家づくり
2023年2月17日更新
気配を察知し徘徊対策[介護を支える 住まいの工夫⑲]
介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回は認知症などによる徘徊(はいかい)対策に役立つさまざまな福祉用具について、福祉用具専門相談員で福祉住環境コーディネーターの大城政人さんが紹介します。
気配を察知し徘徊対策
在宅介護でも特に、認知症による徘徊があると、介護する家族の気力体力の消耗は大きい。
福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーターとして、在宅介護を支援してきた大城さんは、「外出に支障のない高齢者でも、突然、普段と違う行動をする“まだら認知症”を起こすことがある。事故につなげないためにも、見守りに役立つ福祉機器で介護の負担軽減に役立ててほしい」と呼び掛ける。
徘徊対策用の見守り装置には、センサーに連動した発信器と受信機からなるものや、アプリを入れたスマホをその受信機変わりにできるもの、GPS機能で位置情報を知らせてくれるもの、その他いろいろあり、「近年は人の動きを感知し、モニターして、危険度を判断する機能が向上している。徘徊の兆候をとらえてくれるので、徘徊するのを防いだり、事前の対策が取りやすい」と話す。
センサーが動きを感知
よく活用されているのが、ベッドの上や足元の床にセンサーの入ったマットを設置するシートタイプのもの=①。ベッドから起き上がったり床に足を着くとセンサーが作動して、別の部屋にいる家族に知らせてくれる。
また、ドアや玄関に取り付けるセンサーで、ドアを開けたり指定した範囲を超えると、受信機やスマホに知らせてくれるものもある。
見守りは屋内だけでない。普段から外出しているが、まだら認知があり不安という場合、本人に小型の発信器を携帯させる方法もある=② ③。
つえやシルバーカーなどに取り付けられるため、普段と変わらない日常生活を送りながら見守りすることができる。ただし、「本人が持ち歩くことを嫌がったり、外してしまったりする場合は、お守り袋に入れたり、衣服に専用ポケットを縫い付けるなどして、さりげなく携帯してもらえるような工夫が必要」と大城さんはアドバイスする。
徘徊感知器は介護保険サービスでレンタルすることが可能。
「人の見守りだけで徘徊に対処するには限界がある。福祉用具も活用すると負担が減る。福祉用具の専門家やケアマネジャーなどに相談してほしい」と呼び掛けた。
センサーやGPSで見守り アラームやメールで通知
認知症の徘徊に限らず、外出に支障がない高齢者でも、道に迷って遠くまで行ってしまう場合がある。GPS機能があれば位置情報が分かるので安心だ。以下は、介護保険サービスでレンタルも可能。
①シートタイプ
シートにセンサーが内蔵されており、ベッドからの起き上がりや離床など移動を検知して受信機に知らせる。ベッドのマットレスや敷布団の上に敷くタイプ、床に敷いて使うタイプがあり、無線でコードにつまずく心配もない。
②ペンダントタイプ
写真左の発信器が、写真中央の受信機から離れたら、受信機が音、振動、液晶表示で警告。10m~100m程度の5段階で範囲を設定できる。電波通信飛距離は最大1km。発信器を持ち歩くのを嫌がる場合は、お守り袋に入れるなど、さりげなく携帯できるよう工夫するのがコツ。
③つえなどに取り付け
いつも使っているつえやシルバーカーに取り付けて使用。オプションでスマホアプリを利用すれば、外出・帰宅時間、距離、動きがないなどアクシデント発生時、介護者に安全を知らせたいときなど、GPS機能による位置情報をメールで通知できる。
おおしろ・まさと/(株)シルバーサービス沖縄取締役営業部長、福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1937号・2023年2月17日紙面から掲載