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2021年10月15日更新

【沖縄】良質な眠りへの環境づくり|介護を支える 住まいの工夫⑦

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回は作業療法士の宮良大介さんが「より良い睡眠のための環境づくり」についてアドバイスします。

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介護を支える住まいの工夫

良質な眠りへの環境づくり

光と温度を調整

人は本来、日中の活動で体温が上昇し、夜になると体温が低下して眠くなるバイオリズムがあるという。介護を必要とする人が「よく眠れない」といった睡眠の悩みを訴えることが多いのは、「身体機能や日常生活上の制限でバイオリズムが崩れやすいのも原因の一つ」と指摘する作業療法士の宮良大介さん。

長年、訪問リハビリで居宅介護をサポートしてきた宮良さんは、「より良い睡眠のためには、日中や就寝前の過ごし方、寝室の環境が大切。快眠につなげる環境づくりでは光と温度が大きなポイントになる」と話す。

朝は「カーテンを開け、太陽の光を浴びること」、着替えて、可能なら寝室から移動して食事をし、「なるべく体を動かすこと」。就寝前は白っぽい蛍光灯の光ではなく、「赤みを帯びた優しい暖色系の照明」にし、「室温は快適温度」にするなど、外からの刺激を大きく受けないようにするのが大切とした。

体を動かしたり、移動するのが難しくても、「遮光カーテンを閉めたまま、1日中パジャマで過ごすのは良くない。朝の光を浴びると体内時計がリセットできる。着替えて読書をする、テレビ番組を見るなど、日中は好きなことをして過ごし、昼夜のメリハリをつけると快眠につながりやすい」と話す。


安心できる寝室に

認知症の家族を介護している時は対応も重要。眠れずに混乱しているところへ「寝なさい」と抑制的な態度で接するのは逆効果。「リビングなど別の部屋に移動し、温かい飲み物を一緒に飲んで過ごすなど、眠れないということから意識をそらすのもコツ。自然と眠気を感じてきたらベッドに戻るようにするとうまくいく」と助言する。

また、夜はカーテンを閉め、照明を落とし、パジャマに着替え、布団の中を湯たんぽで温めるなど、睡眠までの決まった行為があると、寝つきやすくなる。

他にも快眠を考える上で工夫したいのが夜中に行くトイレ。寝室はトイレに近い部屋か、ポータブルトイレを活用するのもいい。就寝時はベッドの下などに間接照明を置けば、睡眠を妨げず、起きたときに真っ暗で転倒するような事故を防げる。強い照明で完全に目が覚めてしまうことも防止する。

宮良さんは「快眠のための環境づくりは、性格や好みなど本人に合わせることが大切」と強調。Tさんの事例=左囲み=のように、室温や光を調整するためにカーテンの丈や遮光性を配慮したり、空間や好みに合わせた色や柄を選ぶなど、気持ちよく、安心して過ごせる環境づくりを心掛けてと呼び掛ける。


カーテンで寝室を快適に
在宅介護をきっかけにカーテンを設置。窓の高さより丈を長くして、窓や壁との隙間を減らし、冷気を伝わりにくく、室温が下がり過ぎないようにした。女性の好きな花柄模様で、木製の壁に包まれた空間が明るい印象になるよう淡いグリーンにしたり、朝の光が分かる程度の遮光レベルを提案するなど、穏やかなリラックスを感じる空間にした。(写真提供:近光インテリア)
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Tさんのケース
90代の祖母が脳梗塞の後遺症で半身不随の車いす生活に。古い住宅は冬になると窓のガラスや隙間から伝わる冷気で室内の寒さも厳しかったんです。退院に合わせてカーテンを設置したら、寒さが和らぎ、枕元にまで降りてきた冷気もなくなりました。以前は毎晩、雨戸を閉めていた祖母は、カーテンになって朝の光を取り入れるのが楽になったことと、カーテンの色や柄も気に入ってくれ、「気持ちよく寝られるようになった。カーテンで部屋が明るくなり、気持ちまで軽くなったみたい」と喜んでくれ、うれしかったです。
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みやら・だいすけ/医療法人おもと会訪問リハビリぎのわんおもと園 作業療法士


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1867号・2021年10月15日紙面から掲載

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