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2018年6月29日更新

手掛けるのは混構造「打つ手は無限 最善策を考え抜く」 山城東雄さん[東設計工房]

【建築士の素顔】7月1日は建築士の日。通常紙面では仕事のみにスポットがあたるが、建築士の素顔は? アイデアの素は? 掘り下げると、建築への熱い思いや豊かな個性が見えてきた。

山城東雄さん(73) 東設計工房


山城さんの趣味は囲碁。2016年に亡くなった建築家・国場幸房さんとも「人生談義をしながらよく打った」


手掛けるのは混構造

2段の腕前 極意「諦めない」

「パチッ!」。碁石を打つ小気味良い音が響く。建築に携わり50年以上のベテラン、山城東雄さんは囲碁2段の腕前だ。その極意を「諦めないこと。窮地に陥っても、どこかに打開策がある」と語る。
図面を描くペンに持ち替えても、その極意は同じ。手描きにこだわるのは「施主がイメージしやすいように」。ペンと色鉛筆を用い、スケッチするように平面図や完成イメージなどを描く=下写真。手を動かしながら予算、周辺環境、時間などの制約と向き合い、施主にとっての好手を探し続ける。
朝5時。誰よりも早く事務所に出勤し、早速ペンを持つ。「誰にも邪魔されず、図面に没頭できる。私の人生で一番の至福のとき」と柔和な笑みを浮かべる。夢中になるあまり、会議をすっぽかしてしまったこともある。
「生みの苦しみは確かにある」と言うも目元は穏やか。「施主に図面を見せたときに、『こんな家に住みたかった!』と言われるとすべてが報われる」。苦しみの先を知るからこそ、半世紀以上ペンを握り続ける。
「打つ手は無限にある。局面を多角的に捉え、最善策を考え出す思考力が、名案を生み出す設計力につながっている」。囲碁の神髄が仕事にも生きる。


山城さんの仕事はスケッチから始まる。大まかな図面を描いた後、詳細な平面図(写真上部)を描く。外観や内装のイメージも描き、施主への説明に用いる



混構造に「沖縄らしさ」

若手建築士に伝えたいのは「20代はひたすら学び、辛抱強く耐えて、ものづくりの楽しさを味わってほしい。そうすれば自分のスタイルが見えてくる」ということ。
山城さんが30代のときにたどり着いたスタイルは混構造。コンクリートの躯体に赤瓦ぶきの木造屋根が載った家だ。鉄筋コンクリート造(RC造)が主流の中、定石にとらわれず「沖縄に適した住宅を考え抜き」、混構造に至った。「屋根を木造にすることでRC造のデメリットである強烈なふく射熱を和らげることができる。そして赤瓦屋根は沖縄の風景にもなじむ。美しい街並みを造るのも建築家の使命」。
現在73歳。三線やゴルフも趣味。60代から水彩画や合唱も始めた。「設計は感性の世界。絵や歌、運動も感性を磨くのに役立つ」と、さまざまなことにチャレンジし続ける。「私から、ものづくりを取ったら何も残らない」。生涯現役を誓う。



山城さんが手掛けるのは鉄筋コンクリート造の壁に赤瓦ぶきの木造屋根が乗る混構造の建物だ。「頑丈さと涼しさ、沖縄らしい外観を兼ね備える」と語る



山城東雄(やましろ・あずまお)
1944年、小浜島出身。中学まで西表島で過ごし、64年に琉球政府立沖縄工業高校建築科を卒業。78年に独立し東設計工房を設立。ことしで40周年を迎える。住宅を主に、保育園や商業施設、学校教育施設などの設計を手掛ける。一級建築士。

(株)東設計工房
098-917-5000
http://www.azumas.com/


<建築士の日特集>
手掛けるのは「RC造」
手掛けるのは「混構造」
手掛けるのは「木造」
手掛けるのは「構造デザイン」
建築士Q&A
 


編集・取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1695号・2018年6月29日紙面から掲載

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