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2023年3月17日更新

介護のベッド選びは慎重に[介護を支える 住まいの工夫⑳]

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回は介護ベッドを選ぶときの注意点や最新機能まで、福祉用具専門相談員で福祉住環境コーディネーターの大城政人さんが紹介します。

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介護を支える住まいの工夫 ⑳

介護のベッド選びは慎重に

介護ベッドは安眠だけでなく、利用者が容易にベッドから出られること、介護がしやすいことなども大切な機能として求められる。長年、在宅介護を支援してきた大城さんは「選び方や使い方を間違えると、寝たきりの状態や床ずれを作る原因にもなる。その人に合ったベッド選びが重要」と話す。

介護ベッドには、主に以下のような機能と目的がある。

(1)高さ調節機能=利用者が立ち上がりやすい高さ、介護者が腰に負担のかかりにくい姿勢をとれる高さに設定できる。
(2)背上げ機能=自力の起き上がりを補助。座位姿勢の保持。
(3)脚上げ機能=足のむくみ対策。背上げをしたときの体のずれを予防する。
(4)ヘッドレスト上げ機能=嚥下(えんげ)や呼吸がしやすい姿勢を保持し、誤嚥(ごえん)リスクを低減する。

特に(4)は、昨年登場した機能で注目を集めている=囲み①

ベッドからの起き上がり、寝返り、立ち上がり、移乗の際に手すりとして使う「介助バー」は、ベッドにしっかり固定できる。しかし、寝具や体の転落を防ぐ、ベッド脇に差し込むだけの柵で代用する人がいると指摘。「適さないもので寝返りなどに使うと思わぬ事故につながる場合もある」と注意する。


沖縄在宅介護あるある

介護ベッドは介護保険でレンタルできる。介護度が軽いと対象外になるが、「一部例外で貸与可能な場合もある他、自費レンタルや市町村社会福祉協議会での貸し出しもある」と大城さんは助言。「介護用にと電動ベッドを購入した失敗談が少なくない。ホームセンターや家具店で販売している電動ベッドは、高さ調節ができず、マットレスの幅が介護保険で貸与できる床ずれ予防マットと違うなど、介護ベッドに適さないものも多い」と話し、注意を促す。

台風による停電にも気を付けたい。大城さんは、ベッドに取り付け、手動で操作できるハンドル=囲み③=や、空気が抜けにくい床ずれ予防マットなども推奨している。

「近年は、スマホで操作できるものなど、介護ベッドの機能性が多様に進化している。まずは福祉用具の専門家か作業療法士・理学療法士などに相談し、しっかり検討してほしい」と呼び掛ける。




ベッドや付属品も機能進化
自立支援とQOL向上に


介護ベッドはその付属品も含め、機能性の向上が進んでいるが、「本人の状態や日常生活、介護状況を踏まえた選択が大事」と大城さん。

 ①ヘッドレスト上げ機能 
ヘッドレスト上げ機能|介護を支える 住まいの工夫
頭の角度を0~50度の範囲で調整できる。嚥下や呼吸がしやすい姿勢を保持し、誤嚥リスクを低減する。目線が天井から前方を向けるようになるので、家族と目線が合いやすく、コミュニケーションも取りやすい


 ②ひじ固定用テーブル 
ひじ固定用テーブル|介護を支える 住まいの工夫
テーブルに取り外し可能な肘を置ける台を設置。肘が固定されると、食事の姿勢が取りやすく、首の筋肉も緊張が緩むので誤嚥しにくい。ベッド上でも飲食、洗面、歯磨きが自力でできるよう、自立をサポート


 ③電動ベッド専用手回し発電機 
電動ベッド専用手回し発電機|介護を支える 住まいの工夫
ハンドルをベッドに取り付け、手動で回すと発電し、ベッドの操作の一部ができる。沖縄では台風による停電が2~3日続く地域もある。災害時の停電やベッドの故障といった緊急時、手動でできる対策も持っておきたい



大城政人さん|介護を支える 住まいの工夫
おおしろ・まさと/(株)シルバーサービス沖縄取締役営業部長、福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1937号・2023年2月17日紙面から掲載

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