特集・企画
2018年12月27日更新
増税の影響小さめ|シンクタンクが予測 県内住宅市況
[知っておきたい〜消費税増税と建築物省エネ法〜]2019年の住宅市場について、県内3つのシンクタンクの予測を聞いた。
戸建ては取得価格上昇傾向
比嘉明彦さん
海邦総研 地域経済調査部 部長 兼 主席研究員
2018年を振り返ると、石垣や宮古を含め、県内では需要に供給が追い付いていない状況です。建設ラッシュが続くマンションはファミリー層の購入を中心に、投資や社宅、セカンドハウスとしてなど需要が多様化。
2019年は、固定・変動金利共に低水準を維持するため、住宅取得環境は良好(晴れ)と予測されます。しかし、地価の高騰や建設価格高騰によって戸建て住宅の取得価格は上昇傾向が続くと見られ、県内の鉄筋コンクリート造住宅の建築単価が坪100万円を超えることも珍しくなくなっています。中古物件も戸建て・マンション共に、条件次第では販売時よりも高値で取引される状況が続きそうです。
10月に実施予定の消費税増税は2014年の前回と比較して増税割合が小さく、軽減税率などが打ち出されることから、一時的な駆け込みと反動は生じるものの前回よりも影響は少ないと考えています。また、次期沖縄振興計画との兼ね合いもありますが、2020年以降、オリンピックの県内住宅市況への影響は少ないのではないでしょうか。
低金利が続き、50年など長期でのローン返済も可能になりましたが、自身の収入やライフプランをしっかりと把握して住宅取得計画を立てることが大切です。
景気よく住宅取得は堅調
當銘栄一さん
おきぎん経済研究所 調査研究員
2019年の県内の住宅市況は、堅調に推移すると見ています。当社の景気動向調査で企業の景況感のよい状態が続き、今後も離島を含む県内各地で各種開発を見込んだ住宅需要が見込まれます。一方、10月からの消費税増税で、10月前の需要が前倒しになり、それ以降に減る流れがあるので「晴れのち曇り」としました。
減るといっても大きな減少はないと見ています。昨今の人手不足と資材価格の高騰に加え、消費税増税で住宅取得率が多少は落ちると思いますが、政府による住宅取得などに関する対策もあり、限定的になると見ています。
2020年のオリンピックまでは、堅調と見ています。それ以降5年、10年先は予測が難しいですが、二つの方向性が考えられます。一つは今の観光の勢い。観光客の増加を前提に考えると、さまざまな開発や投資が沖縄に集中し、好景気に。人とモノの往来も活発化し、景気が良くなると考えます。一方、首都圏と沖縄以外の地方は、人口減少が現れていて今後、沖縄でも全国に遅れて減少トレンドになっていくといわれています。そこを注視すると、新築だけでなく中古住宅などのリノベーションも必要になってくるかと。住宅取得は、ライフプランからタイミングを見極めてほしいと思います。
低金利続くも、コスト上昇
仲吉良弥さん
りゅうぎん総合研究所 調査研究部 上席研究員
2019年の住宅の取得環境は、「晴れのち曇り」と予測されます。
県内の住宅ローン金利は低水準を維持し、今後も横ばいが予測されるため、支払額を抑えられます。その点で、予報は晴れ。
一方で、人手不足で人件費が上昇、資材の価格も上昇し、地価は上がっています。住宅購入費は上昇が続くでしょう。10月の消費税増税で景気が落ち込むと、賃金が上昇しにくくなる懸念も。そうした点から、いずれ曇りになる、と考えられます。
消費税増税後、住宅ローン控除の3年間延長が予定されており、住宅取得を取り巻く環境への増税の影響は軽微でしょう。ただし、控除の適用には、増税後に住宅を購入し、2020年12月31日までに完成した住宅に住み始めなければならず、注意が必要です。人手不足で建築の工期が遅れがちなので、家造りのスケジュールは余裕を持っておくといいでしょう。
2020年のオリンピック後は、大型工事が一休み。全国は一定期間、景気が落ち込むことが予想されます。一方、県内は那覇空港第2滑走路の供用開始により観光が好調になり、全国より景気は良くなるでしょう。建築費の下落は望みにくいです。
比嘉明彦さん
海邦総研 地域経済調査部 部長 兼 主席研究員
2018年を振り返ると、石垣や宮古を含め、県内では需要に供給が追い付いていない状況です。建設ラッシュが続くマンションはファミリー層の購入を中心に、投資や社宅、セカンドハウスとしてなど需要が多様化。
2019年は、固定・変動金利共に低水準を維持するため、住宅取得環境は良好(晴れ)と予測されます。しかし、地価の高騰や建設価格高騰によって戸建て住宅の取得価格は上昇傾向が続くと見られ、県内の鉄筋コンクリート造住宅の建築単価が坪100万円を超えることも珍しくなくなっています。中古物件も戸建て・マンション共に、条件次第では販売時よりも高値で取引される状況が続きそうです。
10月に実施予定の消費税増税は2014年の前回と比較して増税割合が小さく、軽減税率などが打ち出されることから、一時的な駆け込みと反動は生じるものの前回よりも影響は少ないと考えています。また、次期沖縄振興計画との兼ね合いもありますが、2020年以降、オリンピックの県内住宅市況への影響は少ないのではないでしょうか。
低金利が続き、50年など長期でのローン返済も可能になりましたが、自身の収入やライフプランをしっかりと把握して住宅取得計画を立てることが大切です。
景気よく住宅取得は堅調
當銘栄一さん
おきぎん経済研究所 調査研究員
2019年の県内の住宅市況は、堅調に推移すると見ています。当社の景気動向調査で企業の景況感のよい状態が続き、今後も離島を含む県内各地で各種開発を見込んだ住宅需要が見込まれます。一方、10月からの消費税増税で、10月前の需要が前倒しになり、それ以降に減る流れがあるので「晴れのち曇り」としました。
減るといっても大きな減少はないと見ています。昨今の人手不足と資材価格の高騰に加え、消費税増税で住宅取得率が多少は落ちると思いますが、政府による住宅取得などに関する対策もあり、限定的になると見ています。
2020年のオリンピックまでは、堅調と見ています。それ以降5年、10年先は予測が難しいですが、二つの方向性が考えられます。一つは今の観光の勢い。観光客の増加を前提に考えると、さまざまな開発や投資が沖縄に集中し、好景気に。人とモノの往来も活発化し、景気が良くなると考えます。一方、首都圏と沖縄以外の地方は、人口減少が現れていて今後、沖縄でも全国に遅れて減少トレンドになっていくといわれています。そこを注視すると、新築だけでなく中古住宅などのリノベーションも必要になってくるかと。住宅取得は、ライフプランからタイミングを見極めてほしいと思います。
低金利続くも、コスト上昇
仲吉良弥さん
りゅうぎん総合研究所 調査研究部 上席研究員
2019年の住宅の取得環境は、「晴れのち曇り」と予測されます。
県内の住宅ローン金利は低水準を維持し、今後も横ばいが予測されるため、支払額を抑えられます。その点で、予報は晴れ。
一方で、人手不足で人件費が上昇、資材の価格も上昇し、地価は上がっています。住宅購入費は上昇が続くでしょう。10月の消費税増税で景気が落ち込むと、賃金が上昇しにくくなる懸念も。そうした点から、いずれ曇りになる、と考えられます。
消費税増税後、住宅ローン控除の3年間延長が予定されており、住宅取得を取り巻く環境への増税の影響は軽微でしょう。ただし、控除の適用には、増税後に住宅を購入し、2020年12月31日までに完成した住宅に住み始めなければならず、注意が必要です。人手不足で建築の工期が遅れがちなので、家造りのスケジュールは余裕を持っておくといいでしょう。
2020年のオリンピック後は、大型工事が一休み。全国は一定期間、景気が落ち込むことが予想されます。一方、県内は那覇空港第2滑走路の供用開始により観光が好調になり、全国より景気は良くなるでしょう。建築費の下落は望みにくいです。