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2023年11月17日更新

自費介護サービスの活用|幅広く対応 心の余裕にも[介護を支える 住まいの工夫(27)]

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介します。今回は介護保険の対象にはならない部分を補い、生活を支援する「自費介護サービス」について家事代行COCONA代表の喜納雅子さんに話を聞きました。

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介護を支える住まいの工夫 (27)

自費介護サービスの活用
幅広く対応 心の余裕にも

介護保険制度は、介護が必要な高齢者などが、1~3割の自己負担でさまざまな介護サービスを受けることができる。しかし、厳しい利用基準があり、制限のかかる場面も多い。

例えば、ホームヘルパーが介護を必要とする人の自宅を訪問して行う「訪問介護」では、掃除、洗濯、料理、買い物などの「生活援助」があるが、同居家族がいると、原則、利用できなくなる(障がいや疾病など家族に特別な事情がある場合、認められることもある)。

そこで注目したいのが「自費介護サービス」。保険外であるため全額自己負担になるが、同居家族が居ても生活援助や通院以外の外出介助などを依頼できる。要介護・要支援の認定を受けていない人も利用でき、幅広い要望に対応している。

介護福祉士の経験を生かし、家事代行の事業所を営む喜納さんは、「訪問介護事業所によっては、自費介護サービスも行っているところがあるので、まずは相談してみて。対応がなければ、家事代行にも相談してほしい」と呼び掛ける。


自由度高い時間制

家事代行で自費介護サービスを受ける場合、気になるのが料金だ。一般的には時間制で、1時間あたり3千~4千円が相場となっている。「時間制だからこそ提供できるサービスの自由度が高い」とメリットを話す喜納さん。利用者も「家族に頼むより、気兼ねがなくていい」と話す人が多く、「サービスが入る日を楽しみにしていて、次回を心待ちにしているのが伝わってくる」と笑顔を見せる。

沖縄はまだまだ介護、家事、育児も女性が担っている部分が大きい。「子どもがいるから、親の介護があるからと、あきらめるのではなく、自分のための視点を大事にしてほしい」と喜納さん。「家事代行を上手に活用すれば、自分時間を楽しくしたり、自分の気持ちにも余裕を作れる」と説く。つらい気持ちを我慢し過ぎると、心身の健康を損ねることもある。「そうなる前に相談しサポートを受けてほしい」と力を込める。

また、「介護者が家事代行を利用する際は補助するなど、社会でもっとサポートする必要があると思う」と行政側の制度や仕組みの充実も訴えた。


 

介護保険でできないこと 家事代行の活用で補う

喜納さんが提供している自費介護サービスの事例を紹介。どれも介護保険ではできないため、全額自費負担になるが、安心して気兼ねなく利用できると喜ばれている。
 

①掃除
夫婦2人暮らしのBさんは病により、歩行時などバランスを崩しやすい。転倒による骨折などの心配があり、家事代行で定期的な掃除を依頼。「介護保険が使えない、窓拭きやベランダ掃除、床の拭き掃除などが喜んでもらえる。夫婦の表情も明るくなった」と話す。

 

②買い物同行サービス
Aさんは、介護保険外で「買い物同行サービス」を家事代行に依頼。定期的に大きなショッピングセンターを訪れている。「1人で行くのは不安でも、付き添いがいることで安心できるし、自分の目で見て選べることをとても喜んでくれている」と喜納さん。Aさんの他にもランチやカラオケに付き合うこともあるそうで、「誰かと外へ出掛け、何かできることを楽しみ、次回を心待ちに過ごしているのが伝わる」と話す。

 

②その他、自費介護サービス(介護保険ではできない)  
・冠婚葬祭の付き添い ・家具などの配置換え
・家族のための調理、洗濯、収納、アイロンがけ
・食器棚整理 ・クローゼットや棚の整理
・草刈り、庭掃除
・嗜好(しこう)品、お中元、来客用の買い物
・散歩の付き添い ・美容院などへの同行
・墓参り、法事などへの同行 ・見守り、話し相手
 




きな・まさこ/家事代行COCONA(ココナ)代表。介護福祉士の経験を生かし、自費介護サービスなどを提供


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1976号・2023年11月17日紙面から掲載

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