリズムを生む


くねくね伸びる小道や、石や木がゆるく視界を遮り、奥への興味を引く



ハーブや多肉植物の ナチュラルガーデンも

洋庭は手間少なく

もう一つの庭は、ナチュラルガーデン。社屋の玄関前に細長く伸びる。作り込み過ぎない自然な雰囲気が魅力だ。

和風庭園のように入り組んではいないが、随所にある琉球石灰岩が単調さを払拭。岩の隙間にサボテンやアガベ、アロエなどの多肉植物や、ローズマリー、スイートバジル、ミントなどのハーブが青々と茂る。「社屋の一角をカフェにする予定。料理や店の彩りにも使える植物を植えてもらった」と波平社長。「要望を踏まえつつ、手入れの手間が少ない植物を入れています」と比嘉さんは話す。

こちらの庭も借景との一体感を考慮し、「庭の外側にあるアコウの木も、庭からの見え方を考えて剪定しました」。

庭が完成して約1年。昨年は大きな台風もあったが「崖や木々が風を切ってくれたようで、庭も社屋も大きな被害はなかった」と波平社長。まさに立地が生きる庭だ。
 


ハーブや多肉植物で彩るナチュラルガーデン。敷地境界に沿った細長い形。背後のアコウの木も庭からの見え方を考えて剪定されている


ナチュラルガーデンの最も眺めの良い場所にはウッドデッキテラスが設けられている。読谷の緑が大パノラマで広がり、社員の憩いの場となっている


有志建設は高台にあり、二つの庭は敷地境界に添ってL字型に配されている。ナチュラルガーデンは駐車場(左側)から細長く伸び、和風庭園は奥に配され、周りの緑と一体になるよう造られている(写真提供/有志建設)


いつも花や緑がいっぱいの同社。担当のスタッフがほぼ毎日、庭の手入れをしているそうだ


和風庭園にある東屋から景色を見る。本部石灰岩のテーブルセットは波平社長が「東屋に合うものを」と探し、やっと見つけた逸品
 

設計・施工/(株)沖縄ガーデン
電話=098・932・1600


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1987号 2024年2月2日紙面から掲載

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