家づくり
2022年6月17日更新
【沖縄】福祉用具の新機能を確認|介護を支える 住まいの工夫⑭
介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回は在宅介護を支える福祉機器を常設展示する沖縄県介護実習・普及センターで、福祉機器の最新情報について話を聞いた。
福祉用具の新機能を確認
ニーズ高いベッド
在宅介護を支える福祉機器や福祉用具。適切に選ぶためには、介護を必要とする人の身体状況や住環境もしっかりと考える必要がある。「現物を試用したり、専門家のアドバイスを受けることが大切」と話すのは、沖縄県介護実習・普及センターの仲村安弘所長。
同センターは、福祉用具の普及などを目的に県の委託事業として運営されており、福祉用具の常設展示や介護講座などを行う。専門の知識を持つスタッフが介護相談にも応じている。
福祉機器の中でも、特にニーズが高いとされるのがベッド。社会福祉士の徳田郁子さんは、「ベッドから離れるのが難しいと、寝たきりのリスクが高くなる。介護ベッドなら、寝心地に加え、容易にベッドを離れられるということも大切な機能です」とアドバイスする。
また、ベッドから車いす、車いすからベッドへ、自力での移乗が難しい場合はリフトも有効だ。リフトは「大げさ」とか、「人を物扱いしているように感じる」など、導入に心理的な障壁がまだあると言われているが、「近年は日本の住宅事情に合わせてコンパクトになってきていることや、介護保険制度でレンタルも可能なので、ベッドと一緒に活用しているケースが増えてきています」と話す。」
進化する福祉機器
「メーカーや種類も多い介護ベッドは、機能性がどんどん向上している」と話すのは、宮城真政主査。「ベッドの背や膝が上げ下げできるだけでなく、頭部の首の部分が可動するのもある。首の角度は食事の際にむせこむのを予防し、誤(ご)嚥(えん)防止が期待できる」と説明する。
また、ベッドの高さをうんと低くできるタイプのものは、「転倒によるケガの防止や、要介護者が自力でベッドにずり上がることができるようになった」、ベッドや車いすに座った状態で使う「オーバーテーブル」で、「肘を支える機能が付いたものは、自力で食事ができるようになった」などの事例が生まれている。仲村所長は、「福祉機器を使うことで、機能訓練や、食の改善、生きがいにもつながっていく」と笑顔を見せる。
同センターでは、全国の福祉機器メーカー44社が集う「福祉機器展」を7月1日、2日に開催する。「コロナ禍で3年ぶりとなった年に1度のイベント。普段は展示できない最新の福祉機器が実際に見て、触れることができる」として来場を呼び掛ける。参加無料で、セミナーは要予約。問い合わせは沖縄県介護実習・普及センター 電話098(882)1484。
左から沖縄県介護実習・普及センターの宮城真政主査、仲村安弘所長、徳田郁子さん、坂元健吾さん
見て、触れて、試す
福祉機器展示場
沖縄県総合福祉センター東棟1階にある沖縄県介護実習・普及センターには最新の介護ベッドやリフトが常設展示されている。他にも、車いす、入浴、住宅改修に関するコーナーもあり、実際に見て、触れて、試すことができる。介護に関する相談、介護講座なども開催している。
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Aさんの事例
テーブル使って自力で食事
半身まひで車いす生活を送る、70代の男性。ベッド上で体を起こしたとき、肘を乗せて支える機能がついたオーバーテーブルを使用したら、腕が安定したことで、自力で食事ができるようになりました。食欲が出て、表情も生き生きとしてきて、身体機能も良い方向へどんどん変わっていきました。自分でできることが増えて元気になり、その様子に家族も喜んでいます。
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1902号・2022年6月17日紙面から掲載