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2022年4月15日更新

【沖縄】「暗がり」改善し転倒予防|介護を支える 住まいの工夫⑫

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回は、転倒予防対策で見落としがちな「暗がりの改善」について、作業療法士の金城知子さんがアドバイスします。

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介護を支える住まいの工夫 ⑫

「暗がり」改善し転倒予防

見落としやすい危険性

介護を目的とする住宅改修では、転倒予防のための段差解消としてスロープを設置するなどの対策がよく行われる。しかし、「転倒や転落事故は、いくつかの要因が重なっている場合がある。要介護者や家族も気付きにくい生活環境の不備は改善対策から見落とされやすい」と作業療法士の金城知子さんは注意を促す。

歩行が困難な人は、敷居や戸枠などの小さな段差でもつまずくことが多い。「敷居と廊下の色が一緒だと、高齢者の目で段差を測るのが難しくなる。さらに、その場所が暗ければ危険度はより増す」と指摘。「昼間は窓から自然光が差し込み明るい場所も、夜間は真っ暗で、照明が不足していることもある。ぜひ夜間にも住まいの点検を行ってほしい」と呼びかける。

点検の際にポイントとなるのが「照明の位置」。廊下や階段の天井に照明が一つだけだと、「照明が体の前方にあれば足元は明るいが、照明の下を通り過ぎると、逆に自分の濃い影で足元が最も暗くなる。照明を増やして影を分散させることが大切」と説明する。

照明の設置は介護保険制度の補助が受けられないため、なかなか工事ができないというケースがある。しかし、昨今ではコンセントに差し込んだり、壁に貼り付けるだけで簡単に設置でき、人が近づくと自動で明かりがつく「人感センサー付きの照明」がホームセンターなどで千円台から手に入る。「歩行の障害とならないよう、なるべく薄型のものを壁の低い位置に設置すれば足元が明るくなって、階段も立体的に見える。可能であれば壁の色を白くすると床や段差がより見分けやすくなる」とアドバイスする。


安全な環境を保つ

せっかく住宅改修を行っても、歩行や移動の障害になるような物を置いたりしては転倒リスクがなくならない。「床に物が置いてあったり、延長コードがはっているとか、トイレや玄関など、またいだところにマットや脱ぎ散らかした靴やスリッパなどがあるときは要注意。マットを使う場合は、滑り止めシートを併用したり、整理整頓をするなど、家族で話し合い、総合的に安全な環境を保っていくことが大切です」と力を込めた。



昼夜で暗がりを点検
照明の位置を工夫する


照明が体の後ろから当たると、足元に濃い影ができ、足元の段差や障害物が見分けにくくなり、転倒の危険性が高まる

壁の低い位置に照明を設置すれば、足元が明るくなり、階段も立体的に見える。壁も白くすれば床や段差がより見分けやすくなる

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Aさんのケース

要介護3の70代女性。半身まひですが、自宅内など短い距離なら手すりを頼りに歩くことができます。夜中にトイレへ行くのですが、昼間より歩きにくい上、部屋からトイレまでの廊下は暗くて不安でした。ある日、ホームセンターで人感センサーライトが千円台で売っていたので購入。電池式の壁に貼り付けるタイプで簡単に設置でき、近づくと自動で光ってくれ、消灯も自動なので、とても便利。足元もしっかり照らしてくれるので安心感があります。

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きんじょう・ともこ/社会福祉法人おもと会本部おもと会から介護を変えていくプロジェクトリーダー、作業療法士


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1893号・2022年4月15日紙面から掲載

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