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沖縄建築賞

2018年7月27日更新

From沖縄建築賞[2]

県内の優れた建造物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」(主催・同実行委員会)。ことし5月25日には、本紙で第4回の入賞作品を発表した。住宅部門の正賞に漢那潤さんの「本部町の新民家」、一般建築部門の正賞に大嶺亮さんの「FFD unit」が選ばれた。入賞作品をもっと詳しく知りたい! という声に応え、本コーナーでは入賞作品の詳細を紹介する。今回は正賞2点。

第4回(2018年)住宅部門正賞
本部町の新民家 漢那潤/ISSHO建築設計事務所

独自の金具で 間取り自由に
古民家のような造りながら家の四方全部が窓。建物を支えるための外壁を必要としない新たな構造が評価され、住宅部門の正賞を受賞したのが漢那潤さん設計の「本部町の新民家」だ。

外壁の代わりに家を支えるのが、深い軒の「アマハジ」にいくつも設置した斜材。漢那さんが開発した金物で「アマハジ」の柱と斜材をつなげることで、水平耐力と吹き上げ荷重(強風時などに下から吹き上げる風圧力)に同時に対抗でき、壁を造らずに済んだ。

同構造は、土台を必要としないため床下換気を削減できたり、構造部材をすべて表に出した設計が可能になりメンテナンスが容易になるそうだ。

同建築はさまざまな大きさや間取りに応用でき、プロトタイプ(原型)としての可能性を秘める。


室内。緑に囲まれた敷地を余すことなく堪能できる開放的な空間




機能的な水回り

コストダウンのためバス・トイレはシンプルにした。


キッチンは収納たっぷり。オープンな空間だが、雑然とした部分が見えないよう配慮されている



第4回(2018年)一般建築部門正賞
FFD unit 大嶺亮/ファイブディメンジョン 一級建築士事務所

空間に選択肢 定住型の賃貸
住人は「他のアパートにない造りと、長く住めそうだからここに決めた」と語る。大嶺亮さんが手掛けた集合住宅「FFD unit」の魅力は、ライフスタイルに合わせて空間の機能を自分で決められること。集合住宅の好例だと、一般建築部門の正賞に選ばれた。

「FFD unit」には、外階段から各居室に入る前に外玄関があり、アウトリビングへと続く=下居室の構成参照。アウトリビングは壁に囲まれた半屋外空間。リビングの延長としたり、室内に直射日光や雨が入ってくるのを避ける「アマハジ」のような役割を意図して設けた。

FFD unit  居室の構成

そこから玄関を入ると、リビング・ダイニングへとつながる。玄関のほかにも、掃き出し窓から室内に出入りができる。現地審査では大きく開いた掃き出し窓から室内に入る委員が多かったほか、アウトリビングから室内の委員と会話する姿もあった=下写真。モダンな造りだが、古民家の面影がそこに見えた。

コンクリート土間床のLDは土足利用が可能。ペットとの生活やSOHOなどの使用も見据えた。全6戸、現在満室


アウトリビングから居室へは玄関からも、掃き出し窓からも出入りができる。


リビング・ダイニングの床はコンクリート土間で、土足利用も可能

水回りはシンプルに
キッチン(写真右)や浴室など(左)は非常にシンプル。大嶺さんは家賃に配慮し、特別な建材や設備は使用しなかった。シンプルなおかげで、住人が手を入れてカスタマイズしやすい。キッチンや浴室へ続く廊下は、寝室へつながり、公私の空間がぐるぐると回遊できる







 

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