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2023年10月27日更新

実家を地域の「私設公民館」に|稲嶺萌さん(cafe&marketココロゴコロ代表)|家々人々[138]

糸満市西崎で、カフェとマーケットと公民館がドッキングしたようなユニークな店「cafe&marketココロゴコロ」を営む稲嶺萌さん(40)。店のテーマは「私設公民館」。老若男女、誰もが集い、交流を楽しめる場所にしたいと話す。

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実家を地域の「私設公民館」に

いなみね・もえぎ/1983年、糸満市出身。神奈川県で大学を卒業後、東京に移り、税理士事務所、飲食店、不動産業を経験。2018年結婚。21年、夫妻で沖縄にUターン。実家の1階駐車場をリノベーションし、「cafe&marketココロゴコロ」を開業。同店で自家栽培した無農薬野菜も販売している。


■「私設公民館」をテーマに店を始めた理由は?

2年前、夫婦で千葉から沖縄へ戻ることを決めたとき、僕の実家の1階駐車場を使って、事業を始めたいと思いました。民泊など複数の案が出たのですが、今までになかったことをやりたいと情報を収集していくうちに、東京を拠点に活動する建築コミュニケーターの田中元子さんが提案、普及に取り組んでいる「私設公民館」に興味を持ったんです。公民館のように誰もが日常的に集い、活用できる場をつくるというのがコンセプトで、地域活性化につながっている事例も多い。実際の施設も見学して話を聞かせてもらい、これだと思いました。構想、設計の段階で田中さんの助言もいただきながら、リノベーションし、約2年後、開業することができました。
 
カフェの間取り
実家の駐車場だった1階をリノベーションし、カフェを開業。出入り口やトイレなどはバリアフリーにし、奥には小上がりの座敷を設けるなど、赤ちゃん連れから高齢者まで使いやすい空間にした。



■こだわったところは?

赤ちゃん、お年寄り、障がいがある人、誰もが集え、くつろげる空間づくりです。出入り口やトイレなどもバリアフリーにし、内装インテリアは木材を中心に使いました。

スペースや時間で借りられるようにしているので、ハンドメイドのワークショップやライブ、お誕生会などでよく活用されています。

奥にある小上がりの座敷は「他のお客さんに気兼ねせず過ごせる」と、赤ちゃん連れの親子に人気です。テーブル席では、夏休みになると宿題をする子どもたちがいたり、ノートパソコンを開いてお仕事している人がいたり、読書を楽しむ人もいて、それぞれ自由なスタイルで過ごしています。

道路に面した半屋外の軒下はテラス席と野菜コーナーを設け、私が育てた無農薬野菜を販売しています。店番は僕の母。隣近所の人や母の友人が常連客。いつも楽しそうにユンタクしている様子を見て、この場所を作って本当に良かったと思います。


■今後の目標は?

カフェは妻と、野菜づくりは父と、販売は母と、家族で力を合わせ、これからもやっていきたい。

また、利用してくれるお客さまのアイデアで、この場所がどんどん変化していくのを見てみたい。僕たち家族だけでなく、集う人々のやりたいことがかなう場所にしたい。そのために、空間活用も思考も柔軟にやっていけたらと思っています。


畑仕事が楽しい!
帰郷後、父の畑を手伝っているうちに興味が湧き、無農薬野菜や平飼い養鶏に取り組むようになりました。畑でいろいろな挑戦をすることがすごく楽しいです

 
◇    ◇    ◇

 
ホッと空間
外気が心地いいテラス

半屋外のテラス席が稲嶺さんお気に入りのスペース。「冬になるとこたつを並べるんですが、その暖かさと冷たい外気とが相まって、すっごく心地いいんです。事務作業をしたり、昼寝にも最高です」と笑顔で話す。

取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行 週刊タイムス住宅新聞
第1973号・2023年10月27日紙面から掲載

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