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2023年11月24日更新
命や倫理観 柔らかな絵で伝え|ASAKA(あさか)さん(透明水彩作家)|家々人々[139]
透明水彩作家として、創作から指導まで幅広く活躍するASAKAさん。11月24日(金)から26日(日)まで、県立博物館・美術館で開催されている「小さな絵本展」では新作絵本を発表。創作に打ち込む暮らしなどを聞いた。
命や倫理観 柔らかな絵で伝え
あさか/1989年、西原町出身。高校を中退し、2019年から透明水彩作家として創作活動を開始。20年、「なは市民芸術展」で奨励賞を受賞。21年、絵本作家のさくちかさんが立ち上げた「My Piece Art Project」に加入。同団体が主催する「小さな絵本展」に参加し、絵本作家としても活動。12月から水彩画の出張講座もスタートさせる。■幼少期の暮らしの思い出は
両親と弟が3人の6人家族。私は少年漫画を読み、男の子と遊ぶ活発な子でした。
小さいころから絵を描くことも好きで、中学生のころには本格的な画材を使って、オリジナルの絵を描いていました。高校は美術が専門的に学べるところに進学したかったのですが、周りの反対で普通高校に進学しました。
高校で水彩画に挑戦したのですが、思うように描けなくて挫折したり、学校にもなじめなくて中退したり、少しつらい時期もありました。退学後は仕事を掛け持ちするなど忙しくて、絵を描くことから離れていました。
20代半ば、時間に余裕ができたときにインターネットで水彩画の技法を教える動画を見て、描く楽しさを思い出したんです。画材にもこだわるようになり、理想の絵が描けるようになって再び創作を始めました。
現在の住まい
昨年から故郷の西原町に戻り、絵を描きながら夫と暮らしている
■ASAKAさんは、透明感のあるメルヘンチックな世界観が人気ですね。
以前、家族を突然亡くした遺族の思いに触れることがあり、それ以来、命や倫理観をテーマに描くことが増えました。
私は小学生のとき、涙を流しながら語る戦争体験者の話を、つら過ぎて聞くことができませんでした。とても大事なことだと頭では分かっていたのに。
私のような子は他にもきっといるはず。そんな子どもたちのためにも、命や倫理観という大切なテーマを、柔らかな絵で優しく伝えていけたらと思って創作しています。
私が大切だと思うことを、絵にこだわらずいろいろな方法で表現して伝えていくことで、それぞれが考えるきっかけになればと思います。
■今後の目標は?
自分の創作活動以外にも、水彩画を描くことや思いを表現することの魅力を伝えていきたい。「私も水彩画を描いてみたい」という人が多いので、育児中や移動が難しい人でも学びやすいよう出張教室も行います。
私自身、絵の活動を通して人に見てもらい、声をもらい、その出会いの中で学びや影響を受けました。そして過去の挫折があるからこそ、今の自由な表現があると思っています。絵に決まりはない。難しく考えず、一つの作品を仕上げたときの達成感や喜びを感じてもらえるようサポートしていきたいです。
絵本展開催中! 今年で14回目を数える「小さな絵本展」のフライヤーデザインを担当しました。新作絵本も発表します。入場無料。ぜひご来場ください!
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ホッと空間
好きが詰まった作業部屋
もともとは母の趣味の部屋だったところを作業部屋として使うようになったASAKAさん。「ドライフラワーや雑貨など、好きなものがいっぱいあって、ここにいるだけで落ちつく」と笑顔で話す。
好きが詰まった作業部屋
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行 週刊タイムス住宅新聞
第1977号・2023年11月24日紙面から掲載