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2022年5月20日更新

【沖縄】ベッド周りのヒヤリ・ハット 使い方が危険を招く|介護を支える 住まいの工夫⑬

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回は重大な事故につながりかねない「ベッド周りでのヒヤリ・ハット事例」から、作業療法士の金城知子さんが事故防止対策についてアドバイスします。

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介護を支える住まいの工夫 ⑬

ベッド周りのヒヤリ・ハット
使い方が危険を招く


福祉用具の中で最も普及しているとされるのが介護ベッド。電動モーターによる背上げ機能や高さ調節の他、サイドレールを手掛かりにすることで、障がいがある人の起き上がりや体の向きを変えることが容易になる。しかし、作業療法士の金城知子さんは、「介護ベッドが正しく使われておらず、せっかくの機能が生かされなかったり、転落などの事故につながっている事例が多い」と話す。

Aさんの事例に対し、金城さんは、「ベッドが壁際にあると、壁側の柵は不要と考える人がいますが、布団のための隙間があったり、ベッドが少しずつずれたりして、壁側に体がはまってしまう隙間ができやすい。壁際でもベッドの柵は利用して」と促す。

また「褥瘡(じょくそう)予防の視点からも、介護用ベッドのマットレスの上に敷布団を敷く必要はないが、マットレスの上には敷布団を敷くものと思い込んでいる人が少なくない」と指摘。Aさんのようにベッドの枠から垂れ下がった敷布団に座り滑り落ちる事故は多いとし、「マットレスの上に敷布団は敷かないで。また、シーツを敷く場合も、ズレ防止にとマット裏でしばるケースを見掛けることがあるが、そうするとマットが固まってしまい、体重の圧を分散させ褥瘡を防ぐ機能が損なわれてしまう」と注意する。


慣れ、過信に要注意

「自分はできると思ったという過信や慣れも事故につながりやすい」と金城さん。ベッドから車いすへの移乗は、ベッドと車いすの座面の高さを合わせることが基本だ。ほとんどの介護用ベッドは手元のコントローラーを使って高さが調整できる。しかし、「高齢者は、こういった事前準備を面倒がったり、忘れてしまいがち。これぐらいなら大丈夫だろうと強引に移乗して事故につながっているケースは多い。周囲の見守りも大切です」と話す。

寝心地に問題がある場合は、マットの硬さなどが関係している可能性も。「ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、リハビリテーション職員などに相談して、本人に合ったベッドやマットレスを選び、正しく使ってほしい。条件が合えば、介護保険制度でレンタルも可能です」と呼び掛ける。



Aさんのヒヤリ・ハット
3事例


左半身不随の母を在宅介護するAさんは、介護保険サービスで介護用ベッドをレンタル中。「大事には至らなかったが、ベッド周りで何度かヒヤッとした経験がある」と話す。Aさんのヒヤリ・ハット体験三つを紹介する。

ベッドと壁の隙間に体が挟まり
身動きがとれなくなった


ベッドの壁側には手すりを設置してなかった。その隙間に体がはまり、身動きが取れない間、体重の負荷がずっと掛かって、家族が見つけたときはぐったり


ベッドから起きて座ろうとしたら
敷布団と一緒に床へ滑り落ちた


介護用ベッドに敷布団を敷いてはいけないと知らず、寒がりの母のために厚手の敷毛布を敷いてしまった


車いすからベッドへ移乗する際
お尻が上がりきらず転びそうに


介護生活が始まった当初は慎重に暮らしていた母も慣れてくると、ベッドのコントローラー操作などが適当に。「これくらいは大丈夫」という過信からヒヤッとする場面が多々起きるようになった




きんじょう・ともこ/社会福祉法人おもと会本部おもと会から介護を変えていくプロジェクトリーダー、作業療法士


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1898号・2022年5月20日紙面から掲載

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